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BYD王朝シリーズ、累計1000万台――「秦」から13年、中国車の大衆化を支えた「技術の平等化」

    [無料]中国BYDの王朝シリーズが、累計1000万台の節目を迎えた。

    BYDは2026年9月29日、王朝シリーズの1000万台目となる車両がラインオフしたことを発表した。BYD集団董事長兼総裁の王伝福氏のスピーチ動画を配信、同社が自動車産業へ参入してから23年、そして2013年に最初の王朝シリーズ「秦」を投入してから13年間の歩みを振り返った。

    王氏が今回強調したのは、単なる1000万台という販売規模ではない。

    「新エネルギー車には可能性がある。中国車には可能性がある」

    そのことを王朝シリーズの13年間によって証明してきた、というのが今回のメッセージである。

    2013年、「秦」から始まった王朝シリーズ

    王氏はまず、BYDの自動車事業そのものを振り返った。

    「23年前、私たちは新エネルギーへの夢を抱き、自動車産業へ参入した。そして、まだ誰も歩んだことのない道を選んだ」

    その転換点として挙げたのが2013年である。

    この年、BYDは初めて中国王朝の名を冠したモデル「秦」を投入した。ここから王朝シリーズが始まった。

    現在では中国の自動車メーカーが中国文化や中国語の名称を前面に出すことは珍しくない。しかし王朝シリーズは、それを早い段階からブランド体系そのものに組み込んできた。

    外国語風の商品名へ寄せるのではなく、中国の歴史そのものを車名にする。

    それが13年間を経て、1000万台という規模まで拡大した。

    秦、唐、宋、元、漢、夏へ

    王氏は王朝シリーズについて、「秦、唐、宋、元、漢、夏」という6つのモデルIPを挙げ、それぞれによって異なる市場をカバーしてきたと説明した。

    ここで重要なのは、王朝シリーズが一つの車種の成功ではないことである。

    車格や用途の異なる商品を王朝という共通世界の中へ次々と組み込み、BYDの中核商品群そのものへ育ててきた。

    今回、累計1000万台という数字に到達したのも、単一モデルのヒットを積み上げた結果ではない。王朝というブランド体系が巨大な商品群へ成長した結果である。

    王氏自身も、その変化を明確に言葉にしている。

    王朝シリーズは「NEV市場の開拓者」から「業界をリードする存在」へ変わったという。

    「新エネルギー車には可能性がある、中国車には可能性がある」

    1000万台という節目を、王氏は中国自動車産業全体の変化にも重ねた。

    「私たちは、中国の新エネルギー車(NEV)だからこそ歩めるイノベーションの道を切り開いてきた」

    そして、「新エネルギー車には可能性がある。中国車には可能性がある」ことを証明したと語った。

    現在の中国NEV市場だけを見れば、この言葉はそれほど特別には聞こえない。

    しかし王氏が起点としているのは23年前であり、王朝シリーズについても2013年からの13年間である。

    今回BYDが1000万台という数字とともに示そうとしているのは、現在の販売実績だけではなく、かつて主流ではなかった中国NEVが巨大な大衆市場へ変わるまでの時間軸である。

    王伝福氏が強調した「技術の平等化」

    そして今回、王朝シリーズの存在意義として王氏が改めて持ち出したのが「科技平権」である。

    日本語にすれば「技術の平等化」に近い。

    王氏は、BYD王朝シリーズが一貫して「科技平権」を掲げ、「優れた技術を誰もが享受できるようにする」ことを目指してきたと説明した。

    これは1000万台という数字ともつながっている。

    最先端技術を一部の高級車だけに搭載するのではなく、より多くの家庭が購入できる商品へ落としていく。その結果として販売台数が増え、規模がさらにコストを下げ、次の技術普及を可能にする。

    王朝シリーズは、BYDにとって高級ブランドを作るプロジェクトではなかった。

    むしろ技術を巨大な大衆市場へ広げるためのブランドだった、と今回の王氏の説明からは読み取れる。

    1000万台目は「大漢」

    そして1000万台という節目を飾ったのが「大漢」である。

    BYDの公式投稿も「大漢のラインオフによって、王朝シリーズ1000万台の節目を刻む」と明記した。

    ここには象徴性がある。

    2013年の「秦」から始まり、唐、宋、元、漢、夏へと広がってきた王朝シリーズ。その1000万台目として新たな新型「大漢」がラインオフする。

    単に工場で1000万台目の車両に花を付けるのではなく、王朝というブランドの歴史そのものを演出に利用しているのである。

    王朝シリーズが作ったのは高級ブランドではなかった

    中国メーカーがブランドを上へ伸ばす動きは、この数年間で急速に増えた。

    BYD自身も複数のブランドを展開している。

    しかし今回の王伝福氏の言葉から改めて見えてくる王朝シリーズの役割は、それとは少し違う。

    目指してきたのは「高く売れる中国車」だけではない。

    中国独自のブランドを作り、中国独自のNEV技術を載せ、それを普通の家庭が購入できる規模まで普及させる。

    王氏が「科技平権」を1000万台の節目で改めて語った意味は、ここにある。

    1000万台という数字そのものが、「優れた技術を誰もが享受できるようにする」という考え方の結果だと位置付けているのである。

    「中国車には可能性がある」を1000万台で証明

    王氏は最後に、1000万人の王朝シリーズのオーナーへ感謝を述べた。

    「1000万の思いが集まり、一つの光となった」。そして、「これからも皆さんと共に歩み、中国ブランド、中国車を世界の舞台で輝かせていきたい」と締めくくった。

    王朝シリーズ1000万台は、BYDという一社にとっての販売記録である。

    一方で、今回の王伝福氏はそれを、23年前に新エネルギー車という「誰も歩んだことのない道」を選んだところから始まる物語として語った。

    2013年の「秦」から13年。

    王朝シリーズは中国文化を前面に掲げた商品群を巨大な大衆ブランドへ育て、累計1000万台へ到達した。

    そしてBYDがその節目で掲げた言葉は、さらなる高級化でも、1000万台という規模の誇示でもない。

    「優れた技術を誰もが享受できるようにする」。

    王朝シリーズ1000万台は、BYDが長年掲げてきた「技術の平等化」が、理念だけではなく販売規模として現れた一つの到達点なのである。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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