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世界のAI投資が中国の輸出を押し上げる――半導体99%増、記憶装置130%増、変圧器22.5%増

    [無料]世界的なAI投資の拡大が、中国の輸出統計に鮮明に表れ始めた。中国税関総署が2026年10月14日に発表した1~9月の貿易統計によると、集積回路の輸出額は前年同期比99.1%増、コンピューター部品・付属品は約3.1倍、固体記憶装置などの記憶装置関連部品は約2.3倍となった。

    AI計算基盤を支える電力設備でも、変圧器が22.5%増、電線・ケーブルが28.1%増、各種蓄電池が34.8%増と拡大した。

    中国税関総署は今回、世界的なAI投資によって計算設備だけでなく、その製造に必要な中間財や電力設備の需要も増加していると説明した。

    注目されるのは、中国のAI関連輸出が、AIモデルや完成したAI製品に限られないことである。

    半導体、記憶装置、サーバー、電力設備、蓄電池など、世界のAIインフラを構成する幅広い製品が中国の輸出拡大を支えている。

    一方、中国自身も集積回路や記憶装置関連部品の輸入を大幅に増やしている。AI投資の拡大は、中国の輸出競争力だけでなく、海外からの先端部品調達にも影響を及ぼしている。

    中国の輸出、1~9月は16.4%増、9月単月では29.6%増

    中国税関総署の王軍副署長は10月14日、国務院新聞弁公室の記者会見で、2026年1~9月の貿易統計を発表した。

    中国の貨物貿易総額は39兆9,400億元となり、前年同期比18.8%増加した。

    内訳は、輸出が23兆2,000億元で16.4%増、輸入が16兆7,400億元で22.3%増である。

    輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は6兆4,600億元となった。

    四半期別の輸出入合計の伸び率は、第1四半期が15.3%、第2四半期が18.3%、第3四半期が22.3%と加速した。

    9月単月の貿易総額は5兆1,600億元で、初めて5兆元を突破した。前年同月比27.5%増である。

    9月の輸出は3兆300億元で29.6%増、輸入は2兆1,300億元で24.6%増となった。

    中国税関総署によれば、1~9月の輸出増加額の約9割を設備製造業が占めた。

    中国の輸出拡大は、消費財だけでなく、世界の製造業やインフラ投資に必要な設備・部品によって強く支えられている。

    集積回路輸出99.1%増、コンピューター部品は3.1倍

    今回の記者会見では、新華社系の新華財経の記者が、世界的なAI投資の拡大と中国の関連製品輸出について質問した。

    王軍副署長は、AIの発展によって世界の計算能力への投資が加速し、計算設備そのものだけでなく、その製造に必要な中間財の需要も拡大していると説明した。

    そのうえで、2026年1~9月の関連製品の輸出実績を明らかにした。

    • 集積回路:前年同期比99.1%増

    • コンピューター部品・付属品:3.1倍(増加率約210%)

    • 固体記憶装置などの記憶装置関連部品:2.3倍(増加率約130%)

    • サーバーなどのデータ処理設備:7.2%増

    集積回路の輸出額は、前年同期のほぼ2倍に達したことになる。

    また、コンピューター部品や記憶装置関連部品の伸び率は、集積回路をさらに上回っている。

    ここで重要なのは、これらが必ずしも中国国内で設計・製造された最先端AI半導体だけを意味するわけではないことである。

    集積回路という統計分類には、AIアクセラレーター以外にも、幅広い用途の半導体が含まれる。

    また、コンピューター部品や記憶装置関連部品も、AIデータセンター専用製品に限らない。

    したがって、今回の数値をそのまま中国製AI半導体の輸出成長率と解釈することはできない。

    それでも、中国税関総署が世界的なAI計算基盤の建設需要と結び付けて、これらの輸出増加を説明したことは重要である。

    AI投資の拡大が、中国の幅広い電子部品・情報機器産業に波及しているという認識が、政府の公式統計発表でも示された。

    AIサーバーだけではない、電力設備の輸出も拡大

    AIデータセンターの建設では、半導体やサーバーに加え、大量の電力を安定的に供給する設備が必要になる。

    王軍副署長は今回、AI計算設備の大規模な運用によって、世界的な電力設備需要も同時に増加していると説明した。

    中国税関総署が示した1~9月の輸出実績は、次の通りである。

    • 変圧器:前年同期比22.5%増

    • 電線・ケーブル:28.1%増

    • 各種蓄電池:34.8%増

    • 太陽光発電関連製品:10.3%増

    • 風力発電設備・部品:22.4%増

    変圧器は、発電設備や送配電網とデータセンターを接続するうえで重要な設備である。

    電線・ケーブルは送配電網の整備や施設内の電力供給に必要となり、蓄電池は電力需給の調整や非常時の電力確保などに利用される。

    中国税関総署は、発電、送電、蓄電という三つの領域で、中国製品の輸出が拡大していることを強調した。

    ただし、これらの設備はAIデータセンター以外にも、一般の電力網、再生可能エネルギー、工場、住宅、商業施設などで広く使用される。

    今回の統計では、変圧器や蓄電池の輸出増加分のうち、AI関連投資による需要がどの程度を占めるのかは明らかにされていない。

    AI投資が電力設備需要を押し上げる要因の一つになっていることと、電力設備の輸出増加すべてがAI需要によるものであることは区別する必要がある。

    半導体を輸出する中国が、半導体輸入も56.6%増

    今回の貿易統計で、もう一つ注目されるのは輸入側の変化である。

    中国の集積回路輸出額は99.1%増加したが、同時に集積回路の輸入額も56.6%増加した。

    さらに、記憶装置関連部品の輸入額は前年同期の2.5倍、増加率にして約150%に達した。

    中国税関総署は、先進製造業の拡大によって、重要部品などの中間財に対する需要が強まっていると説明している。

    つまり、中国は半導体や電子部品の輸出拠点として成長する一方で、海外からも大量の関連部品を調達している。

    この動きは、中国が進める半導体国産化と矛盾するものではない。

    国産化が進んでも、国内の半導体需要がそれ以上に拡大すれば、輸入額が増加することはあり得る。

    また、輸出と輸入では、対象となる半導体の種類、性能、価格帯、用途が異なる可能性がある。

    中国で製造された半導体の輸出が増える一方、海外製の高性能部品や特定用途の半導体への依存が続くという構造も考えられる。

    ただし、今回の発表には半導体の性能別、用途別、製造国別の内訳がない。

    そのため、輸入増加のどの程度がAI向け高性能半導体によるものなのか、あるいは中国の国産化率が上昇しているのか低下しているのかを、この統計だけで判断することはできない。

    重要なのは、中国の半導体輸出が急拡大している一方で、国内の先進製造業も海外製半導体・記憶装置を強く必要としているという事実である。

    中国の輸出増加を支える中間財、全体の5割超へ

    中国税関総署は、2026年1~9月の輸出総額に占める中間財の比率が5割を超えたことも明らかにした。

    中間財とは、最終製品を製造するために使用される部品、材料、半製品などを指す。

    AI関連でいえば、半導体、電子部品、記憶装置、電力関連部品などが、さまざまな製品や設備の製造を支える。

    今回の発表では、産業用ロボット、電子部品、コンピューター部品、電力設備などの輸出入合計額が10兆元を超え、前年同期比58.9%増加したことも示された。

    この製品群の輸出入増加は、中国全体の貿易成長率を11.3ポイント押し上げたという。

    ここで示された10兆元超という数字は、輸出だけでなく輸入も含む貿易総額である。

    中国が世界に製品を供給するだけでなく、海外から部品を調達し、それを加工・組み立て・再輸出する国際的な生産分業にも深く組み込まれていることが分かる。

    AIインフラの建設需要は、完成したサーバーやデータセンター設備だけでなく、その上流にある部品や材料の取引も拡大させている。

    産業用ロボット輸出は16.9%増、約100億元に

    AI関連製品の輸出拡大は、計算設備だけに限らない。

    中国税関総署によれば、2026年1~9月の産業用ロボット輸出額は約100億元となり、前年同期比16.9%増加した。

    中国は国内の製造業でロボット導入を進めると同時に、海外の製造現場にもロボットを供給している。

    今回の発表では、中国の民間企業が輸出する産業用ロボットと数値制御工作機械について、全国輸出額の7割以上を占めることも明らかにされた。

    産業用ロボットは、工場の自動化や生産設備の高度化を支える製品であり、Physical AIの産業応用を考えるうえでも重要な領域である。

    ただし、今回の輸出統計でいう産業用ロボットには、従来型の産業用ロボットも含まれる。

    Embodied AIによって自律的に判断・行動するロボットの輸出額が16.9%増加したという意味ではない。

    中国税関総署は、AI眼鏡や知能型バイオニックロボットなどの製品も海外市場へ進出していると説明したが、これらについては具体的な輸出額や増加率を示していない。

    AI投資の恩恵は、中国国内だけで完結しない

    今回の統計は、中国のAI産業を考えるうえで、もう一つ重要な視点を示している。

    それは、中国国内のAI開発やデータセンター建設だけでなく、海外で行われるAI投資も、中国の製造業に需要をもたらしているということである。

    AIモデルを開発・運用する企業がどの国にあっても、その計算基盤には半導体、記憶装置、サーバー、電力設備などが必要になる。

    それらの製品や構成部品の一部を中国企業が供給していれば、海外のAI投資拡大が中国の輸出増加につながる。

    中国税関総署が今回示したのは、まさにこの構造である。

    一方で、中国は半導体や記憶装置関連部品の輸入も急増させている。

    世界のAI関連サプライチェーンは、中国から海外へ製品が流れる一方向の構造ではない。

    中国企業が海外から部品を調達し、中国国内で加工・製造した製品を海外へ供給するなど、複数の国・地域をまたぐ取引によって成り立っている。

    このため、中国のAI関連輸出が増えたことだけをもって、AIインフラの主要技術がすべて中国国内で完結していると考えることはできない。

    同時に、中国国内で開発されたAIモデルや半導体の国際競争力だけで、中国のAI関連産業全体を評価することも適切ではない。

    世界のAI投資に必要な部品や設備を、どの程度供給しているのかという視点も必要になる。

    世界のAI投資、中国の輸出構造をどう変えるか

    2026年1~9月の中国貿易統計では、集積回路輸出が99.1%増、コンピューター部品・付属品が約210%増、記憶装置関連部品が約130%増となった。

    さらに、変圧器、電線・ケーブル、蓄電池など、電力インフラを構成する製品の輸出も拡大した。

    中国税関総署は、これらの動きを世界的なAI計算基盤への投資拡大と結び付けて説明している。

    ただし、今回示された数字はいずれも幅広い商品分類に基づく輸出金額の増加率であり、AI用途だけを切り出した統計ではない。

    また、輸出金額の伸びには、出荷数量だけでなく、製品構成や単価の変化も影響する。

    今後は、主要製品の輸出数量、輸出単価、輸出先、AI関連用途の比率などを確認する必要がある。

    それでも、今回の発表が示した変化は明確である。

    中国のAI関連産業は、AIモデルや完成品の開発だけでなく、世界のAIインフラ建設に必要な半導体、電子部品、サーバー、電力設備、蓄電池などを供給する産業としても拡大している。

    世界のAI投資が増えるほど、計算設備と電力設備の双方に需要が生まれる。その需要の一部を中国の製造業が取り込んでいる。

    2026年1~9月の貿易統計は、中国が世界のAI投資を支える供給側として、どのような位置にあるのかを示す重要な材料となった。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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