
中国小売26年9月1.1%増、自動車21.2%減が重荷――通信機器31.1%増、サービス消費は5.0%増
[無料]中国国家統計局は2026年10月19日、9月の社会消費財小売総額が4兆2,433億元となり、前年同月比1.1%増加したと発表した。8月の0.4%増から0.7ポイント加速したものの、消費の伸びは引き続き低い水準にある。
1~9月累計では37兆1億元、前年同期比1.1%増となった。
今回の統計で最も注目されるのは、自動車とその他の消費財との大きな差である。
9月の自動車類小売額は前年同月比21.2%減少した。一方、自動車を除く社会消費財小売額は3.9%増加しており、全体の1.1%増を2.8ポイント上回った。
自動車の大幅な減少が小売全体の伸びを抑える構図が鮮明になっている。
ただし、消費財のすべてが低迷しているわけではない。通信機器類は31.1%増、食品類は6.7%増となり、品目間の差が大きい。
また、1~9月のサービス小売額は前年同期比5.0%増加した。商品小売額の1.0%増を大きく上回っており、中国の消費動向を社会消費財小売総額だけで評価することには限界がある。
社会消費財小売総額とは何か――家計消費全体とは異なる
中国の社会消費財小売総額は、企業や個人事業者が個人および非生産・非経営目的の団体などに販売した商品と、飲食サービスによる収入を集計した統計である。
名称に「消費」が含まれているが、家計によるすべての消費支出を示すものではない。
旅行、教育、医療、金融、通信などのサービス支出の多くは、社会消費財小売総額の対象外である。
また、社会消費財小売総額には、個人だけでなく、非生産・非経営目的で商品を購入する団体などへの販売も含まれる。
したがって、社会消費財小売総額を家計最終消費支出と同一視することはできない。
さらに、今回公表された小売額の前年同月比は、価格変動を除去していない名目成長率である。
小売額が増加しても、販売数量が同じ割合で増加したことを意味するわけではない。
今回のレポートでは、社会消費財小売総額、商品小売、飲食、サービス小売、オンライン小売を区別して分析する。
9月1.1%増、8月から0.7ポイント加速
9月の社会消費財小売総額は4兆2,433億元、前年同月比1.1%増となった。主な数値は次の通りである。
8月:前年同月比0.4%増
9月:同1.1%増
前月からの変化:0.7ポイント上昇
9月の季節調整済み前月比:0.35%増
1~9月累計:37兆1億元、前年同期比1.1%増
前年同月比は8月から加速し、季節調整済み前月比もプラスとなった。
ただし、前年同月比の0.7ポイント上昇は、8月から9月にかけて小売額が0.7%増加したことを意味しない。
前年同月比と季節調整済み前月比は比較対象が異なるためである。
9月の前月比0.35%増は、国家統計局が季節調整を施した系列に基づく。
また、1~9月累計の前年同期比は1.1%増にとどまっている。9月の伸びが8月を上回ったとはいえ、消費全体が大きく加速しているわけではない。
自動車を除くと3.9%増――小売全体との格差は2.8ポイント
9月の社会消費財小売総額を、自動車を含む全体と自動車を除く部分に分けると、違いが明確になる。
社会消費財小売総額:4兆2,433億元、前年同月比1.1%増
自動車を除く小売額:3兆8,792億元、同3.9%増
自動車類小売額:3,641億元、同21.2%減
自動車を除く小売額の伸びは、全体を2.8ポイント上回った。
自動車類小売額は9月の社会消費財小売総額の約8.6%を占める。
この比較から、自動車類の大幅な減少が小売全体の成長率を押し下げていることが分かる。
1~9月累計でも同じ傾向が見られる。
社会消費財小売総額:37兆1億元、前年同期比1.1%増
自動車を除く小売額:34兆574億元、同2.8%増
自動車類小売額:2兆9,427億元、同14.9%減
自動車を除く小売額の伸びは、累計でも全体を1.7ポイント上回った。
ただし、自動車類小売額は金額ベースの統計であり、自動車の販売台数とは異なる。
自動車類小売額が21.2%減少したことを、自動車販売台数が21.2%減少したと読み替えてはならない。
自動車類21.2%減、通信機器類31.1%増――耐久消費財の内部で明暗
9月の限額以上事業者による商品小売を品目別に見ると、自動車と通信機器で大きな差が生じている。
自動車類:3,641億元、前年同月比21.2%減
通信機器類:1,062億元、同31.1%増
家電・音響映像機器類:881億元、同1.9%増
家具類:161億元、同3.0%減
建築・内装材料類:105億元、同9.2%減
通信機器類の小売額は31.1%増と、主要品目の中でも突出した伸びを示した。
一方、自動車類は21.2%減となり、通信機器類との成長率の差は52.3ポイントに達した。
同じ耐久消費財でも、消費動向は大きく異なっている。
ただし、通信機器類の伸びをスマートフォン販売台数の増加と同一視することはできない。通信機器類には複数の製品が含まれ、金額ベースの増加には製品価格や商品構成の変化も影響する。
自動車類についても、NEVとガソリン車の内訳は今回の社会消費財小売統計からは分からない。
中国自動車市場の分析では、国家統計局の自動車類小売額と、中国汽車工業協会や乗用車市場情報聯席会などが公表する販売台数を独立した系列として扱う必要がある。
自動車小売、1~9月14.9%減――単月の落ち込みはさらに大きい
自動車類小売額は、9月単月で21.2%減、1~9月累計で14.9%減となった。
単月の減少率が年初来累計の減少率を6.3ポイント上回っている。
これは、9月の自動車小売額が、年初来累計よりも大きな前年割れとなったことを示している。
ただし、この差だけで、9月の減少要因を特定することはできない。
自動車類小売額には、販売数量だけでなく、平均販売価格、車種構成、値引き、販売時期などの影響が及ぶ。
また、NEVの構成比が変化した場合でも、それが小売額にどの程度影響したかは、今回の統計だけでは判断できない。
今後は自動車類小売額を、乗用車小売台数、NEV小売台数、保険登録台数、メーカー卸売台数などと照合することで、金額と数量の違いを継続して検証する必要がある。
食品6.7%増、酒・たばこ13.8%増――生活関連品目は比較的堅調
9月の生活関連品目では、食品や飲料などが前年同月を上回った。
食料・食用油・食品類:2,224億元、前年同月比6.7%増
飲料類:304億元、同5.0%増
たばこ・酒類:663億元、同13.8%増
日用品類:748億元、同4.1%増
医薬品類:648億元、同5.0%増
1~9月累計では、食料・食用油・食品類が6.8%増、飲料類が5.4%増、たばこ・酒類が12.6%増、日用品類が3.8%増となった。
生活関連品目では比較的安定した増加が見られる。
ただし、これらも名目小売額であり、消費数量の変化と完全には一致しない。
また、食品類の増加だけで家計の購買力が改善したと判断することもできない。
品目別の小売額は、消費構造を把握するための指標であり、家計の実質所得や生活水準を直接示すものではない。
金・宝飾品9.6%減、建材9.2%減――裁量的消費と住宅関連品目に弱さ
9月には、前年同月を下回る品目も複数見られた。
金・銀・宝飾品類:9.6%減
建築・内装材料類:9.2%減
家具類:3.0%減
スポーツ・娯楽用品類:1.1%減
石油・石油製品類:0.8%減
金・銀・宝飾品類は9.6%減となった。
ただし、宝飾品の小売額には金価格や商品構成などが影響するため、この数字だけで宝飾品の販売数量や需要の変化を確定することはできない。
建築・内装材料類は9.2%減、家具類は3.0%減となった。
同日公表された不動産統計では、1~9月の不動産開発投資が20.6%減、新築商品房販売面積が13.2%減となっている。
住宅関連の消費財小売と不動産市場の双方で弱い数字が確認されるが、個別品目の減少を不動産市場だけで説明することはできない。
住宅関連消費については、今後も不動産販売、住宅引き渡し、リフォーム需要などと併せて観測する必要がある。
都市部0.8%増、農村部2.7%増――成長率では農村部が上回る
9月の社会消費財小売総額を販売事業者の所在地別に見ると、農村部の伸びが都市部を上回った。
都市部:3兆6,077億元、前年同月比0.8%増
農村部:6,356億元、同2.7%増
1~9月累計では次の通りである。
都市部:31兆9,820億元、前年同期比0.9%増
農村部:5兆181億元、同2.3%増
都市部の小売額は全体の大部分を占める一方、成長率では農村部が上回っている。
ただし、この分類は販売事業者の所在地によるものであり、購入者の居住地を直接示すものではない。
都市部の店舗で購入した農村居住者の消費が、都市部の小売額に含まれる場合もある。
したがって、農村部の小売成長率が高いことを、そのまま農村住民の家計消費成長率が都市住民を上回ったと解釈することはできない。
商品小売1.0%増、飲食収入2.1%増
9月の社会消費財小売総額を商品と飲食に分けると、飲食の伸びが商品を上回った。
商品小売額:3兆7,830億元、前年同月比1.0%増
飲食収入:4,603億元、同2.1%増
1~9月累計では次の通りである。
商品小売額:32兆8,032億元、前年同期比1.0%増
飲食収入:4兆1,969億元、同2.4%増
飲食収入の伸びは商品小売を上回っている。
ただし、飲食収入は社会消費財小売総額に含まれる一方、旅行や宿泊、教育などのサービス支出全体は含まれない。
そのため、飲食収入2.1%増を中国のサービス消費全体の成長率とみなすことはできない。
また、限額以上事業者の飲食収入は9月に2.0%増、1~9月累計で1.3%増となった。
飲食全体と限額以上事業者の数字には違いがあり、事業規模によって小売動向が異なる可能性がある。
一定規模以上事業者は9月2.1%減――全体の1.1%増と逆方向
今回の統計では、事業規模による違いも確認できる。
9月の一定規模以上事業者による社会消費財小売額は1兆6,873億元、前年同月比2.1%減となった。
一方、社会消費財小売総額全体は1.1%増である。
社会消費財小売総額:1.1%増
一定規模以上事業者の小売額:2.1%減
一定規模以上事業者の商品小売額:2.5%減
一定規模以上事業者の飲食収入:2.0%増
1~9月累計でも、限額以上事業者の小売額は1.5%減となった。
ここでいう一定規模以上事業者とは、国家統計局が定める一定以上の年間主営業収入を持つ企業・事業者を指す。
主な基準は、卸売業が2,000万元以上、小売業が500万元以上、宿泊・飲食業が200万元以上である。
ただし、一定規模以上事業者の小売額と全体の差を、そのまま大企業と中小企業の業績格差とみなすことはできない。
一定規模以上事業者の対象は統計上の基準によって変化し、業態構成も異なるためである。
それでも、一定規模以上事業者が前年割れとなる一方、全体は増加しているという違いは、消費構造を把握するうえで重要である。
コンビニ5.2%増、百貨店2.9%減――小売業態でも差
1~9月累計の小売業態別統計では、コンビニエンスストアとスーパーマーケットが増加した一方、百貨店や専門店などは減少した。
コンビニエンスストア:前年同期比5.2%増
スーパーマーケット:同4.1%増
専門店:同2.2%減
百貨店:同2.9%減
ブランド専門店:同10.3%減
日常的な買い物に対応するコンビニエンスストアやスーパーマーケットは増加している。
一方、ブランド専門店は10.3%減となり、主要業態の中でも大きな減少率を示した。
ただし、今回の統計は限額以上小売事業者を対象としたものであり、中国のすべての店舗を網羅した業態別統計ではない。
また、実店舗の売上減少がオンライン販売への移行によるものかどうかは、この数字だけでは判断できない。
今後は、実店舗の業態別小売とオンライン小売を別系列で追跡する必要がある。
オンライン商品・サービス小売4.4%増、サービスは5.3%増
1~9月の全国オンライン商品・サービス小売額は15兆1,471億元、前年同期比4.4%増となった。
内訳は次の通りである。
オンライン商品小売額:9兆5,060億元、前年同期比3.8%増
オンラインサービス小売額:5兆6,411億元、同5.3%増
オンラインサービス小売の伸びは、オンライン商品小売を1.5ポイント上回った。
オンライン商品小売を品目別に見ると、食品関連が比較的高い伸びを示した。
食品関連:15.8%増
衣料関連:3.4%増
日用品など:0.8%増
オンライン小売の内部でも、商品とサービス、さらに商品カテゴリーによって成長率が異なる。
なお、オンライン商品・サービス小売額にはサービス取引が含まれるため、その総額を社会消費財小売総額と単純に比較したり、社会消費財小売総額に加算したりすることはできない。
社会消費財小売総額とオンライン商品・サービス小売額は、対象範囲が異なる統計である。
また、オンライン商品小売額は社会消費財小売総額と対象が重なるため、両者を足し合わせると二重計上になる。
サービス小売5.0%増――商品小売1.0%増との格差
今回の国家統計局の経済統計総括では、社会消費財小売総額とは別に、商品・サービスを含む小売動向も示された。
1~9月の主な成長率は次の通りである。
商品・サービス小売総額:前年同期比2.6%増
サービス小売額:同5.0%増
商品小売額:同1.0%増
サービス小売の成長率は、商品小売を4.0ポイント上回った。
国家統計局は、通信情報サービス、旅行・観光関連サービス、文化・スポーツ・娯楽関連サービスなどで比較的高い伸びが見られたとしている。
これは、中国の消費市場を社会消費財小売総額の1.1%増だけで評価すると、サービス消費の動きを十分に捉えられないことを示している。
ただし、今回の総括で示されたサービス小売の5.0%増は、サービス消費のすべてを含む家計最終消費支出の成長率ではない。
また、商品・サービス小売総額の2.6%増と社会消費財小売総額の1.1%増は、集計範囲が異なるため、同じ系列として接続してはならない。
今後は社会消費財小売総額とサービス小売を、それぞれ独立した統計系列として管理する。
2025年同月との比較――小売全体の伸びは3.0%から1.1%へ
前年の2025年9月と比較すると、小売全体の成長率は鈍化している。
2025年9月:前年同月比3.0%増
2026年9月:同1.1%増
成長率の変化:1.9ポイント低下
1~9月累計でも同様である。
2025年1~9月:前年同期比4.5%増
2026年1~9月:同1.1%増
成長率の変化:3.4ポイント低下
なお、2025年の公表額と2026年の公表額を直接割り算して求めた増減率は、公表された前年比と完全には一致しない場合がある。
国家統計局は、統計対象事業者の変動などを調整し、比較可能な対象範囲に基づいて前年比を計算しているためである。
時系列比較では、公表された前年比を優先して使用する。
中国消費市場、商品とサービス、自動車と通信機器で異なる動き
2026年9月の社会消費財小売総額は前年同月比1.1%増となり、8月の0.4%増から加速した。
しかし、全体の伸びは依然として低く、1~9月累計でも1.1%増にとどまっている。
その内部では、品目による大きな差が確認された。
自動車類は9月に21.2%減、1~9月累計で14.9%減となった。一方、自動車を除く小売額は9月に3.9%増加している。
通信機器類は9月に31.1%増となり、自動車類とは対照的な動きを示した。
業態別ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットが増加する一方、百貨店やブランド専門店は減少した。
さらに、1~9月のサービス小売額は5.0%増となり、商品小売額の1.0%増を大きく上回った。
中国の消費市場は、すべての分野が一様に低迷しているわけではない。
自動車など一部の高額商品が小売全体の成長率を押し下げる一方、通信機器やサービス消費などでは比較的高い伸びが続いている。
ただし、こうした差が価格、販売数量、政策、消費者選好などのどの要因によって生じているかは、今回の小売統計だけでは特定できない。
今後の月次レポートでは、社会消費財小売総額の前年同月比、季節調整済み前月比、年初来累計を継続して追跡する。
さらに、自動車を除く小売額、自動車類、通信機器類、家電、家具、建材、食品、飲食、限額以上事業者、オンライン商品小売、オンラインサービス小売、サービス小売を独立した系列として蓄積する。
特に自動車類については、小売金額と販売台数を混同せず、NEVを含む自動車市場の数量統計と照合する。
中国の消費市場を把握するために重要なのは、小売総額の成長率だけではない。
何に対する支出が増え、何に対する支出が減り、商品とサービスの間で消費の構造がどのように変化しているのか。
社会消費財小売総額は、その変化を継続的に観測するための重要な基礎統計である。
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