
東風日産NX8のコラボ新色を中国現地はどう見るか?「合弁NEVの風向きが変わった」
[無料]中国の自動車メディア「汽車有文化」は2026年8月28日、「東風日産NX8が「上新了故宮」とコラボ、新色の背景に新たなストーリー」と題する記事を配信した。
そこでは東風日産がこのコラボに当たって発表した内容を取り込みながら、独自の論評を加えている。
「上新了故宮」は中国の人気文化バラエティ番組で、2018年に故宮博物院と北京テレビが共同で制作を開始。故宮博物院自身が出品者となった初のテレビ番組でもある。出演者が故宮の専門家とともに通常は入れない区域や文化財を探索し、歴史的背景やデザインを理解したうえで、デザイナーや大学生らと新しい文創商品を開発する、というのが基本構成。
今回の汽車有文化の論評では、NEVは中国ブランド一択から、今は合弁ブランドも伸長していること、そしてそれはこうした細やかな手法の積み重ねで実現していくものかもしれない、という結論は興味深い。ここではその全文を日本語にしてお届けする。
東風日産NX8が「上新了故宮」とコラボ、新色の背景に新たなストーリー
8月28日、東風日産NX8はこのほど、中国の人気文化IP「上新了故宮」とコラボレーションし、新たな限定カラーを発表した。エクステリアカラー「喜柿」とインテリアカラー「橙意」で、小規模な商品改良といえる。
毎日のように新車が発売される現在の中国市場において、それ自体はさほど目立つ出来事ではない。しかし、ある意味では注目すべきトレンドを示している。合弁ブランドが、よりきめ細かな市場・ユーザー運営へと向かい始めていることである。
数年前であれば、このような取り組みが合弁ブランドの新エネルギー車(NEV)で行われることはほとんどなかった。
これまで合弁ブランドは、NEV分野で常に追いかける立場にあった。スマートドライビングやスマートキャビンの搭載を進める一方、新たな市場セグメントへの参入や商品ラインアップの拡充を急いできた。そのため、ボディカラーやユーザーの細かなセグメンテーションといった部分まで手を掛ける余裕は、合弁ブランドのNEVにはあまりなかった。
しかし現在、市場環境は変化している。
一方では、NEV市場の成長率が明らかに鈍化し、主力価格帯では商品の同質化がますます進んでいる。装備や技術をめぐる競争も急速に限界へ近づいている。
もう一方では、合弁ブランドがNEV市場で徐々に存在感を取り戻しつつある。競争の焦点は、これまでの「商品があるかどうか」から「その商品が本当に使いやすいか」へと移り、合弁ブランドは中国ブランドからユーザーを取り戻し始めている。
より具体的な業界環境を見ると、価格競争も限界に近づいており、これ以上価格を引き下げる余地は小さい。新たな競争軸を探さなければならない。
中国ブランドはこれまで、コストパフォーマンスと素早い商品改良によって先行してきた。しかし、製造精度、品質管理システム、長期的なユーザー運営といった面では、蓄積が相対的に限られている。
一方、合弁ブランドは数十年にわたりエンジン車を生産してきた。完成車の製造技術、耐久性検証、ユーザー理解といった分野に深い蓄積を持つ。こうした能力こそ、次の競争段階における重要な要素になりつつある。
今回の東風日産NX8の新しいボディカラーを例に取ろう。
「単に色を変えただけではないか」と考える人も多いだろう。
しかし実際には、赤は自動車のボディカラーの中でも表現が難しい色系統である。車体全体という大きな面積に使用する場合、色調や塗装工程にわずかな差があるだけでも、質感に大きな違いが生じる。
東風日産は今回の限定色のために、前後180バージョンにわたって色を調整した。4種類の光環境で一つずつ検証し、中高級車で使用される「3C2B」塗装工程を採用。さらに3,000回以上の光学耐久試験を実施したという。
ユーザーが直接認識しにくい部分にまで手を掛けることは、製造段階におけるきめ細かな作り込みの典型である。
合弁ブランドがエンジン車時代から培ってきた製造基準をNEV車へ移植し、品質の細部によって差別化しようとしているのである。
ユーザーの観点から見ても、今回の限定カラーは明確なユーザー像に基づいて設計されている。
NX8の中心ユーザーは35~39歳の既婚・子育て世帯で、買い増しや買い替えの割合が高い。
さらに、男性購入者の6割以上が購入時に配偶者の意見を参考にしており、女性は技術スペックよりもエクステリアやインテリアに対する感度が大幅に高いという。
そこで文化IPと連携し、意味を持たせたカラーを設定する。
これは本質的には、ファミリー層の自動車購入意思決定における女性の視点を正確に狙ったものであり、これまで見落とされていた細分化されたニーズを、独立した商品選択肢へと転換したものだ。
こうした変化は商品だけではない。サービスも同様である。
NEVユーザーが特に懸念するバッテリー劣化、修理費用、消耗部品の損耗に対して、東風日産は「三無憂」政策を打ち出し、それぞれについてユーザーの負担軽減策を用意している。
さらに、ユーザー層に応じた買い替え・再購入向けの特典も設定するなど、自動車を所有する全期間を通じて発生するユーザーの問題を細かく分解し、一つずつ解決しようとしている。
NEV分野で自らの能力を証明することに追われていた以前の合弁ブランドとは、すでにまったく異なる状態になっている。
言い換えれば、合弁ブランドにもようやく「余裕」が出てきたということである。
東風日産を例にすると、同社のNEV事業は今年上半期に良好な成長を遂げた。
たとえば東風日産NX8は発売以降、累計納車台数を着実に伸ばし、2カ月連続で合弁ブランドの中大型SUV販売台数1位となった。
レンジエクステンダー版とBEV版の販売比率はほぼ50対50となっており、上位のMaxグレードの累計販売比率は80%を超えた。
LiDARと都市NOA(都市部の道路に対応するナビゲーション型運転支援)を搭載する上位仕様は特にユーザーから選ばれている。
さらにBEV版NX8は、J.D. Power China系の自動車調査ブランド「LandRoads(杰蘭路)」による20万~25万元クラス SU BEVのコストパフォーマンス指数で1位を獲得した。
これは、合弁ブランドのNEVが持つ技術力と評判に対するユーザーの評価を示すものだ。
有文汽車の見方
現在、「合弁ブランドの反攻」という言葉をよく耳にする。
しかし、いわゆる「反攻」は必ずしも大々的なものである必要はないのかもしれない。
限定カラーを一つ追加する、IPとのコラボレーションを一度実施する――そうした目立たない取り組みを積み重ねることによって、徐々に進めることもできる。それはむしろ、合弁ブランドの性格や従来のやり方にも合っている。
総じて言えば、現在の市場の風向きが変化していることは明らかである。
東風日産をはじめ、上汽フォルクスワーゲン、上汽GMなどの合弁ブランドは、再び主導権を取り戻しつつある。
かつて新興EVメーカーは、「自動車づくりはマラソンだ」とよく語っていた。
彼らも、おそらく予想していなかったのではないだろうか。
(合弁ブランドの復権により中国新興が迎えざるを得ない)本当の試練は、まだ始まったばかりなのかもしれない。
[出典]
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