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CATL、充電器がクルマを探す時代へ――65kWhの自走式蓄電ロボット、蘇州でEV充電と仮設電源を兼用

    [メンバーシップ限定]中国の電池最大手である寧徳時代(CATL)が、電池を搭載して自律移動する充電ロボット「CharGo(チャージゴー)」の実用化を進めている。

    2026年10月12日、CATLは江蘇省蘇州市呉江区での国慶節・中秋節連休中の運用実績を紹介した。

    観光地の駐車場では、10台のCharGoが電気自動車(EV)の近くまで移動して充電するサービスを提供。一方、同じ地域の公園では、従来のディーゼル発電機に代わり、イベントの仮設店舗や景観照明へ電力を供給した。

    CharGoは65kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載し、最大55kWの直流充電に対応する。

    固定式の充電器へクルマが移動するのではなく、電力を蓄えた設備そのものがクルマの場所まで移動する。

    しかも、その設備はEV充電に限らず、必要な場所へ電力を届ける移動型蓄電システムとしても利用できる。

    CATLは、車載電池や定置用蓄電池に加え、電力を必要な場所へ運ぶ新しいサービスの実用化を進めている。

    蘇州の観光地に10台、駐車したままEVを充電

    今回の舞台となったのは、蘇州市呉江区の同里古鎮である。

    水郷の歴史的な街並みで知られる観光地であり、連休中には多くの観光客が自家用車で訪れる。

    2026年10月1日、CATL傘下の酝電智能は、同里古鎮の北側駐車場に10台のCharGoを配備した。

    観光客はスマートフォンのミニプログラムから充電を申し込み、駐車位置を指定する。

    注文を受けたCharGoは、駐車場内を自律移動して車両の近くまで到着し、EVに電力を供給する。

    従来の固定式充電設備では、充電器のある駐車スペースを探し、空いていなければ順番を待つ必要がある。

    これに対してCharGoでは、普通の駐車スペースに停めたまま、充電設備がやって来る。

    観光客は駐車した後、観光や食事を楽しみながら充電サービスを利用できる。

    現地の公式紹介によれば、今回の連休期間中は観光客に無料で充電サービスを提供した。

    つまり、蘇州での取り組みは、利用者の反応や運用方法を確認する実証・普及段階の性格も持っている。

    無料サービスの利用実績を、そのまま通常料金での商用需要とみなすことはできないが、観光地の混雑期に移動式充電設備を投入する具体的な利用場面が示された。

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    ディーゼル発電機に代わり、イベントの電源にも

    今回の蘇州での導入には、もう一つの重要な用途がある。

    呉江区江陵街道の運河文化公園では、中秋節のイベント期間中、CharGoを仮設電源として利用した。

    電力の供給先は、イベント会場の臨時店舗や景観照明である。

    従来、こうした短期間の催しでは、ディーゼル発電機を持ち込んで電力を確保する場合がある。

    CharGoは内蔵電池から電力を供給するため、使用場所で燃料を燃焼させず、発電機のエンジン騒音も発生しない。

    CATLは、今回の運用によって排出ガスと騒音を抑えた電力供給を実現したと説明している。

    ただし、蓄電池に充電する電力の発電段階まで含めた排出量がゼロになるわけではない。

    重要なのは、EV向けの充電ロボットとして開発された設備が、そのままイベント用の移動電源としても活用されたことである。

    観光地の駐車場でクルマに電力を供給する用途と、公園で仮設店舗や照明に電力を供給する用途は、一見すると異なる。

    しかし、どちらも電力を必要とする場所へ、蓄電設備を移動させるという点では共通している。

    65kWhの蓄電池と55kWの直流充電器を一体化

    CharGoは、CATL傘下の上海酝電智能科技が開発する移動式の蓄電・充電・電池検査一体型ロボットである。

    2025年11月の中国国際高新技術成果交易会で公開された製品資料によれば、内蔵する蓄電池の容量は65kWhで、最大55kWの直流充電に対応する。

    電池にはCATLのリン酸鉄リチウムイオン電池を採用している。

    また、独自のバッテリー管理システム(BMS)や熱管理技術を組み合わせ、使用温度範囲はマイナス20℃から50℃とされる。

    防護性能は電池部分がIP68、設備全体がIP55である。

    65kWhという容量は、一般的な乗用EVの駆動用電池にも近い規模である。

    その電池を車両に固定するのではなく、充電モジュールや自律移動機構と組み合わせ、必要な場所へ運べるようにした。

    ただし、65kWhのすべてを外部へ供給できるわけではない。機器自身の移動に使う電力や充放電損失、電池の残量管理を考慮する必要がある。

    また、55kWは定格上の最大出力であり、実際の充電速度は接続する車両や電池残量などによって変わる。

    それでも、普通の駐車スペースに直流充電能力を持ち込める点は、固定式設備とは異なる特徴である。

     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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