「なんでこのデザインにしたの?」に答えられますか?
前回の#10の投稿
【デザインに「自分らしさ」は本当に必要なのか】
では、デザイナーは自分の世界観を表現するのではなく、
クライアントやユーザーの想いを形にする仕事だ
というお話をしました。
相手が何を求めているのかを考え、
その想いをデザインで伝える。
それが、デザイナーにとって一番大切な役割だと私は考えています。
でも、その想いを形にする前に、
もう一つ欠かせないことがあります。
それは、「なぜ、このデザインにしたのか。」を
自分の中で説明できることです。
自分のデザインを先輩や上司に確認してもらったとき。
「じゃあ、このデザインを説明してみて。」
そう言われたら、すぐに答えられますか?
「この色が夏っぽいので合うと思って…」
「とりあえず写真メインかなと思いまして…」
以前の私は、そんな曖昧な言葉しか出てきませんでした。
自分では考えて作ったつもりなのに、
いざ説明しようとするときちんと言葉にできない。
そして、言葉にできない理由を考えていくうちに、
あることに気づきました。
デザインを説明できないのは、
伝え方が下手だからではありません。
どうしてこのデザインを作ったのか、
自分自身が理解しきれていなかったからです。
今回は、「『なんでこのデザインにしたの?』に答えられますか?」を
テーマに、私がデザインをする上で最も大切にしている
「言語化」についてお話ししたいと思います。
株式会社COMMAのデザイナー「まり」です。
私のnoteでは現場から学んだ"よりリアル"な、
デザイン初心者のための、スキルアップ術をお届けしていきます。
技術やマインドなど、少しでも誰かの役にたてれば嬉しいです。

\これまで投稿した記事はこちら/
01 / どうして説明のできないデザインができてしまう?
デザインが完成し、先輩や上司に見てもらった際、
「どうしてこの色にしたの?」
「なんでこの写真をチョイスしたの?」
そう聞かれて、
言葉に詰まってしまった経験はありませんか?
私は何度も説明を求められては、目が泳ぎ、
「いいと思って…」そんな返答ばかりでした。
実際制作している時は、
いろいろ頭の中では考えて作ったはずなのに…
いざ説明しようとすると、曖昧な言葉しか出てこない。
「ちゃんと考えて作ったはずなのに、
なんで上手く説明できないんだろう…」
そう落ち込むことも多々ありました。
自分のデザインなのに
説明ができない理由はとてもシンプルです。
私は“デザイン"として完成形を見ているだけで、
そのデザインがどうやって生まれたのかの“過程”を
言葉で考えていなかったのです。
「お、ここに写真入れてみたらいい感じになった!」
「この参考いい感じだから同じ絵のトーンにしてみよ〜」
このように、考えているようで感覚で作っていたのです。
つまり、制作物を“絵”として見ているだけで、
その一つひとつに理由を持たせながら作れていませんでした。
だから質問をされても、答えが出てこなかったのです。
02 / 言語化できないデザインは、何が足りないのか。
先輩に質問をされて答えられない時、
「説明できない」のは、言葉にするのが苦手だから
だと思っていました。
でも実際足りなかったのは、言葉ではありません。
デザインが完成するまでの“考える過程”が重要だったのです。
例えば、
「この色がいい。」
「このフォントがおしゃれ。」
「このレイアウトの方が見やすそう。」
そう思って作ることは悪いことではありません。
でも、その先にある
「なぜ、この色なのか。」
「なぜ、このフォントなのか。」
「なぜ、このレイアウトなのか。」
を考えないまま進めてしまうと、
デザインは感覚だけで組み立てられてしまいます。
これは以前の記事でもお話ししましたね。
良ければこちらも読んでいただけると幸いです。
また、クライアントから言われたことを、
そのまま形にしているだけでは、自分の考えは生まれません。
それはただの文字起こしと一緒です。
「この表現が今回の目的に合っているのか。」
「ここにCTAを入れるのは本当に効果的なのか?」
そこまで考え抜いて初めて、自分のデザインになります。


そしてもう一つ、大切だと思うことがあります。
それは、いつでもプレゼンできる状態でデザインをすること。
実際にプレゼンの機会がなくても構いません。
といいますか、その機会がある方が珍しいかもしれませんね。
それでも「もし今、『なんでこのデザインにしたの?』と聞かれたら、
私は答えられるだろうか。そしてどう答えるのか。」
その問いを持ちながら制作するだけで、
デザインの見え方は大きく変わります。
言語化できないデザインが生まれてしまうのは、
センスが足りないからではありません。
デザインが完成するまでの過程を、
自分自身が言葉で整理できていないからなのです。
急に聞かれてもしっかり自分のデザインを説明できるよう、
作っている過程から”これはこうだからこうなる!”と考え、
言葉にしながら作りましょう。
03 / デザインには、「全部」理由がある。
デザインについて説明を求められると、
完成したものを見ながら、
後から理由を考えようとしてしまうことがあります。
「青には信頼感があるから。」
「余白を広くすると高級感が出るから。」
もちろん、それも理由の一つです。
でも、本当に大切なのは、
完成したデザインにもっともらしい説明を
付け加えることではありません。

例えば、青を使ったから信頼感が生まれるのではありません。
今回のデザインで信頼感を伝える必要があるから、
その手段として青を選ぶ。
余白を広く取ったから高級感が出るのではなく、
高級感のある印象を届けたいから、
情報量を絞り、余白を広く取る。
見た目から理由を探すのではなく、
伝えたいことから見た目を決めていくのです。
デザインにある色やフォント、写真、余白、レイアウト。
その一つひとつは、別々に選ばれているように見えて、
すべて同じ目的につながっています。

その答えがあるから、選ぶ表現にも理由が生まれます。
もちろん、制作の途中で「こっちの方が良さそう」と、
感覚的に選ぶこともあります。
感覚そのものが悪いわけではありません。
ただ、その感覚に対して、
「なぜ、こちらの方が良いと思ったんだろう。」
と一度立ち止まって考えることが大切です。
考えてみると、
「こちらの方がターゲットに合っている。」
「一番伝えたい情報が目に入りやすい。」
「ブランドの印象と統一できている。」
と、感覚の奥にあった理由が見えてきます。
理由は、
デザインを説明するために後から付けるものではありません。
迷ったときに立ち戻り、
「こちらを選ぶ」と決めるための判断基準です。
デザインには、「全部」理由がある。
それは、すべての要素に難しい理屈を付けるという意味ではありません。
一つひとつの選択が、伝えたい目的につながっていること。
そのつながりを自分で理解していることが、
説明のできるデザインを作る第一歩なのだと思います。
04 / 言葉にできると、デザインは変わる。
私も、なかなかデザインが上達せずに悩んでいた時期がありました。
参考デザインを見たり、フォントや配色を変えたりしているのに、
なぜか思うように成長できない。
そこで一度、
自分がどのようにデザインを作っていたのかを振り返ってみました。
すると私は、デザインを作る前に理由を考えるのではなく、
完成したデザインを見ながら、
後から自分の選択を正当化するための理由を探していたんです。
「なんで、このデザインにしたんだろう。」
そう考えてみても、もともとの判断基準は、
「なんか、おしゃれだから。」
「なんとなく、こっちの方が良さそうだから。」
という感覚だけ。
だから、いざ言葉で説明しようとしても、
その“なんか”の正体が分かりませんでした。
もちろん、感覚からデザインが始まること自体は悪くありません。
でも、その感覚を言葉にできないまま終わらせてしまうと、
なぜうまくいったのかも、なぜうまくいかなかったのかも、
自分の中に残りません。
そのときは偶然うまく作れたとしても、
次のデザインで再現することができないのです。
だから私は、
説明するために言語化するのではなく、
考えるために言語化することが大切だと思っています。
「なぜ、この色を選んだのか。」
「なぜ、この情報を一番大きくしたのか。」
「なぜ、この余白が必要なのか。」
一つひとつ問い直してみると、
自分が何を目的に作っていたのかが見えてきます。
もし答えられなければ、まだ考えが足りていない部分に気づけます。
もし答えられれば、
その理由は次の制作でも使える、自分なりの判断基準になります。
自分で分からないことは、他人にはもっと分かりません。
そして、自分でも説明できない曖昧さは、
思っている以上にデザインから伝わってしまいます。
だからこそ、自分の選択の中にある根拠を見つけることを、
制作の習慣にしていきたいと思っています。
デザインは、感覚で始まってもいい。
でも、最後は言葉で終われるデザインでありたい。
言葉にできるようになると、デザインを説明できるだけではありません。
自分の判断を振り返り、次の制作へつなげられるようになります。
言語化は、
完成したデザインをもっともらしく見せるためのものではなく、
デザインを少しずつ上達させていくためのものなのだと思います。
05 / 次回「修正箇所だけ直しても、デザインは完成しません。」
今回、デザインには一つひとつ理由があり、
それぞれの選択がつながって一つのデザインになる、
というお話をしました。
では、その中の一つに修正が入ったらどうでしょう。
「写真を変えてほしい。」
「この文字をもっと目立たせてほしい。」
言われた通りに直したはずなのに、
なぜか全体を見ると違和感がある。
実は、修正によって変わるのは、その場所だけではありません。
次回は、修正指示のその先まで考えることについて
お話ししたいと思います。
──デザインで終わらせない。
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このnoteでお伝えしている【なぜ上手くいかないのかを言語化する】という考え方は、株式会社COMMAがお客様と向き合う上で大切にしている姿勢でもあります。
「どうしたらいいか分からない。」
そんな状態から一緒に考え、課題の原因を言語化し、
最適なデザイン・施策へ整理していくことが私たちの仕事です。
そして、私たちは作って終わりの制作会社ではありません。
公開して終わりではなく、その後のアフターケアまで含めて、
お客様と併走することを大切にしています。
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