
ZEEKR、自社製LiDARが月1.43万基へ――完成車メーカーが「死角監視用」からセンサー内製化
[日刊]中国の車載LiDAR市場で、意外な名前が上位に入り始めた。完成車メーカーの吉利極氪(ZEEKR)である。
中国の調査機関NE時代がまとめた2026年8月のLiDAR搭載量によると、首位の禾賽科技(Hesai)が18万2,436基、華為(Huawei)が18万2,371基、速騰聚創(RoboSense)が7万8,247基、図達通(Seyond)が6万8,123基と続き、5位にZEEKRが1万4,300基で入った。
ZEEKRの全体シェアは2.7%にすぎない。しかし、1万4,300基はすべて車両周囲の死角を補う「死角監視用LiDAR」であり、この分野に限ればシェアは8.56%を占めたとされる。
完成車メーカーであるZEEKRが、HesaiやHuawei、RoboSenseと同じLiDARメーカーランキングに姿を現したのである。
ただし、ZEEKRが搭載するLiDARをすべて自社製へ切り替えたわけではない。前方を遠距離まで見るメインLiDARでは外部メーカーを積極的に利用しながら、車体周辺を監視する死角監視用LiDARを自社開発・自社使用する。
中国の自動運転競争は、ソフトウェアやAIチップだけでなく、ついに完成車メーカーによるセンサーの垂直統合にも広がり始めた。
LiDARメーカー5位に「ZEEKR」
2026年8月の中国乗用車向けLiDAR搭載量ランキングは、これまでの業界構造から見れば比較的分かりやすい。
Hesaiが18万2,436基で34.7%、Huaweiが18万2,371基で同じく34.7%。RoboSenseが7万8,247基で14.9%、Seyondが6万8,123基で13.0%だった。
この4社だけで市場の97%以上を占める。
ところが5位に入ったのは、LiDAR専業メーカーではなかった。
ZEEKRである。
搭載量は1万4,300基、市場シェア2.7%だった。
調査資料ではZEEKRについて、「死角監視用LiDAR市場で8.56%の市場シェアを占め、このうち死角監視用LiDARは1万4,300基」と説明している。
つまりZEEKRの1万4,300基は、すべて死角監視用である。
別の2025年通年の中国ADAS市場調査でも、ZEEKRは「唯一の完成車メーカー系自社開発メーカー」と整理され、自社製死角監視用LiDARの搭載実績が確認されている。
ZEEKRは、完成車メーカーであると同時に、小規模ながらLiDAR供給者としても統計に現れる存在になった。
1万4,300基はすべて死角監視用LiDAR
ここで「死角監視用LiDAR」とは何なのかを整理しておきたい。
一般的なLiDAR搭載車では、車両前方の遠距離を監視するメインLiDARが最も目立つ。
高速道路や市街地で、遠方の車両、歩行者、障害物などを3次元で検出するためのセンサーである。
一方、死角監視用LiDARは役割が違う。
前方だけではなく車体の側方や後方などを監視し、メインLiDARやカメラだけでは生じやすい死角を埋める。
ZEEKRが2025年に発表した自動運転レベル3(L3)向け運転支援技術アーキテクチャでは、この考え方が非常に明確だった。
同社はLiDARでも360度の知覚を実現するため、長距離LiDAR 1基+dToF方式の視覚監視用LiDAR 4基という計5基構成を採用すると説明している。超音波、ミリ波レーダー、カメラ、LiDARのそれぞれで360度の知覚を構築するという考え方である。
つまりZEEKRの自社製LiDARは、単独で車両前方をすべて見るためのものではない。
5 LiDARによる全周囲知覚を成立させるための4つの「目」として開発されたものだった。
出発点はL3を見据えた「5 LiDAR」
ZEEKRが死角監視用LiDARまで必要とした背景には、同社の運転支援システム「千里浩瀚」の最上位版H9がある。
2025年3月、ZEEKRはH9について、L3を見据えた運転支援技術アーキテクチャを開発していると発表した。
知覚だけを強化したわけではない。
中央演算、ステア・バイ・ワイヤ、デジタルシャシーまで含めた二重冗長化を進める一方、センサーについても、
超音波360度
ミリ波360度
カメラ360度
LiDAR360度
という「4つの360度」を掲げた。
LiDARを360度化するために必要になったのが、前方の長距離LiDAR1基だけでなく、車体周囲へ配置する4基の死角監視用LiDARだった。
ここが重要である。
LiDARを1基搭載するだけなら、完成車メーカーはHesaiやRoboSenseなどから完成品を購入すればよい。
しかし1台に5基搭載するとなれば、話が変わってくる。
コスト、サイズ、消費電力、車体への組み込み、センサー間の同期、量産規模まで含め、LiDARそのものが車両アーキテクチャの一部になってくる。
ZEEKRはそこで、5基すべてを外部調達するのではなく、一部を自社開発する道を選んだ。