
6年前の小鵬P7にLLMを搭載、2020年記事から見えたSDVの本当の意味
[日刊]CHINA CASEでは2020年10月29日、当時の中国新興EVメーカー小鵬(XPENG)が発表した「フル音声認識車載システム」を取り上げた。
当時、小鵬P7に搭載されたXmart OS 2.1.0では、一度「你好、小P」と呼びかければ、その後はウェイクワードを繰り返すことなく連続して指示できた。音声で車載ディスプレイ上のほぼすべての機能を操作でき、「窓を19%開ける」といった細かな車両制御にも対応していた。小鵬はこれを「全場景語音(フルシーン音声)」と呼んだ。
それから約6年。
生成AI、そして大規模言語モデル(LLM)の登場によって、当時「最先端」だった車載音声AIの技術体系は大きく変わった。
ところが、興味深いことが起きている。2020年に発売された初代P7にも、その後、大規模モデルを利用したAI機能がOTAでやってきたのである。
当時のAIは古くなった。しかし、当時作られたクルマそのものはAI時代から完全には取り残されなかった。
6年前の記事を現在から読み返すと、「ソフトウェアが自動車を定義する(SDV)」という言葉の意味が、当時よりもはっきり見えてくる。
2020年、小鵬が目指した「すべてを音声で操作するクルマ」
まだまだ新興真っ盛りだったXPENGは2020年10月24日、第2回「1024小鵬スマート・デー」を開催した。
そこで大きく打ち出されたのがP7のフルシーン音声だった。
当時すでに車載音声認識そのものは珍しくなかった。XPENGが強調したのは、その適用範囲である。
一度起動すれば連続して会話できる。システムの発話中にもユーザーが割り込める。運転席と助手席のどちらから話しかけているのかも識別する。
そして、車載画面から操作できるほぼすべての機能を音声から操作する。
XPENG自身が示していた例には、「窓を19%開ける」「エアコンの風を人に当てない」といったものまであった。
2020年当時としては、かなり先進的な体験だった。しかし、この時代に現在のようなLLMはない。
基本的には、音声を認識する、ユーザーの意図を分類する、必要なパラメーターを抽出する、対応する車両機能を呼び出すという世界である。
例えば「窓を19%開けて」と言われれば、「対象=窓」「操作=開く」「開度=19%」と解釈して車両制御へ渡す。
そのため、メーカー側はユーザーが何を言う可能性があるのかを想定し、それをどの車両機能へ接続するのかを大量に作り込む必要があった。
XPENGが当時積み上げていたのは、こうした「人間の言葉をクルマの命令へ変換する」ノウハウだった。
そのわずか数年後、LLMが登場した
そこへ生成AI革命が起きた。LLMによって自然言語処理そのものの考え方が大きく変わった。
従来はメーカーがあらかじめ想定した命令を認識することが中心だったのに対し、大規模モデルでは、より曖昧な発話からユーザーの意図や文脈を理解し、必要な処理を考えられるようになる。
極端に単純化すれば、2020年はユーザー、音声認識、意図分類・ルール、車両機能だったものが、LLM時代はユーザー、大規模モデルによる意味理解・推論、必要なタスクを組み立て、車両機能へ変わっていく。