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小鵬、国連自動運転シナリオ情報交換組織の事務局長に――中国VLAの欧州展開と国際安全評価が接近

    [メンバーシップ限定]小鵬集団(XPENG)は2026年10月9日、国連欧州経済委員会(UNECE)の自動運転関連組織で、新たに設置された「自動運転シナリオ関連情報交換タスクフォース」(TF-ESRI)の事務局を担当すると発表した。

    小鵬は国際自動車工業連合会(OICA)の代表として事務局長に相当する役職を担い、フランスと中国が共同議長を務めるTF-ESRIの運営を支援する。国際的な技術者団体SAE Internationalの事務局担当者と共同で、各国の規制当局、認証機関、自動車メーカー、技術専門家による情報交換を調整する。

    小鵬は、中国企業が国連の自動運転法規協調体系でこうした役職を担うのは初めてだと説明している。

    ただし、今回の役職は、国連の自動運転規則そのものを制定する権限を意味しない。

    UNECEが公開した設置規則案を確認すると、TF-ESRIの任務は、自動運転車が実際の道路で遭遇する多様な交通状況や安全上の問題について、各国が情報を共有するための仕組みを整備することである。

    その意味で今回の動きは、小鵬の自動運転技術が国連から認証されたというニュースではない。

    中国国内で開発された自動運転AIを欧州の道路へ適応させようとしている小鵬が、今度は各国の実運行経験を国際的な安全評価へ反映するための協調体制にも加わった、というニュースである。

    国連WP.29の下部組織で事務局を担当

    今回のTF-ESRIは、UNECEの世界車両基準調和フォーラム(WP.29)の枠組みに設けられた組織である。

    WP.29は、自動車の安全性や環境性能などに関する国際的な技術基準の調和を進める場であり、その下には分野別の作業部会が存在する。

    自動運転・自動化・コネクテッドカーを担当するのがGRVAである。

    今回のTF-ESRIは、そのGRVAの下に設置されたタスクフォースに当たる。

    組織の関係は、WP.29、GRVA、TF-ESRIという順序になる。

    TF-ESRIではフランスと中国が共同議長を務める。

    小鵬は中国自動車工業協会(CAAM)の支持を受け、OICAの代表として事務局を担当する。もう一方の事務局はSAE Internationalが担う。

    つまり、小鵬が中国政府の代表として国連の自動運転規則を決定するわけではない。

    各国政府が議長を務める国際協調組織において、自動車産業側の代表として会議運営や情報交換を支援する立場である。

    それでも、中国の自動運転開発企業が国際的な規制協調の実務に参加するという意味は小さくない。

    UNECE一次資料が示すTF-ESRIの本当の役割

    UNECEは2026年9月14~18日のGRVA第26回会合に、TF-ESRIの設置規則・運営規則に関する文書「GRVA-26-05/Rev.1」を提出している。

    この文書を確認すると、TF-ESRIが扱う「シナリオ」は、単なる自動運転の走行映像や試乗経験を意味するものではない。

    自動運転システムが走行判断を行う際に遭遇する道路環境、交通参加者の行動、危険事象、安全性能、事故調査などに関連する情報である。

    例えば、自動運転車が複雑な交差点を通過する際、どのような道路構造や交通参加者の動きが安全上の課題になるのか。

    ある国で発生した危険事象や事故から得られた知見を、別の国の安全評価や認証の参考にできないか。

    こうした実運行に関する情報を、国際的にどのような形式で整理し、共有し、活用するかが検討対象となる。

    設置規則案では、主に情報の構造化、情報交換の管理、情報の公開可能性、共有情報の活用方法に関する提案を行うことが想定されている。

    目的は、各国の知見を相互に利用し、自動運転システムの安全性を継続的に改善できる仕組みを整えることである。

    ただし、安全基準そのものを作る組織ではない

    ここには重要な境界線がある。

    UNECEの設置規則案は、TF-ESRIが担当しない業務についても明記している。

    TF-ESRIは、国際規則で使用する具体的な試験シナリオを決定しない。

    規制用のシナリオデータベースやカタログも構築しない。

    シナリオを規制に使用するための具体的な要求事項を策定する組織でもなく、法規そのものを制定する組織でもない。

    活動の中心は、情報交換の手続きと、その情報を安全評価に役立てるための枠組みの整備である。

    また、設置規則案では、承認から2年以内に成果を報告することを目標としている。

    したがって、小鵬が今回の役職を通じて、自社のVLA技術を国際標準に採用させたり、競合メーカーの自動運転技術を評価・認証したりする権限を得たわけではない。

    小鵬の公式発表では、今回の役職を中国の自動運転技術が国際的に評価された成果として位置付けている。

    しかし、制度上確認できるのは、国際協調組織の事務局業務への参加である。

    技術性能の認定と、国際制度への参加は区別する必要がある。

    なぜ今、自動運転シナリオの国際交換が必要なのか

    今回のTF-ESRI設置には、国際的な自動運転規則の整備が進んできたという背景がある。

    UNECEの公式活動記録によると、2026年6月のWP.29では、自動運転システム(ADS)に関する国連の新たな技術規則・国際技術基準が採択された。

    小鵬の英語版発表は、UN Regulation No.185とGlobal Technical Regulation No.26が実施段階へ移りつつあることを、TF-ESRIの必要性と結び付けている。

    自動運転に関する規則が整備されれば、次の課題は、その規則を各国の道路環境でどのように適用し、実際の安全性を確認するかになる。

    道路環境は国によって異なる。

    道路標識や車線構造だけでなく、交差点での優先関係、歩行者や自転車の動き、交通参加者の行動特性も同一ではない。

    ある国で十分に検証された自動運転システムが、別の国でも同じように安全に動作するとは限らない。

    だからこそ、各国の規制当局や認証機関が、実際の走行経験から得られた情報を交換する意味が大きくなる。

    TF-ESRIは、自動運転技術そのものを開発する組織ではない。

    各国で蓄積される走行経験を、安全評価に役立つ共通の知見へ変えていくための組織である。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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