
中国・強一半導体、AI半導体検査部品で売上63%増――メモリー向けMEMSプローブカードも収益化、日本勢の牙城に挑む
[メンバーシップ限定]中国の半導体検査部品メーカー、強一半導体(Maxone Semiconductor、上海証券取引所688809)は2026年10月26日、2026年1~9月期の売上高が前年同期比63.07%増の10.55億元、親会社株主帰属純利益が49.12%増の3.72億元になったと発表した。
成長を支えているのは、GPUなどAI計算用半導体の検査に使用するMEMSプローブカードである。主力の2D MEMS製品の受注が拡大する一方、DRAMなどのメモリー向け2.5D MEMS製品も顧客評価から小ロット供給へ進み、売上高への寄与を増やしている。
プローブカードは、半導体の製造工程で不良品を選別するために使用する重要部品であり、日本マイクロニクスなど日本企業が長年にわたり技術を蓄積してきた分野である。
中国企業の国産化が、高性能製品の開発から量産供給、さらに収益拡大へと進んでいる。
1~9月期売上高63%増、純利益49%増
強一半導体が発表した2026年第3四半期報告によると、1~9月期の業績は次の通りである。
売上高:10億5,521万元、前年同期比63.07%増
税引前利益:4億1,080万元、同44.26%増
親会社株主帰属純利益:3億7,246万元、同49.12%増
特別損益を除く純利益:3億6,947万元、同48.81%増
研究開発投資:1億2,973万元、同25.22%増
研究開発投資の売上高比率:12.29%
7~9月期単独でも高い成長を維持した。
売上高:4億3,106万元、前年同期比58.08%増
親会社株主帰属純利益:1億5,006万元、同34.10%増
研究開発投資:5,118万元、同40.04%増
売上高の拡大が続いている一方、利益の伸びは売上高の伸びを下回っている。
1~9月期の純利益率は約35.3%で、前年同期の約38.6%から低下した。
また、同期間の粗利益率は約61.9%で、前年同期の約68.2%から約6.3ポイント低下している。
製品の量産拡大によって売上高は増えているものの、利益率の維持は今後の課題となる。
AI半導体向け2D MEMSプローブカードの受注が拡大
強一半導体の主力製品は、MEMS技術を利用したプローブカードである。
MEMSは、半導体製造技術を応用して微細な機械構造を形成する技術であり、プローブカードでは微細な接触針の製造などに使用される。
プローブカードは、半導体ウエハー上に形成されたチップの電極に多数の微細な針を接触させ、電気的な特性を検査するための部品である。
半導体の製造工程では、完成したウエハーを個々のチップに切り分ける前に電気的検査を行う。
この段階で不良品を検出することで、後工程に投入する不良チップを減らし、製造コストを抑えることができる。
特にAIアクセラレーターやGPUなどの高性能半導体では、端子数の増加、電流負荷の拡大、高密度実装などによって、プローブカードにも高い性能が求められる。
強一半導体は、2D MEMSプローブカードの受注拡大が今回の売上成長の主要因であると説明している。
同社は従来からロジック半導体向けプローブカードを主力としており、AI計算インフラへの投資拡大によって高性能検査部品の需要を取り込んでいる。
ただし、今回の決算では、AI半導体向け製品だけの売上高、顧客別の採用実績、受注残高は公表されていない。
メモリー向け2.5D MEMS、顧客評価から小ロット供給へ
今回の決算で特に注目されるのは、メモリー向け2.5D MEMSプローブカードの進展である。
強一半導体は、第3四半期報告で、同製品が顧客評価から量産への移行段階にあり、顧客への導入と小ロット供給が順調に進んでいると説明した。
さらに、売上高への寄与も徐々に増えていることを明らかにした。
同社は2026年上半期の時点で、メモリー向け2.5D MEMSプローブカードの精密溶接技術と組立工程の研究開発を完了し、顧客側で信頼性評価を終えたと説明していた。
したがって、今回初めて製品の開発や顧客評価が確認されたわけではない。
新しいのは、顧客への小ロット供給が進み、その収益寄与の拡大が第3四半期決算で明示されたことである。
なお、2.5D MEMSという名称は同社のプローブカード製品の技術区分であり、半導体の2.5D先端パッケージと同じ意味ではない。
また、メモリー向け製品の小ロット供給が始まったことは、DRAM向けプローブカード市場で大規模な量産採用を獲得したことを意味しない。
製品別売上高、顧客名、量産数量、正式な量産認証の完了状況については、今後の開示を待つ必要がある。
メモリー向けの技術開発を継続
強一半導体は、2.5D MEMSプローブカードの製品化に続き、さらに高性能なメモリー向け検査部品の開発を進めている。
2026年半期報告では、高性能2.5D MEMSプローブカードの研究開発項目として、次の技術を挙げている。
超多数ピンへの対応
微細な電極間隔に対応する狭ピッチ化
自動レーザー溶接技術
多層ポリイミド配線技術
プローブの長寿命化
大電流への対応
メモリー半導体の検査では、多数のチップを効率よく検査する能力が重要となる。
プローブカードに搭載する接触針の数を増やし、微細な電極に安定して接触できれば、検査の効率化につながる。
一方、針の数が増えるほど、位置精度、接触抵抗、機械的な耐久性、温度変化への対応などの要求も厳しくなる。
強一半導体は、こうした課題に対応するため、微細加工だけでなく、溶接、配線、組立などの技術開発を進めている。
この点は、同社が単なる部品の組立企業ではなく、MEMSプローブの製造技術と検査部品の設計・製造工程を自社で蓄積しようとしていることを示している。