
WeRide、L4自動運転車両が3,600台に――世界モデルと認知AIを統合、ADAS採用30車種超
[メンバーシップ限定]中国の自動運転技術企業WeRide(文遠知行、NASDAQ:WRD、香港証券取引所:00800)は2026年10月23日、自動運転レベル4(L4)車両の運用規模が約3,600台に達したと発表した。
同社は10月21~23日に北京で開催された2026年世界スマートコネクテッドカー大会(WICV2026)に参加し、世界モデル「GENESIS」とPhysical AI認知基盤モデル「WITT」を組み合わせた開発体系が、2026年の自動車AI応用十大事例に選出されたことを明らかにした。
また、L4で蓄積した技術を量産乗用車向け高度運転支援(ADAS)へ展開し、一段式エンドツーエンド(E2E)運転支援システム「WRD 3.0」の量産採用案件が30車種を超えたことも紹介した。
今回の発表は、WeRideの事業がRobotaxiを中心とするL4自動運転から、L2++量産乗用車向けADASまで広がっていることを示すものである。
ただし、GENESISとWITTの技術構成や30車種超の採用案件は、すでに2026年上半期までに公表されていた。今回新たに確認できた主な進展は、L4車両規模の拡大と、同社のPhysical AI開発体系が国際会議で評価されたことである。
L4自動運転車両は約3,600台、7月末から200台増
WeRideによれば、2026年10月23日時点のL4自動運転車両の規模は約3,600台となった。
同社は2026年上半期決算で、7月31日時点のL4車両規模を約3,400台と公表していた。
今回の数字は、それから約200台増加したことを示している。
増加率は約5.9%である。ただし、いずれも概数であり、正確な純増台数が200台と確定したわけではない。
また、3,600台はRobotaxiだけの数字ではない。
WeRideはRobotaxi、Robobus、無人物流車、無人清掃車など、複数種類の自動運転車両を開発・展開している。
今回の発表は、これらを含むL4自動運転車両全体の規模を示している。
参考として、2026年7月末時点の約3,400台のうち、Robotaxiは1,800台超だった。
しかし、今回の発表ではRobotaxi単独の最新台数を開示していない。
したがって、3,600台すべてが有料営業中のRobotaxiであると解釈することはできない。
また、車両の配備、試験運行、一般利用者向けサービス、完全無人での商用運行は、それぞれ異なる段階である。
事業規模を評価するには、保有・配備台数だけでなく、実際に営業運行している台数と稼働状況を区別する必要がある。
13カ国・60都市超へ、海外事業を拡大
WeRideは今回、事業展開地域が世界13カ国・60都市超に達したと説明した。
同社の自動運転車両は、中国の広州、北京に加え、アブダビ、ドバイ、シンガポール、リヤド、チューリヒなどで一般利用者向けの運行を行っている。
海外ではUber、Grabなどのモビリティプラットフォームと協力している。
また、スイスでは鉄道事業者SBBやモビリティ関連企業との連携を進めている。
こうした事業展開の特徴は、WeRideがすべての市場で自社単独の配車サービスを運営しているわけではないことである。
自動運転技術や車両をWeRideが提供し、配車プラットフォーム、車両運営、地域の交通事業者などと役割を分担する方式を採用している。
これは、海外でのサービス拡大に必要な車両運行、利用者獲得、地域対応などを現地企業と分担する事業構造である。
ただし、13カ国・60都市超という数字には、商用運行だけでなく、試験や実証などの活動も含まれる可能性がある。
すべての都市で同じ規模の有料サービスが提供されていることを意味するわけではない。
スペイン、デンマークなど欧州市場への展開を準備
今回の発表では、スペインとデンマークで新たなサービスを開始する計画も紹介された。
スペインでは、WeRideがUberなどと協力し、マドリードでRobotaxiサービスの展開を進めている。
2026年9月には、スペインの交通当局からL4自動運転乗用車の運行に関する許可を取得した。
ただし、この許可は試験・配備を進めるための重要な段階であり、取得時点で完全無人の有料営業が全面的に認められたことを意味しない。
実際の商用運行には、追加の準備や地域ごとの条件への対応が必要となる。
デンマークでも、現地のモビリティ事業者との協力を進めている。
WeRideは欧州市場への展開を拡大しているが、各国で自動運転に関する制度や運行条件は異なる。
したがって、ある国で取得した許可が、そのまま別の国での商用運行を認めるものではない。
今後は、各国のサービス開始時期だけでなく、運行地域、車両台数、安全要員の配置、一般利用者への提供条件などを確認する必要がある。
GENESISとWITT、二つのAIモデルを組み合わせる
今回、2026年の自動車AI応用十大事例に選出されたのは、WeRideのPhysical AI開発体系である。
その中心となるのが、世界モデル「GENESIS」と認知基盤モデル「WITT」である。
両者は異なる役割を担う。
GENESISは、現実の道路環境を再現し、自動運転AIの学習や検証に利用するためのシミュレーション環境を生成する。
一方、WITTは、実際の車両運行データから物理的な事実や関係を抽出し、その妥当性を検証する。
WeRideは、この二つを組み合わせることで、実際の道路で得られた経験をAIモデルの改善につなげる仕組みを構築している。
例えば、実際の走行映像から車両、歩行者、道路環境などの関係を抽出し、その情報を基にシミュレーション環境を生成する。
そこで車載AIの判断や行動を検証し、改善したモデルを再び実車へ適用する。
さらに、新たな実車データを取得し、次の学習や検証に利用する。
この循環が、WeRideのいうPhysical AI開発体系である。
ただし、GENESISとWITTの組み合わせ自体は今回初めて発表されたものではない。
WITTは2026年7月に正式発表されており、その時点ですでにGENESISとの連携が説明されていた。
今回の新たな動きは、この技術体系が国際会議で応用事例として評価されたことである。