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一汽VW「ID.AURA T6」予約販売開始、中国開発CEA+地平線HS8で「新しいVW」へ

    [メンバーシップ限定]一汽VW(FAW-Volkswagen)は2026年8月27日、中国・杭州で新型ミドルサイズBEV「ID.AURA T6」の予約販売を開始した。

    予約販売価格は13万5,900~16万9,900元。全長4.8m超のSUVを13万元台から投入する。一汽VWによれば、正式な予約販売開始前の段階ですでに2万世帯以上から注文を獲得している。

    ただし、今回の発表会で最も重要なのは価格でも航続距離でもない。

    一汽VWはT6を、自社が「智電2.0」と呼ぶ新段階の最初の製品と位置付けた。そして、中国で新規開発した電子電気アーキテクチャ「CEA」、地平線(Horizon Robotics)のAI技術、CARIZON(酷睿程)が開発したHS8運転支援システムを組み合わせ、従来の「VW本社が製品を定義し、中国で生産する」というクルマづくりから脱却する姿勢を鮮明にした。

    発表会で示されたキーワードは、「ユーザーの声を聞く」「イノベーション」「守るべきものを守る」の3つである。

    これは単なる新型車発表ではなく、中国の知能化技術を取り込みながら、VWのクルマづくりを中国から再構築するという宣言でもあった。

    「VW本社が定義するクルマ」からの転換

    一汽VWは1991年の設立から35年間、世界の先進技術を中国へ導入し、VWのグローバル基準を中国市場へ持ち込む役割を担ってきた。

    しかし発表会では、この関係が変わったことを明確に認めた。

    従来、一汽VWの商品はVW本社によって定義され、一汽VWはそれを高い品質で実現する役割を担っていた。しかし現在は、「中国ユーザーの需要」「中国市場の変化」「中国のイノベーション」が自動車開発の新しい出発点になっているとした。

    さらに、中国で生まれた知能化・電動化技術をVWのグローバル体系へ取り込み、世界へ展開していく方向性も示した。そのうえで「智電2.0」のクルマづくりを、

    • 聴勧:実際のユーザーニーズから商品を再定義

    • 創新:中国の知恵とグローバルのエンジニアリング体系を融合

    • 堅守:安全と品質というVWの根本を守る

    と定義した。T6は、この3原則を初めて具体化したモデルとなる。

    「スマートカーは機能ではなく、底層アーキテクチャから変える」

    発表会中盤には、VWグループ中国執行副総裁兼CEAチーフアーキテクトの韓森楚氏と、地平線創業者兼CEOの余凱氏が登壇した。ここで韓氏が示した考え方は明快であった。

    スマートカーを再定義するには、まずクルマの底層アーキテクチャを変えなければならない。

    従来の自動車では数十個のECUがそれぞれ独立して車窓、エアコン、シート、パワートレインなどを制御していた。

    これに対して新しいクルマには、運転支援やスマートコックピットを担う「知能」と、車体、シャシー、パワートレインなどを協調制御する「運動」を統合し、車両全体で考え、行動する構造が必要になるとした。

    その回答が、中国で新規開発したCEA(China Electronic Architecture)である。

    CEAでは従来の分散型E/Eアーキテクチャから中央集中型へ移行。韓氏はこれを「フィーチャーフォンからスマートフォンへの飛躍」に例えた。そしてT6について、

    「一汽VWがこの分水嶺を越える最初のクルマ」

    と表現した。かなり強い位置付けである。

    CEAでECU30%削減、ワイヤーハーネス50%短縮

    CEA導入による変化について、一汽VWは3つの「飛躍」として説明した。

    第1は、より軽く、速く、故障を少なくすること。車載コントローラーを約30%削減し、ワイヤーハーネスを50%短縮。意思決定を中央コンピューティングプラットフォームとゾーンコントローラーへ集約する。

    第2は、車両そのものを継続的に進化させること。全車OTAに加え、車載大規模モデルも継続更新し、「買った瞬間から価値が下がる」クルマから「購入後も成長する」クルマへ変える。

    第3は、スマートコックピット、運転支援、車両アーキテクチャを同源・一体化し、人車インタラクションを滑らかにすることである。

    一汽VWは、これを後付け的に複数システムを接続した構成との差別化ポイントとしている。

    CEAの上に地平線「Journey 6H+HSD」、CARIZONがHS8を開発

    CEAが車両側の「身体」だとすれば、その上に搭載する「頭脳」を説明したのが地平線の余凱氏である。

    T6の上位グレードは、地平線の車載AIチップ「Journey 6H」を搭載。演算能力は420TOPSとなる。

    さらに地平線のHSD基盤モデルを採用する。発表会では、中国で初めて量産搭載を実現した「一段式E2E(End-to-End)」運転支援大規模モデルと説明した。従来のルールベースによる計画・制御から脱し、複雑な交通環境における判断、予測、駆け引きをニューラルネットワーク側で学習させるとしている。

    これをベースに、VWと地平線の合弁会社CARIZON(酷睿程)が全シーン対応運転支援ソリューションHS8(HyperSense 8)を開発し、T6向けに共同開発・適合した。

    ここで今回のT6の技術構造が見えてくる。

    • CEA=中国で開発したVWの新しい車両アーキテクチャ

    • Journey 6H+HSD=地平線のAIコンピューティング/E2E基盤

    • HS8=CARIZONが構築するVW向けL2++運転支援

    という構成である。VWは中国においてこうした運転支援技術を「行雲」としてブランド化している。今後中国における「行雲」は今回示された地平線ベースのソリューションが主流になる可能性が高い。

    一方でVWは中国において、一汽VW、上汽VW(以上アウディ含む)、VW安徽で、地平線単独従来、華為(Huawei)、Momenta、小鵬(XPENG)、卓馭(ZYT)など各社のスマートドライビングソリューションを導入している。

    当然これらがすぐに今回発表された独自開発の地平線ベースのソリューションに切り替わる訳もなく、また現在市販のものは今後10年あるいはそれ以上OTA改善等が必要になってくる。中国のVWが今後も今回発表された独自L2++のみになる、というのは、少なくとも短期的にはあり得ない状況だと言える。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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