
奇瑞、国網系と交流V2Gの商用運用開始――夜間充電・昼間売電、EVを分散型蓄電資源へ
[メンバーシップ限定]奇瑞汽車(CHERY)は2026年10月16日、傘下の奇瑞緑能が国家電網系の安徽明生電力集団と安徽省蕪湖市で協力協定を締結し、V2G(Vehicle-to-Grid)の大規模運用を目指す拠点を稼働させたと発表した。
今回の特徴は、交流方式の双方向充放電を採用し、一般ユーザーが夜間に自宅でEVを充電し、昼間は勤務先の駐車場で電力を売るという利用場面を具体化したことである。
奇瑞は、電力価格差や補助金を前提に、利用者が年間3000元超の収益を得られる可能性があるとしている。ただし、これは試算値であり、実際の収益実績ではない。
6月に合意した交流V2G路線を具体化
今回の協力は、奇瑞と国家電網系企業が以前から進めてきた取り組みの延長にある。
2026年6月、国家電網のスマート車両ネットワーク関連会社と奇瑞緑能は、個人向けV2Gの普及について協議し、交流V2Gを広く普及させる一方、直流V2Gは特定用途で実証する方針を確認していた。
交流方式は、家庭や職場など長時間駐車する場所に適している。直流方式が比較的大きな電力を短時間でやり取りする用途に向くのに対し、交流方式では駐車中の時間を活用して充放電を行う。
10月16日の発表は、この方針に基づき、実際の運用拠点を開設したものと位置付けられる。
夜は自宅で充電、昼は勤務先で売電
奇瑞が提示した利用モデルは分かりやすい。
電力料金が安い夜間に自宅でEVを充電し、昼間は勤務先に設置された交流V2G設備を通じて電力を放出する。
車両を移動手段として使用していない時間に、搭載電池を電力系統の蓄電資源として活用する仕組みである。
利用者にとっては、EVの保有コストを下げるだけでなく、電力市場への参加によって収益を得られる可能性が生まれる。
奇瑞は年間3000元超という試算を示しているが、実際の収益は電力価格差、補助金、放電量、利用頻度、電池劣化などによって変動する。すべての利用者に同水準の収益が保証されるわけではない。
