
小鵬、欧州現地生産を1年で4車種へ――マグナでG9L試作、26カ国674万km検証の「グローバル車」を投入
[メンバーシップ限定]小鵬汽車(XPENG)は2026年10月10日、オーストリアのマグナ・シュタイヤー(Magna Steyr)工場で、新型SUV「G9L」の欧州現地初となる試作車が完成したと発表した。試作車の完成日は10月7日である。
小鵬はG9Lについて、世界26カ国・地域で3年間にわたり累計674万kmの走行試験を実施し、192回の衝突試験などを通じて国際市場への対応を進めてきたと説明している。
G9Lは10月12日のパリ・モーターショーで世界公開される予定で、最終的には世界64カ国・地域での展開を計画する。
今回の注目点は、新型車そのものではない。
小鵬は2025年第3四半期、マグナのオーストリア工場で欧州現地生産を開始した。今回のG9Lは、G6、G9、P7+に続く4車種目となる。
中国で開発したスマートEVを、欧州の既存完成車工場で製造する。しかも、現地生産の開始から約1年で対象車種を4車種まで増やした。
中国自動車メーカーの海外進出が、完成車輸出だけでなく、現地生産とグローバル市場向け開発を組み合わせる段階へ進んでいることを示す動きである。
10月7日、オーストリアでG9L初の試作車が完成
小鵬の公式発表によれば、10月7日にマグナのオーストリア工場で、欧州現地初となるG9Lの試作車が完成した。
同社は10月10日、微博(Weibo)の公式アカウントで工場の様子を紹介し、世界各地のエンジニアとの開かれた意思疎通、相互信頼、品質に対する共通認識を強調した。
マグナは、欧州の自動車産業で長年にわたり完成車の受託生産を担ってきた企業である。
オーストリアのグラーツ工場は、複数の自動車メーカーの車両を生産してきた実績を持つ。
小鵬も今回の公式投稿で、G9Lが欧州の複数の高級車と同じ工場で製造されることを強調した。
ただし、今回完成したのは試作車であり、G9Lの量産開始を意味するものではない。
量産開始日、年間生産計画、現地調達率などについては、今回の発表だけでは確認できない。
欧州現地生産開始から約1年、すでに4車種へ
今回の発表を単なる新型車の試作ニュースとして扱うと、小鵬の海外生産戦略における重要な変化を見落とすことになる。
小鵬は2025年第3四半期に、マグナとの協業によってオーストリアでの現地生産を開始した。
その後、対象車種を拡大している。
欧州現地生産の対象として挙げられているのは、G6、G9、P7+、そして今回のG9Lである。
わずか約1年で4車種に達したことは、小鵬が欧州生産を単一車種の試験的な取り組みにとどめていないことを示している。
もっとも、4車種が生産対象となったことと、4車種すべてが安定した量産規模に達したことは同じではない。
各車種の生産台数、稼働率、欧州市場での販売実績については別途確認が必要である。
それでも、小鵬が既存の欧州完成車工場を利用しながら、比較的短期間で生産車種を増やしている点は注目に値する。
自前の欧州工場ではなく、マグナの生産能力を活用
中国の自動車メーカーが欧州市場へ進出する際、大きな課題となるのが現地生産体制の構築である。
自社工場を新設する場合、土地の確保、設備投資、人材採用、サプライチェーンの構築、品質管理体系の整備などに多額の投資と時間を要する。
一方、小鵬は既存の完成車受託生産企業であるマグナとの協業を選んだ。
この方式では、マグナが持つ生産設備、製造技術、品質管理の経験、現地人材などを活用できる。
完成車メーカー側は、製品開発や販売網の拡大などに経営資源を集中させやすくなる。
特に、海外販売が成長途上にあるメーカーにとっては、自社工場を建設する前に現地生産体制を確保する選択肢となる。
ただし、受託生産方式には、製造コスト、部品調達、工程変更への対応、品質責任の分担など、独自の調整課題もある。
また、オーストリアで製造するという事実だけで、欧州域内の部品調達率や原産地規則への適合状況が確定するわけではない。
今回の発表から確認できるのは、小鵬がマグナとの協業を拡大し、欧州で製造する車種を増やしているという点である。
