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豆包は「車内に住むAI」になれるか――Roewe実車で見えたByteDanceの車載LLM戦略

    [日刊]前回は、ByteDance(字節跳動)のAIサービス「豆包(Doubao)」が、Roewe(栄威)家越07を皮切りに車載展開を開始する動きを紹介した。

    特徴は、単に豆包の大規模言語モデル(LLM)を自動車メーカーへ提供するのではなく、「豆包」という名前とキャラクターをそのまま車内へ持ち込むことにある。

    専用の小型ディスプレイに顔を表示し、複数の乗員を識別する。ユーザーごとの習慣を記憶し、会話から要求を理解して、ナビゲーション、空調、シート、マッサージなど複数の車両機能を横断的に操作する。

    今回、実際に家越07へ搭載された豆包を試す動画が公開された。

    これを見ると、正式発表だけでは分かりにくかったByteDanceの狙いが、さらに具体的に見えてくる。

    豆包が目指しているのは、高性能な「音声操作装置」ではない。

    車内で起きていることを理解し、乗員同士の会話にも入り込み、その文脈に応じて実際のクルマを動かすAIである。

    車載AIのデモなのに、ほとんど「クルマの話」をしない

    動画でまず印象的なのは、ナビゲーションや車両設定といった一般的な車載AIの機能紹介が中心ではないことである。

    運転席と助手席が豆包を挟んで話す。冗談を言う。怒ったふりをする。豆包にどちらかの味方をするよう求める。話し方や人格を変えさせる。豆包もその会話へ参加する。

    従来の車載音声アシスタントのデモであれば、「窓を開けて」「目的地を設定して」「エアコンを22度にして」といった音声操作を見せるところである。

    今回の動画はむしろ、AIを車内の人間関係へ入れたら何が起きるのかを試している。

    ByteDanceが車載LLMに求めている役割が、ここによく表れている。

    「誰が話したのか」まで理解する

    動画の序盤では、助手席から豆包に「運転しているのは男性か女性か」と尋ねる。

    豆包は運転席側を確認し、男性だと回答する。

    その後、運転手が「本当は女性なのに、助手席も豆包も男性と言ったので不機嫌になった」と話すと、豆包は単に謝罪するだけではない。

    助手席の先入観に自分も引っ張られた、という趣旨で返答する。

    さらに運転手が「もう助手席と一緒にクルマに乗りたくない。降ろしたい」と話すと、豆包は「助手席のシートマッサージを最強にして揺らしてあげようか」と冗談で応じる。

    重要なのは、質問と回答が一往復で終わっていないことである。

    豆包は、誰が発言したのか → 何について話しているのか → 自分が先ほど何を答えたのか → 現在どのような会話になっているのかをつなげながら次の返答を作っている。

    前回の発表で説明された「複数音区を識別し、車内の複数乗員が一つの豆包と会話する」という機能が、実際にはこう使われるわけである。

    危険な要求は、そのまま実行しない

    さらに興味深い場面がある。

    運転手が豆包に「助手席を弾き飛ばして」と要求する。

    もちろん実際にそのような車両操作ができるわけではなく、豆包も「ここは道路だから、それはできない」という趣旨で拒否する。

    そこで今度は「窓を開けて寒い風を当てて」と要求される。

    これについても、そのまま命令を実行するのではなく、運転手自身まで寒くなるとして別の方法を提案する。

    動画としては冗談のやり取りである。

    しかし車載LLMという観点では、かなり重要な部分でもある。

    大規模モデルが車両機能へ接続されるようになると、ユーザーの命令を理解することと、その命令を実行することは別問題になる。

    必要になるのは、要求を理解する → 実行可能か判断する → 適切な操作か判断する → 必要なら拒否する → 代替案を考える → 車両機能を動かす、という処理である。

    前回紹介した「少し昼寝したい」という一言からシート、空調、マッサージ、アラームをまとめて設定する機能と、基本的な考え方は同じである。

    ユーザーの言葉を単純に車両コマンドへ変換するのではなく、LLMが要求と実行の間に入る。

    「緑茶キャラになって」で人格が変わる

    動画の中盤からは、豆包のもう一つの特徴が前面に出る。

    ユーザーが豆包に、話し方を変えられるか尋ねる。豆包は、優しい感じ、かわいい感じ、真面目な感じなどを提案する。

    そこで指定されたのが中国のネット表現でいう「緑茶」風である。ここでは、甘えた、ややあざとい女性的な話し方という意味合いで使われている。

    すると豆包は即座にキャラクターを切り替え、甘えた調子で会話を始める。

    重要なのは、単に声色だけを変更するのではなく、その後の受け答えも設定された人格に合わせて生成することである。

    つまり、一般的な生成AIで使われているロールプレイ能力そのものを車載HMIへ持ち込んでいる。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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