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アウディ中国、初の中国人総裁に奇瑞出身の張俊氏――中国市場の競争激化に対応、独中混成の新経営体制へ

    [メンバーシップ限定]ドイツのアウディは2026年10月22日、中国事業の経営体制を刷新し、11月1日付で張俊(Jeff Zhang)氏をアウディ中国総裁に任命すると発表した。中国籍の人物が中国事業の最高責任者に就くのは、アウディが中国市場へ進出して以来、約40年で初めてとなる。

    張氏は中国自動車大手・奇瑞汽車(CHERY)で国際事業の副総裁などを務めた経歴を持つ。一方、アウディ中国の上級管理職として、一汽アウディと上汽アウディの事業にも関わった経験がある。

    今回の人事は、単なる経営トップの国籍変更ではない。

    中国メーカーでの事業運営経験と、アウディが中国で展開する二つの合弁事業への理解を併せ持つ人物を、中国事業の最高責任者に据えたことが重要である。

    アウディは同時に、アウディ・スポーツを率いてきたロルフ・ミヒル氏を中国事業の最高執行責任者(COO)に任命することも発表した。

    中国市場に精通した張氏と、アウディの製品・ブランド運営を経験してきたドイツ人幹部による新たな経営体制となる。

    中国の自動車市場では、電動化、スマートコックピット、高度運転支援(ADAS)、商品開発速度などを巡る競争が激化している。アウディも中国市場に合わせた新商品開発と技術協業を進めており、今回の人事は、その取り組みを経営面から強化する動きと位置付けられる。

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    写真は2026年GTワールドチャレンジ・アジアカップ北京大会でのアウディのレーシングチーム。以下同

    約40年で初めて、中国人が中国事業のトップに

    アウディが中国で事業を開始したのは1988年である。

    その後、一汽との合弁事業を通じて中国のプレミアム車市場で地位を築き、近年は上汽集団との協業も拡大してきた。

    今回、張氏が中国事業の最高責任者に就くことで、アウディの中国事業は新たな段階に入る。

    アウディは公式発表で、中国市場が世界の自動車産業の変革を牽引していることを強調し、現地の顧客ニーズや市場の変化に迅速に対応できる体制を整える方針を示した。

    アウディCEOのゲルノート・デルナー氏も、中国市場の重要性と、今回の経営体制変更によって競争力を持続的に強化する考えを説明している。

    従来のドイツ本社を中心とする経営管理を維持するだけでは、中国市場の変化に十分対応できない。

    今回の人事からは、そうした課題に対して、現地の経営判断力を高めようとするアウディの方向性が読み取れる。

    ただし、今回の公式発表では、中国事業への具体的な権限移譲や、ドイツ本社との意思決定分担を変更する制度については明らかにしていない。

    中国人総裁の就任が、実際にどこまで経営判断の現地化につながるかは、今後の運営を見極める必要がある。

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    奇瑞の国際事業を経験、一汽・上汽アウディにも精通

    張氏の経歴で注目されるのは、中国メーカーと海外メーカーの双方で経営経験を積んできたことである。

    直近では奇瑞汽車で国際事業の副総裁および奇瑞ブランドのCEOを務め、海外市場への事業展開やブランド運営に関わっていた。

    それ以前には、ステランティスの中国事業などでも経験を積んでいる。

    さらに2018~2020年にはアウディ中国で上級管理職を務め、一汽アウディの戦略プロジェクトや上汽アウディの販売組織立ち上げに参加した。

    つまり張氏は、アウディにとって中国市場の外部事情を知る人材であると同時に、アウディ自身の中国事業の仕組みも理解する人物である。

    この点は、中国市場で二つの合弁パートナーと協業するアウディにとって重要だ。

    中国では、完成車メーカーが商品開発、販売、デジタルサービス、顧客対応を短い周期で更新するようになっている。

    中国メーカーでの経営経験は、こうした競争環境を理解するうえで強みになる可能性がある。

    一方、張氏が奇瑞で成功した手法を、そのままアウディへ移せるわけではない。

    プレミアムブランドとしての位置付け、既存顧客、販売網、合弁事業の構造は異なる。

    中国メーカーの経営手法をどこまで取り入れ、アウディ独自のブランド価値と両立させられるかが問われる。

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    アウディ・スポーツ出身のミヒル氏をCOOに

    今回の人事では、ロルフ・ミヒル氏の中国事業への異動も重要である。

    ミヒル氏はアウディ・スポーツの経営責任者を務めてきた人物で、今後は中国事業のCOOとして張氏を支える。

    アウディ・スポーツは、高性能車やモータースポーツなどを通じてブランドの技術力と商品価値を訴求する役割を担ってきた。

    その責任者を中国事業の経営幹部に配置することは、中国市場においてもアウディの製品競争力とブランド価値を重視する姿勢を示している。

    中国市場に精通した張氏が事業全体を統括し、ミヒル氏がアウディの製品・ブランド運営経験を生かす。

    こうした役割分担が想定されるものの、両氏の具体的な担当領域や権限配分については、今後の説明を待つ必要がある。

    なお、今回の人事に伴い、現総裁のヨハネス・ロシェック氏は中国事業の責任者を退き、2027年初めにドイツ本社へ戻る予定である。

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    一汽アウディと上汽アウディ、二つの事業をどう統括するか

    アウディ中国の経営には、中国市場特有の複雑さがある。

    一汽との協業を基盤としてきた既存事業に加え、上汽との協業を通じて新たな商品・技術開発を進めているためである。

    一汽アウディは長年にわたって中国のプレミアム車市場を支えてきた。

    一方、上汽との協業では、中国市場向けの新たな電動車開発や、従来とは異なる商品展開が進んでいる。

    特に上汽との協業から生まれたAUDIブランドは、従来の四つのリングを持つアウディとは異なる商品戦略を採用し、中国の顧客に合わせた電動車を展開している。

    このため、中国事業の経営には、既存のアウディブランドを維持・強化しながら、中国市場向けの新しい商品体系も育成するという課題がある。

    張氏は過去に一汽アウディと上汽アウディの双方に関わっており、二つの事業を理解している。

    今回の人事は、両パートナーとの関係を維持しながら、中国事業全体の方向性を調整するうえでも意味を持つ。

    ただし、今回の発表で一汽・上汽との合弁構造が変更されたわけではない。

    新総裁の就任によって両事業の開発、調達、販売がどこまで連携するのかは、今後の具体策を確認する必要がある。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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