
中国、自動車ライトのジェスチャー操作を禁止へ――音声消灯も制限、停車中の装飾照明まで規定
[メンバーシップ限定]中国が、自動車の外部照明について、ジェスチャーによる操作を禁止し、音声による消灯も認めない方向で国家標準を改訂している。
自動車・トレーラーの外部照明に関する強制国家標準「GB 4785」の改訂案では、ヘッドライト、方向指示器、ブレーキランプ、ポジションランプなど、規格で定義する灯火類について、ジェスチャーによる操作を禁止する。
一方、音声操作については、点灯と消灯を区別した。音声による消灯は禁止するが、点灯は一定の条件で認める。その場合、車両には手動スイッチの位置を明確に示すことが求められる。
さらに、公道走行中に使用できる発光装置の範囲を明確化し、規格で定義されていない装飾用ライトなどの点灯を原則として禁止する。信号待ちや渋滞によって一時停止している状態も、走行中と同様に扱う。
ただし、駐車中のウェルカムライトや、ドア開閉時の演出照明などを全面的に禁止するわけではない。車両の状態や使用場所、光の強さ、点灯時間などに応じて、使用可能な条件を定めている。
今回の改訂案は、スマート化によって多様になった自動車の照明機能について、操作方法と使用場面の両方から安全上の境界を明確にするものである。
規格の施行予定日は2028年1月1日。ただし、現在は意見募集段階であり、正式な公布・施行が完了したわけではない。
ジェスチャーによる灯火操作を禁止
今回の改訂案で注目されるのが、第4.30項である。
この条項では、第3.3.1~3.3.20項に定義された灯火類について、ジェスチャーによる操作を禁止すると規定している。
対象には、ハイビーム、ロービーム、前部フォグランプ、方向指示器、ブレーキランプ、後退灯、前後のポジションランプ、昼間走行灯などが含まれる。
また、今回の改訂で新たに規定された自動運転レベル3(L3)以上の自動運転車向けADS表示灯も対象となる。
禁止されるのは、ジェスチャーを用いた灯火類の操作制御である。
例えば、運転者が手を振る動作によってヘッドライトを点灯・消灯したり、手の動きによって方向指示器を操作したりする機能は、この規定に抵触することになる。
重要なのは、ジェスチャー操作を運転中だけ禁止しているわけではない点である。
第4.30項には、車速や走行状態による例外が設けられていない。
したがって、対象となる灯火類については、駐車中であってもジェスチャーによる操作を認めない規定と読める。
ただし、これは車内のあらゆるジェスチャー操作を禁止するものではない。
エアコン、音楽再生、画面操作など、今回の条項で対象とされていない車内機能まで禁止する規定ではない。
音声操作は全面禁止ではなく、消灯を禁止
音声操作については、ジェスチャー操作とは異なる扱いとなっている。
第4.30項では、対象となる灯火類について、音声による消灯操作を禁止する。
一方、音声による点灯操作は禁止していない。
ただし、音声で点灯できる灯火類については、手動スイッチの位置を明確に示す表示が必要となる。
例えば、音声でヘッドライトを点灯できる機能は、今回の改訂案によって直ちに禁止されるわけではない。
しかし、音声でヘッドライトを消灯する機能は認められない。
また、音声で点灯できる場合でも、運転者が手動で操作するためのスイッチの位置を確認できる必要がある。
ここで注意したいのは、条文が「すべての灯火類に独立した物理ボタンを設置する」と規定しているわけではない点である。
求められているのは、音声で点灯する灯火について、手動スイッチの位置を明確に示すことである。
手動スイッチの具体的な形態や配置については、ほかの適用規定も含めて判断する必要がある。
なぜ点灯は認め、消灯を禁止するのか
今回の改訂案は、音声操作を単純に危険な技術として排除しているわけではない。
点灯と消灯の間に、安全上の違いがあることを前提にしていると考えられる。
例えば、夜間走行中にヘッドライトが意図せず消灯すれば、運転者の前方視界が急激に悪化する可能性がある。
また、周囲の道路利用者から車両を認識しにくくなることも考えられる。
音声認識は、周囲の会話や雑音、発話内容の誤認識などによって、利用者の意図と異なる操作が発生する可能性がある。
そのため、音声による消灯を禁止することには、意図しない消灯を防ぐ狙いがあると考えられる。
一方、点灯については、運転者が手を離さずに操作できる利便性を残している。
ただし、こうした安全上の狙いは条文の構造から読み取れるものであり、個別の事故統計や誤認識率が今回の改訂案に示されているわけではない。
公道走行中は規格外の発光装置を原則点灯禁止
第4.31項では、公道走行中に使用できる発光装置の範囲を定めている。
対象となるのは、国家標準で定義された灯火の主機能、それに付随する機能、拡張機能などである。
これらに該当しない発光装置については、公道上で車両が走行状態にある場合、原則として点灯してはならない。
例えば、車体外部に設けられた装飾用の発光装置や、規格で定義されていない独自の照明機能などが問題となり得る。
ただし、特定の用途を持つ車両には例外がある。
スクールバス、道路清掃車、消防車、救急車、緊急工事車両、警察車両などについては、関連する規格や規定に基づいて必要となる発光装置の使用を認めている。
また、規格で認められた灯火の付随機能や拡張機能まで、一律に禁止するものではない。
したがって、車両の外部に発光装置があるという理由だけで、すべての装飾的な光が禁止されると解釈するのは正確ではない。
重要なのは、その発光装置が国家標準で認められた機能に該当するかどうかである。
信号待ちや渋滞による停止も「走行状態」
第4.31項には、走行状態について重要な注記がある。
ここでは、車速がゼロを超えている状態だけでなく、交通信号待ちや渋滞によって一時的に停止している状態も、走行状態に含めている。
つまり、車両が動いていないからといって、装飾用ライトを自由に点灯できるわけではない。
例えば、信号待ちで停止した際に、車体外部の装飾照明を自動的に点灯する機能があった場合、その機能が規格で認められた灯火に該当しなければ、今回の規定に抵触する可能性がある。
渋滞中についても同様である。
車速が一時的にゼロになっただけでは、駐車状態とはみなされない。
この規定は、発光装置の制御に車速だけを利用している場合には、対応が不十分となる可能性を示している。
車両が公道上で走行を継続しているのか、実際に駐車しているのかを区別する必要があるためである。
駐車中の装飾照明は条件付きで認める
一方、第4.32項では、通常の灯火として定義されていない照明・光信号装置についても、一定の条件で点灯を認めている。
第4.32.1項では、車両が走行状態にないことを前提として、駐車状態にある場合、運転席や乗員用ドアを開閉した後、荷室のドアを開閉した後などを挙げている。
例えば、車両に近づいた際に点灯するウェルカムライトや、乗降時に車体周辺を照らす演出照明などは、こうした条件との関係で評価されることになる。
ただし、これらの使用場面に該当するというだけで、すべての機能が無条件に認められるわけではない。
第4.32.3項と第4.32.4項には、光の色や強さ、周囲への影響、点灯方法などについて追加の要件がある。
また、第4.32.1項に基づいて点灯した発光装置は、車両が動き始めた場合、直ちに消灯しなければならない。
例えば、駐車中に点灯していた装飾照明を、発進後もそのまま点灯させ続けることは認められない。
ただし、規格で認められた別の灯火機能として作動する場合については、その機能に適用される規定で判断する必要がある。
公道以外の区域では使用条件が異なる
第4.32.2項では、公道以外の区域など、特定の使用場面についても規定している。
これは、公道走行中と、それ以外の場所での照明機能の使用を区別するものである。
例えば、車両展示施設、私有地、専用の試験施設などでは、公道上とは異なる使用条件が成立する可能性がある。
ただし、公道以外であれば、すべての発光装置を自由に使用できるという意味ではない。
第4.32.3項では、使用場面において、ほかの道路利用者にまぶしさや不快感を与えないことを求めている。
また、既存の照明・光信号機能を妨げないことも条件となる。
つまり、使用場所によって許される機能は異なるものの、安全上の要件までなくなるわけではない。