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NIO eS8、クラウド路面情報で四駆・回生制動・サスペンションを協調制御――濡れた橋梁継ぎ目で安定性88%改善

    [メンバーシップ限定]中国の蔚来(NIO)は2026年10月23日、大型電動SUV「eS8」が備える路面認識・車両制御技術について、秋雨による道路環境の変化を例に、その仕組みを紹介した。

    注目されるのは、カメラや車載センサーによる周辺環境の認識に加え、クラウド上に蓄積された道路情報を活用し、四輪駆動、回生制動、油圧ブレーキ、サスペンションを協調制御する点である。

    雨がやんだ後も濡れている路面、滑りやすい橋梁の継ぎ目、地下駐車場の樹脂床、落ち葉で見えにくくなった道路の凹凸など、日常の走行環境に存在するさまざまな条件を想定している。

    NIOによれば、濡れた橋梁の継ぎ目を直角に通過する試験では、専用制御によって車両の安定性が88%改善したという。

    今回の発表は新機能の投入告知ではなく、eS8に搭載される複数の既存技術を、雨天・雨上がりの走行場面に沿って体系的に説明したものである。

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    クラウドの道路情報を車両制御に活用

    今回の発表を理解するうえで重要なのは、eS8が道路の状態を把握する手段である。

    NIOは、クラウドに蓄積した路面情報と、車両側のセンサーやシャシーから得られる情報を組み合わせることで、路面の滑りやすさや凹凸を把握する仕組みを採用している。

    車両がその場所に到達してから状態の変化に対応するだけではなく、すでに記録されている道路情報を利用し、通過前から制御を準備できることが特徴である。

    たとえば雨がやんだ後でも、日陰や低い場所には水分が残る。高架道路の継ぎ目や地下駐車場の床面などでは、通常のアスファルトとは異なる摩擦条件が生じることもある。

    こうした状況に対し、eS8は「スマート湿滑レイヤー」と呼ぶクラウド連携機能を利用する。

    路面の状態を認識した後は、四輪駆動や車両安定性制御の設定を変更し、路面の摩擦条件に応じた走行を支援する。

    従来の車両安定性制御は、タイヤの空転や車両の横滑りなどを検出して対応する仕組みが中心だった。

    これに対し、クラウド情報を利用する方式では、すでに把握している路面の危険箇所について、車両が到達する前から対応を準備できる。

    ただし、クラウド上の道路情報が常に最新であるとは限らない。実際の制御では、車両側で取得する情報との組み合わせが重要になる。

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    濡れた橋梁の継ぎ目で、回生制動と油圧ブレーキを協調制御

    今回、NIOが具体的な改善数値を示したのが、濡れた橋梁の継ぎ目を通過する場面である。

    橋梁の継ぎ目は、アスファルト舗装とは異なる材質や構造を持つことがあり、雨天時にはタイヤの接地条件が急激に変化する場合がある。

    特にEVでは、アクセルペダルを戻した際の回生制動が車両の減速に関わるため、路面の摩擦条件が急変する場面では、前後輪への制動力配分が車両挙動に影響する。

    eS8の「スマート路橋継ぎ目安定制御」は、クラウド上の道路情報を使い、滑りやすい継ぎ目の位置を事前に把握する。

    そして継ぎ目を通過する際には、回生制動の前後輪配分と、回生制動・油圧ブレーキ間の制動力配分をミリ秒単位で調整する。

    狙いは、路面の摩擦条件が突然変わった場合でも、タイヤに加わる制動力を適切に調整し、車両の姿勢変化を抑えることである。

    NIOによれば、この制御によって、濡れた継ぎ目を直角に通過する際の安定性が88%改善した。

    ただし、これはNIOが公表した試験値であり、安定性を評価した具体的な指標や比較条件、走行速度などの詳細は今回の資料には示されていない。

    したがって、88%という数字を制動距離の短縮率や横滑り量の減少率として読み替えることはできない。

    それでも、回生制動と油圧ブレーキを個別に扱うのではなく、路面情報に基づいて協調制御する点は、EVのシャシー制御を考えるうえで重要である。

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    地下駐車場の樹脂床にも専用ABS制御

    eS8は、地下駐車場などで使用されるエポキシ樹脂床にも専用の制御を用意している。

    こうした床面は、水分が付着するとタイヤの摩擦力が低下しやすく、制動時や旋回時に車両が滑る場合がある。

    NIOは、この環境に対応する機能として「エポキシ樹脂床スマート車速制御」を紹介した。

    専用のABS設定によって、低摩擦路面での制動距離を可能な限り短くすることを目指す。

    さらに、前方の障害物までの距離と現在の路面の摩擦条件を利用し、その状況で走行可能な車速を計算する。

    これに基づいて車速を連続的に調整し、制動だけでなく旋回時の安定性も確保する設計である。

    ここで注目されるのは、単にタイヤのロックを防ぐABSの作動だけでなく、路面の摩擦力に応じて車速そのものを管理する点だ。

    ただし、今回の発表では、通常のABS制御に対する制動距離の改善率や、対象となる床面の具体的な摩擦係数などは公表されていない。

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    湿滑路面を検出すると四輪駆動と安定性制御を調整

    eS8は、濡れた路面を認識すると、四輪駆動と車両安定性制御の設定を調整する。

    同時に、車内ディスプレイへの通知と音声アシスタント「NOMI」によって、ドライバーに専用の湿潤路面モードを有効にするよう案内する。

    ドライバーがモードを選択しなかった場合でも、通常の動力応答を維持しながら、四輪駆動システムと湿潤路面向けの安定性制御を組み合わせて走行を支援するという。

    つまり、ドライバーによるモード選択を促す仕組みと、車両側で行う安定性制御を併用している。

    雨天時の路面は、一様に濡れているわけではない。

    日なたでは乾燥が進む一方、日陰や橋梁の継ぎ目には水分が残ることがある。地下駐車場では、車両が持ち込んだ雨水によって一部だけが滑りやすくなる場合もある。

    eS8は、こうした場所ごとの違いを踏まえて車両の制御を変更することを目指している。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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