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奇瑞と首鋼、再生材55%の自動車用鋼材を実用化――転炉で最大50%のCO₂削減、外板・構造部品にも対応

    [メンバーシップ限定]中国自動車大手の奇瑞汽車(Chery)と中国鉄鋼大手の首鋼集団が、再生材比率55%の自動車用鋼材を共同開発し、実際の自動車部品への適用段階に進めた。

    両社は2026年10月13日、奇瑞の龍山試験センターで、再生鋼比率55%の自動車部品の初出荷式を開催した。奇瑞は、自動車業界初の取り組みと位置付けている。

    今回の技術で注目されるのは、鉄スクラップの再利用を電炉ではなく、既存の転炉製鋼プロセスで高度化したことである。両社が共同開発した技術では、炭素排出量を最大50%削減できるとしている。

    さらに、再生材比率を高めながら、自動車の外板や構造部品に求められる品質・性能を確保したという。

    中国自動車産業の競争が、EVや電池、AIなどの完成車技術だけでなく、車体材料の低炭素化と製造工程の高度化にも広がっている。

    再生材比率55%、自動車部品への適用段階に

    今回発表されたのは、奇瑞と首鋼が共同開発した、再生材比率55%の自動車用鋼材である。

    10月13日に開催された発表式には、奇瑞のグローバル技術イノベーションセンター材料研究院院長の顧金海氏と、首鋼集団技術研究院副院長の韓贇氏が出席した。

    両社は、高い再生材比率を持つ自動車用鋼材について、材料開発から実際の部品への適用へと進めたことを成果として強調している。

    自動車の低炭素化では、走行時のエネルギー消費だけでなく、車両を構成する材料そのものの製造時排出量も重要になる。

    特に鉄鋼は車体を構成する主要材料であり、その製造工程で発生するCO₂を減らすことは、自動車全体のカーボンフットプリント削減に直結する。

    ただし、今回の発表では、採用する具体的な車種、部品ごとの使用量、量産規模などは明らかにされていない。

    部品への適用が発表されたことと、奇瑞の量産車全体で広範囲に採用されていることは区別する必要がある。

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    電炉ではなく、転炉でスクラップ比率を引き上げる

    今回の技術的な特徴は、転炉に大量の鉄スクラップを投入し、低炭素で高品質な鋼材を製造するプロセスにある。

    奇瑞は、この製造方法を世界初の技術と説明している。

    鉄鋼の再生材利用では、鉄スクラップを主原料とする電炉製鋼がよく知られている。

    一方、中国の鉄鋼産業では、鉄鉱石を高炉で還元し、転炉で鋼材を製造する長工程の製鉄プロセスが重要な位置を占めている。

    今回、奇瑞と首鋼が取り組んだのは、こうした転炉製鋼において、スクラップの使用比率を大きく引き上げることである。

    これは、単に再生原料を増やせば実現できるものではない。

    スクラップの使用量が増えると、原料の成分管理、不純物、非金属介在物、材料の機械的特性など、さまざまな技術課題への対応が必要になる。

    さらに転炉では、溶鋼の熱収支や操業条件も重要となる。

    奇瑞と首鋼は、こうした課題に対応し、再生材比率55%と自動車用鋼材としての品質を両立させたとしている。

    既存の長工程製鉄プロセスを活用しながら再生材比率を引き上げられるのであれば、製鉄設備を全面的に置き換えることなく、鋼材の低炭素化を進める選択肢となる。

    ただし、今回の発表では、具体的なスクラップ投入方法、熱収支の管理技術、製造コストなどは開示されていない。

    外板から構造部品まで、適用検証を完了

    再生鋼の実用化で重要なのは、再生材比率そのものよりも、自動車用材料として必要な性能を維持できるかという点である。

    自動車の外板には、成形性や表面品質が求められる。

    一方、車体の構造部品では、強度、靱性、加工性などに加え、部品の用途に応じた安全性能を確保する必要がある。

    再生原料に含まれる不純物や介在物を適切に管理できなければ、こうした品質要求への対応が難しくなる。

    奇瑞によれば、今回の55%再生鋼は検証を完了しており、外板や構造部品を含む主要な自動車部品へ適用できるという。

    再生材比率を高めても材料性能の安定性を維持し、安全・品質基準を満たしていると説明している。

    この点は、今回の発表で最も重要な技術成果の一つである。

    再生鋼が限定的な用途にとどまらず、車体を構成する幅広い部品に使用できるのであれば、自動車1台当たりの再生材使用量を引き上げる余地が広がる。

    もっとも、今回の資料では、鋼種別の強度、延性、成形性、疲労特性などの具体的な試験結果は示されていない。

    また、外板や構造部品への適用可能性が検証されたことと、すべての部品で量産採用が始まったことは同じではない。

     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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