
中国製造業、AI導入率が30%超に――工信部、20業種で1,000超の応用シーン、産業用AIエージェント100種類以上
[メンバーシップ限定]中国工業情報化部(工信部)は2026年10月19日、国務院新聞弁公室が開催した記者会見で、中国製造業におけるAI導入状況と今後の産業政策を説明した。
工信部科学技術司の魏巍司長によると、一定規模以上の製造企業におけるAI技術の導入率は30%を超えた。鉄鋼、自動車、医薬など20業種を対象に、1,000件以上の高付加価値AI応用シーンを整理し、285件の代表的な導入事例を公表している。
工信部は今後、AI技術の供給強化、AI搭載製品の普及、産業界と市場の需給接続を重点的に進める。
製造業20業種で1,000件以上のAI応用シーン
工信部は、産業ごとにAI活用の全体像を整理し、個別の応用シーンごとに情報を管理する「一業種一マップ、一シーン一記録」の方式で、製造業へのAI導入を進めている。
対象は鉄鋼、自動車、医薬など20業種に及ぶ。これまでの実績は以下の通り。
高付加価値AI応用シーン:1,000件以上
公表済みの代表的応用事例:285件
技術供給側と需要企業のマッチング参加企業:5,000社以上
一定規模以上の製造企業におけるAI技術導入率:30%超
工信部は、AI産業そのものの育成と、既存産業におけるAI活用の促進を並行して進める方針を示した。
産業用AIエージェント100種類以上、高品質データセット500件超
AIを製造業に導入するための産業基盤整備も進んでいる。
工信部は「模数共振」行動を推進し、重点産業20分野を対象に、産業データとAIモデルの連携を強化している。
主な実績は以下の通り。
高品質データセット:500件以上
普及を進める産業用AIエージェント:100種類以上
関連する国家標準・業界標準:100件以上
中国が主導して策定を進める国際標準:70件以上
また、AIエージェント間の相互接続プロトコルを公表し、普及を加速している。
個別企業によるAI活用にとどまらず、産業データ、AIモデル、AIエージェント、技術標準を組み合わせた産業基盤の整備を進めている。
AI端末は2026年上半期に1億台超を出荷
消費者向けAI端末についても、製品の高度化と標準化を進めている。
工信部は「AI端末のインテリジェント化レベル分類」に関する国家標準体系を構築し、スマートフォン、パソコン、テレビ、スマートグラスなど7種類の製品カテゴリーについて、具体的な標準を公表した。
すでに100機種以上が「補助レベル」の能力要件を満たしている。
このレベルでは、AI端末が利用者の意図を理解し、能動的にサービスを提供することが求められる。
2026年上半期には、各種スマート端末の出荷台数が合計1億台を超えた。
なお、今回の発表では、この1億台の製品カテゴリー別内訳や、すべてがAI機能を搭載した端末であるかについての詳細は示されていない。
AI企業は6,600社超、600億元の国家投資基金
中国のAI関連企業数は、2026年6月末時点で6,600社を超えた。
工信部はAI応用サービス事業者の育成を進め、企業のAI導入を支援するサービス提供体制を強化している。
また、国家卓越工程師実践基地を整備し、AI分野の技術人材育成を推進している。
資金面では、600億元規模の国家AI産業投資基金を設立し、関連企業やプロジェクトへの投資を進めている。
さらに、AIオープンソースコミュニティ「AtomGit」の整備や、AI科学技術倫理に関する審査・サービス制度の実施を通じて、技術開発と産業利用を支える環境整備を進める。
次の重点はAI技術供給、製品刷新、需給接続
工信部は今後の重点施策として、3つの方向を示した。
第一は、AI技術の供給強化である。
重点技術課題を公募し、実際の産業現場の需要に対応した、費用対効果が高く、他の企業や産業にも展開可能なAIソリューションの開発を促進する。
第二は、AI搭載製品の普及と刷新である。
商務部などと連携し、買い替え促進政策などを活用してAIパソコンやAIスマートフォンの普及を進める。
同時に、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)やEmbodied AIなどの技術開発と製品改良を推進する。
対象は消費者向け端末に限らない。AIを活用した産業用工作機械、農業機械、医療機器なども重点分野に位置付けている。
第三は、AI製品の生産と販売の接続である。
AI応用サービス事業者を育成するとともに、企業間の需給マッチングを継続し、工場で生産されたAI製品が流通・販売を経て消費者に届くまでの経路を整備する。