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中国26年9月CPIは0.9%上昇――エネルギー高が続く一方、自動車・食品・家賃は下落

    [無料]中国国家統計局は2026年10月14日、9月の消費者物価指数(CPI)を発表した。全国CPIは前年同月比0.9%上昇し、8月の0.8%から上昇幅が0.1ポイント拡大した。前月比では0.2%上昇し、1~9月平均でも前年同期比0.9%上昇となった。

    一方、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比1.0%上昇で、8月と同水準だった。前月比では横ばいである。

    9月の特徴は、エネルギー価格の上昇が一段と強まった一方、食品、自動車、家賃では前年割れが続いたことである。

    自動車など交通手段に使うエネルギー価格は前年同月比14.9%上昇した。しかし、自動車そのものの価格は1.7%下落し、8月の1.6%下落から下落幅がわずかに拡大した。

    さらに、同日発表された工業生産者出荷価格指数(PPI)は前年同月比5.0%上昇した。工業生産者の購入価格も6.9%上昇している。

    中国の物価は全体として上昇している。しかし、その上昇は原材料・エネルギーなど生産の上流ほど強く、消費者が購入する自動車などの最終製品には一様に波及していない。

    9月のCPIから見えてくるのは、物価上昇率の緩やかな拡大と、品目ごとの価格方向の大きな違いが併存する中国経済の姿である。

    CPIは0.9%上昇、8月から上昇幅が小幅拡大

    9月の全国CPIは前年同月比0.9%上昇した。

    都市部は0.9%、農村部は0.8%上昇。消費財は1.0%、サービスは0.8%上昇した。

    8月のCPIは0.8%上昇だったため、9月は上昇幅が0.1ポイント拡大した。7月の0.5%からみると、2カ月連続で上昇率が高まっている。

    前月比では0.2%上昇した。ただし、8月の前月比0.4%上昇と比較すると、上昇幅は縮小している。

    食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比1.0%上昇。8月と同水準であり、前月比では横ばいだった。

    1~9月平均ではCPIが前年同期比0.9%、コアCPIが1.1%上昇している。

    したがって、9月のCPIは前年同月比で緩やかに加速したものの、直近1カ月の価格変化やコアCPIまで含めると、物価上昇が全面的に強まったとは言い切れない。

    エネルギー価格は14.9%上昇、交通・通信を押し上げる

    9月のCPIで引き続き目立つのが、交通関連のエネルギー価格である。

    自動車など交通手段に使うエネルギー価格は前年同月比14.9%上昇した。

    8月の8.3%上昇から、上昇幅が6.6ポイント拡大したことになる。

    前月比でも4.5%上昇しており、足元でも価格上昇が続いている。

    これを受け、交通・通信カテゴリー全体の価格は前年同月比4.3%上昇した。8月の2.5%上昇から1.8ポイント加速している。

    前月比でも交通・通信は1.0%上昇した。

    ただし、交通・通信カテゴリーの価格上昇を、そのまま自動車や交通関連サービスの需要拡大と解釈することはできない。

    同じカテゴリーの内部では、エネルギー価格が大幅に上昇する一方、自動車本体の価格は下落している。

    9月も、クルマを走らせるためのエネルギーは高くなるが、クルマそのものは安くなるという構造が続いた。

    食品は1.7%下落、豚肉は10.0%安い

    食品価格は前年同月比1.7%下落した。

    8月の1.4%下落から下落幅が0.3ポイント拡大しており、食品全体では前年を下回る状態が続いている。

    主な品目では、生鮮野菜が8.1%下落した。8月は2.8%下落だったため、下落幅が大きく拡大している。

    豚肉は10.0%下落した。8月の11.8%下落と比較すると下落幅は縮小したものの、依然として前年を大きく下回る。

    畜肉類全体では3.7%下落し、生鮮果物も1.5%下落した。

    一方、すべての食品が値下がりしているわけではない。

    卵類は14.3%上昇。牛肉は7.5%、羊肉は6.4%上昇した。

    前月比では食品全体が0.4%上昇した。豚肉は1.2%、生鮮野菜は0.5%、卵類は2.0%上昇している。

    したがって、短期的には食品価格の持ち直しも確認できる。しかし前年同月比では食品全体の下落幅が拡大しており、家計に身近な食品価格にはなお下押し圧力が残っている。

    自動車価格は1.7%下落、価格競争はなお続く

    CHINA CASEとして注目されるのが、自動車価格である。

    9月の「小汽車」、すなわち乗用車などの自動車価格は前年同月比1.7%下落した。

    8月の1.6%下落から、下落幅が0.1ポイント拡大した。

    前月比でも0.3%下落している。8月の前月比0.2%下落と比較しても、下落幅が拡大した。

    1~9月平均では前年同期比1.3%下落となった。

    ここで重要なのは、9月のCPI全体が0.9%上昇し、交通・通信カテゴリーも4.3%上昇しているにもかかわらず、自動車価格は下落を続けていることである。

    自動車などに使うエネルギー価格が14.9%上昇する一方、自動車本体は1.7%下落した。

    さらに、同日発表されたPPIでは、自動車製造業の出荷価格が前年同月比2.0%下落している。

    8月の2.2%下落からは下落幅が縮小したものの、製造段階でも前年割れが続いている。

    消費者が購入する自動車価格と、メーカーが出荷する段階の価格が、ともに前年を下回っていることになる。

    中国自動車市場では2026年も激しい価格競争が続いている。今回のCPIとPPIは、その価格圧力が消費段階と製造段階の双方に残っていることを示している。

    ただし、CPIの自動車価格指数は、個別メーカーの値引き幅や車種別の価格変化を直接示すものではない。また、PPIの自動車製造業指数からメーカーごとの利益率を判断することもできない。

    それでも、中国全体で物価上昇が進むなか、自動車産業はなお価格下落が続く例外的な領域の一つであることは確認できる。

    家賃は0.6%下落、居住価格もマイナス

    居住関連の価格も前年割れが続いている。

    9月の居住価格は前年同月比0.3%下落した。8月と同じ下落率である。

    そのうち、賃貸住宅の家賃は0.6%下落した。こちらも8月と同水準だった。

    1~9月平均では、居住価格が0.2%、家賃が0.6%それぞれ下落している。

    前月比では居住価格全体が横ばいだった一方、家賃は0.1%下落した。

    ただし、CPIの家賃指数と住宅売買価格は異なる統計である。この数字だけから、中国の住宅価格全体の動向を説明することはできない。

    少なくとも家計が支払う賃貸住宅の家賃については、9月も前年を下回る状態が続いた。

    食品、自動車、家賃という家計に比較的身近な項目が、同時に前年割れを続けている。

    これはCPI全体が0.9%上昇したという数字だけでは見えにくい部分である。

    サービスは0.8%上昇も、前月比では0.2%下落

    サービス価格は前年同月比0.8%上昇した。

    8月も0.8%上昇だったため、上昇率は横ばいである。

    個別項目では、医療サービスが4.0%上昇した。8月と同じ上昇率であり、サービス価格全体を上回る上昇が続いている。

    旅行会社などの旅行関連サービスは3.5%上昇した。8月の2.7%上昇から上昇幅が拡大している。

    一方、教育サービスは0.4%上昇にとどまった。

    前月比ではサービス全体が0.2%下落した。

    旅行関連サービスは前月比5.3%下落しており、前年同月比では上昇していても、足元では価格が低下している。

    サービス価格についても、すべての分野で上昇が加速しているわけではない。

    医療などの価格上昇が続く一方、旅行関連には月ごとの変動があり、サービス全体の前月比はマイナスとなった。

    したがって、9月のサービス価格から中国国内の消費需要が全面的に強まったと判断するには、なお慎重さが必要である。

    通信機器は14.3%上昇、工業消費財でも価格差が大きい

    工業製品の中でも、価格の方向は大きく異なる。

    9月の通信機器価格は前年同月比14.3%上昇した。

    8月の10.6%上昇から、上昇幅が3.7ポイント拡大している。

    前月比でも3.6%上昇しており、通信機器の価格上昇は足元でも続いている。

    一方、家庭用器具は前年同月比1.8%下落した。

    8月の0.9%下落から下落幅が拡大し、前月比でも0.2%下落している。

    自動車は1.7%下落、家庭用器具は1.8%下落、通信機器は14.3%上昇という組み合わせである。

    つまり、同じ耐久消費財でも価格動向は一様ではない。

    通信機器では価格上昇が加速する一方、自動車や家庭用器具では価格下落が続いている。

    ただし、通信機器の価格上昇をAI需要や特定製品の供給不足だけで説明することはできない。今回のCPI分類から確認できるのは、通信機器全体の価格上昇が強まっているというところまでである。

    PPIは5.0%上昇、CPIとの温度差がさらに拡大

    今回のCPIを考えるうえで、同日発表されたPPIは重要である。

    9月のPPIは前年同月比5.0%上昇した。

    8月の3.8%上昇から、上昇幅が1.2ポイント拡大した。

    前月比でも1.2%上昇し、8月の0.4%上昇から加速している。

    さらに、工業生産者の購入価格は前年同月比6.9%上昇した。8月の5.8%上昇から1.1ポイント加速したことになる。

    一方、消費者が購入する商品やサービスを対象とするCPIは0.9%上昇にとどまる。

    9月の数字を並べると、

    • 工業生産者の購入価格:6.9%上昇

    • 工業生産者の出荷価格(PPI):5.0%上昇

    • 消費者物価(CPI):0.9%上昇

    となる。これらは調査対象や構成が異なるため、単純に差し引くことはできない。

    しかし、生産段階の価格上昇が消費段階を大きく上回っていることは明らかである。

    PPIの内訳を見ると、採掘工業は25.4%、原材料工業は9.4%、加工工業は3.4%上昇した。

    原材料やエネルギーに近い領域ほど価格上昇が強い。

    その一方で、自動車製造業の出荷価格は2.0%下落し、食品製造業も1.1%下落している。

    9月の中国経済では、原材料・エネルギーを中心に価格上昇が加速する一方、最終消費に近い一部の製品では価格下落が続いている。

    この構造は、8月の物価統計で確認された傾向が、9月にはさらに鮮明になったものと捉えられる。

    PMIでも見えていた原材料価格の上昇圧力

    こうした生産段階の価格上昇は、9月末に発表された購買担当者景気指数(PMI)でも確認されていた。

    9月の製造業PMIは50.1となり、8月の49.8から拡大圏へ回復した。

    その内部では、主要原材料購入価格指数が60.8まで上昇した一方、出荷価格指数は54.0だった。

    いずれも50を上回っているが、原材料の購入価格の方が強い上昇方向を示している。

    今回のPPIでも、購入価格が6.9%上昇する一方、出荷価格は5.0%上昇した。

    PMIは企業へのアンケートを基にした拡散指数であり、PPIは実際の価格変動を測る指数である。したがって、PMIの60.8とPPIの6.9%を直接比較することはできない。

    それでも、9月末のPMIと今回のPPIは、生産段階で価格上昇圧力が強まっているという点で整合している。

    一方、PMIが50を回復したことと、消費者物価が全面的に上昇することは別の問題である。

    生産活動が持ち直しても、消費者が購入する製品の価格まで一様に上昇するとは限らない。

    今回のCPIは、まさにその違いを示している。

    中国の物価は上昇しているが、内需回復は一様ではない

    9月のCPIは前年同月比0.9%上昇した。

    7月の0.5%、8月の0.8%から上昇率が高まっており、中国の消費者物価は緩やかな上昇を続けている。

    したがって、少なくともCPI全体が下落している状態ではない。

    しかし、物価上昇率が高まったことを、そのまま国内消費需要の力強い回復と評価するのは早い。

    9月の物価上昇では、交通手段用エネルギーの14.9%上昇が目立つ。

    一方、食品は1.7%下落し、自動車は1.7%下落、家賃も0.6%下落した。

    サービス価格は0.8%上昇したものの、前月比では0.2%下落している。

    コアCPIも前年同月比1.0%で、8月から加速していない。

    さらに、生産段階ではPPIが5.0%、購入価格が6.9%上昇した。川上の価格上昇が強まる一方、その上昇が消費者価格へ一様に転嫁されているわけではない。

    特に自動車産業では、CPIの自動車価格が1.7%下落し、PPIの自動車製造業価格も2.0%下落した。

    中国自動車市場の価格競争は、少なくとも物価統計上、9月も終わっていない。

    今回の統計が示すのは、中国経済全体が一律にインフレへ向かっているという姿ではない。

    原材料・エネルギー価格の上昇が加速する一方、食品、自動車、家賃などでは下落が続き、最終需要に近い領域ほど価格の動きにばらつきが残っている。

    今後重要になるのは、原材料価格の上昇が企業の販売価格へどこまで波及するのか、そして消費者がその価格を受け入れるだけの需要が形成されるのかという点である。

    9月の中国物価は上昇方向へ動いている。しかし、その上昇は川上ほど強く、家計に近いところでは依然として弱い。

    これが、国家統計局の9月CPIとPPIから読み取れる中国経済の現在地である。

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