
Xiaomi「移動する家」の答えは、SUVの中で立つことだった――澎程N90探索版が示す空間競争の次
[メンバーシップ限定]小米(Xiaomi)は2026年9月7日、新シリーズ「澎程(SkyNomad)」を正式発売した。
N70 Proは20.99万元、N70 Maxは23.99万元、N90 Maxは26.99万元。そして最上位となるN90 Max探索版は29.99万元に設定された。
価格やレンジエクステンダー(REEV)の性能も重要である。
しかし今回の正式発表で、澎程というシリーズが何を目指してきたのかを最も分かりやすく示したのは、N90 Max探索版だった。
CHINA CASEは7月、澎程について「運転のクルマ」ではなく、「暮らしの空間」として設計されるシリーズだと整理した。
さらに9月6日には、Xiaomiが3年間に40回、2496人を訪ね、車内を商談室、書斎、撮影スタジオなどとして使う生活行動から商品を設計してきたことを取り上げた。
その答えが、正式発売でかなり具体的になった。
Xiaomiは床を平らにし、座席や設備を動かせるようにしただけではない。最後にはSUVの屋根そのものを持ち上げ、人間が車内で立てるようにした。

「暮らしの空間」は、実車でどうなったのか
澎程の開発思想は一貫している。
従来の大型SUVについてXiaomiが問題視してきたのは、単純な車体サイズではなかった。
車体は十分に大きい。それでも床の段差、ホイールハウス、座席配置、駆動系やバッテリーなどによって、実際に使える空間は分断されている。
そこでXiaomiは「家が小さいのではない。間取りが悪い」と考えた。
その結果、昆崙プラットフォームでは運転席から荷室まで約2.9mのフラットフロアを設け、6本の超ロングスライドレールを配置した。
家の家具を動かすように、座席やテーブルなどを動かし、利用場面に応じて車内そのものを作り替える発想である。
今回の正式発売では、その思想がさらに垂直方向へ広がった。

昇降ルーフは「ルーフテント」のためではない
N90 Max探索版には、車両設計段階から組み込まれた電動昇降ルーフが採用されている。
通常、こうしたポップアップ式ルーフを見ると、キャンプ時の就寝スペースを確保する「ルーフテント」を想像する。
しかし雷軍氏は発表会で、その理解を明確に否定した。
Xiaomiが本当にやりたかったのは、単に屋根の上へ寝床を追加することではない。
車内空間をさらに上方向へ拡張することだった。
ルーフを完全に上げると、車内高は2.29mに達する。
雷軍氏は、その最も重要な意味を「SUVの中で立てること」だと説明した。

SUVの中で立つ、歩く、着替える
2.29mという高さになると、車内でできる行動が変わる。
雷軍氏が挙げたのは、立って伸びをする、立ったまま着替える、車内を少し歩く、窓の外の景色を見る、といった行動だった。
一見すると些細な違いに見える。
しかし一般的なSUVやMPVでは、どれほど車室が広くても、人間は基本的に座るか、腰をかがめて移動することを前提としている。
大型ディスプレイ、温冷庫、ゼログラビティシート、ベッド化などによって「家」に近づけることはできても、人間の身体そのものには自動車特有の制約が残る。
N90探索版は、その制約を一つ外した。
「車内で何を置けるか」ではなく、「車内で人間がどう動けるか」へ、空間競争を広げたのである。

上は寝室、下は生活空間
もちろん、昇降ルーフはルーフテントとしても利用できる。上部には約2㎡の空間があり、寸法は2110×985mm、耐荷重は200kgとされる。
5面のメッシュ窓を備え、前方は大きく開放できる。さらに上部には専用の空調、照明、充電ポート、マグネット式インターフェースなども用意される。
つまり、使い方は二つある。
上部を就寝空間として使えば、車内は上下2層になる。
一方、上段の床面を開放すれば、下の車室と昇降ルーフ内部が一つにつながり、最大2.29mの高天井空間になる。
上を「寝る場所」にもできれば、上を開けて下を「立って生活する部屋」にもできる。
Xiaomiが昇降ルーフを単なるキャンプ用品ではなく、車室そのものを変形させる装置として扱っている理由はここにある。
