
東風日産NX8、道幅2~3mの上海旧市街で運転支援を実演――Momentaの強化学習AI、歩行者・電動二輪車が混在する市場を走行
[メンバーシップ限定]東風日産は2026年10月21日、上海市嘉定区にある約600年の歴史を持つ婁塘古鎮で、新型SUV「NX8」の高度運転支援システムを使用した走行実演を紹介した。道幅わずか2~3mの路地、道路の両側に設置された石柱、路上駐車車両、歩行者や電動二輪車が行き交う市場など、一般的な都市道路とは異なる複雑な環境を走行した。
実演を行ったのは、中国の自動車メディア「車主之家」である。東風日産が公開した記事によると、NX8は狭い路地での障害物回避や、歩行者と車両が混在する市場での低速走行を運転支援システムによって実施した。
NX8にはLiDARを含む29個のセンサーが搭載され、運転支援技術にはMomentaとの共同開発による強化学習を取り入れた大規模モデルを採用している。東風日産は、Momentaが蓄積した累計170億kmの実走行データを活用し、複雑な道路環境での認識、予測、走行判断を高度化していると説明する。
今回の実演は、運転支援システムの性能を高速道路や都市幹線道路だけでなく、道路構造が不規則で歩行者の動きも予測しにくい生活道路で訴求する取り組みである。
上海に残る600年の旧市街、道幅はわずか2~3m
実演の舞台となった婁塘古鎮は、上海市嘉定区に位置する歴史ある旧市街である。
約600年の歴史を持ち、上海に残る伝統的な石畳の道路「弾格路」が保存されていることで知られる。
街路は複雑に入り組み、狭い場所では道幅が2~3m程度しかない。現代の都市道路とは異なり、明確な車線区分がない場所も多い。
さらに、道路脇には石柱やごみ箱、駐車車両などがあり、車両が通過できる空間は限られている。
こうした環境では、車両が通行可能な空間を正確に把握する必要がある。障害物の位置だけでなく、車体の幅や旋回時の軌跡も考慮しなければならない。
車主之家は、この旧市街にNX8を持ち込み、実際の道路で運転支援システムを使用した。
東風日産によると、走行を終えた担当者は、これほど難しい道路をNX8が通過できるとは予想していなかったと振り返っている。

石柱に挟まれた狭い路地を通過
最初の難所は、道路の両側に石柱が設置された狭い路地である。
車両が通過できる幅は限られており、一般のドライバーであれば、接触を避けるために何度も減速や停止を繰り返すような場所だったという。
NX8は運転支援システムを使用し、周囲の石柱との距離を確認しながら通過した。
運転担当者は、車両が予想以上に滑らかに通過したことに驚きを示した。
続いて、道路に区画線がない左折地点に進入した。
左側には路上駐車車両があり、右側にはごみ箱が置かれている。単純に交差点の形状を認識するだけではなく、車両が実際に通過できる空間を判断する必要がある。
NX8は進路を調整しながら左折を完了した。
東風日産は、こうした狭い道路での走行を支える技術として、LiDARを含む29個のセンサーによる周辺環境の認識能力を挙げている。
石柱や駐車車両などの障害物との位置関係を把握し、通行可能な空間を判断する仕組みである。
ただし、今回の広報記事には、障害物との最小距離や走行速度などの定量的な測定結果は示されていない。
歩行者、電動二輪車、電動車椅子が混在する市場へ
次の実演場所は、婁塘古鎮の市場がある道路だった。
ここでは、狭い道路に野菜を販売する露店が並び、歩行者や電動二輪車が頻繁に行き交っている。
橋の周辺には買い物客が集まり、電動車椅子を利用する高齢者の姿も見られた。
石柱や駐車車両のような静止物とは異なり、歩行者や電動二輪車は進行方向や速度が変化する。
運転支援システムには、周囲の対象物を認識するだけでなく、その動きを予測し、必要に応じて減速や停止、回避を行う能力が求められる。
東風日産が紹介した走行では、NX8は市場の混雑状況に合わせて減速し、周囲の車両や歩行者を避けながら低速で前進した。
前方に三輪車があり、右側にも歩行者がいる場面では、周囲の状況に応じて進路を調整した。
対向してくる電動二輪車にも対応し、走行を継続したという。
運転担当者は、途中で何度も自分で操作を引き継ごうと考えたものの、NX8が走行を続けたことについて、自分が慎重になりすぎていたと振り返っている。
今回の実演で特に注目されるのは、単に障害物を避けるだけでなく、周囲の交通参加者の動きに合わせて走行を続けた点である。
