Rhiannon Giddens が歌う 「思ひで」 が素晴らしすぎる
個人的には「〜すぎる」という(今日日ありがちな)称賛の表現はあまり好きではないのだが, 今日ここでは, 珍しく, こう言いたくなった, 素晴らしすぎる。
因みに「思ひで」は, 鈴木常吉(1954年11月24日 - 2020年7月6日)が 2006年10月29日リリース「ぜいご」に収録し, その後, 海外でも人気を博した(今も博している)テレビドラマ「深夜食堂」でオープニング曲として使われて, やはり海外にも愛聴者が多い曲。
Rhiannon Giddens が歌う「思ひで」が素晴らしすぎる
Rhiannon Giddens(リアノン・ギデンズ)のことは実はよく知らなかった。ピーター・バラカン氏のラジオ番組 Barakan Beat か ウィークエンドサンシャイン("Weekend Sunshine", ところで今更ながらあの番組のオープニング曲 "Sunshine Day" by Osibisa も最高だね), もしくはその両方で聴いたことがあるように思うし, 職業音楽家をしている自分の兄貴から薦められたこともあるような気がする。しかし, 気に入ったはずだけど, これまで不覚にも深く聴き込むには至ってなかった。
あらためてググって, 彼女に関する情報・知識はそこそこ得たけれど, そんな付け焼き刃のネタをここで披露してもシカタナイだろうし, 今日はとにかく, 2, 3日前に鈴木常吉の「思ひで」関連で YouTube 上を漁っていた時にたまたま目に入って気になり, 聴いてみてえらく感動した, その音源をここに。
鈴木常吉の「思ひで」は世の中や人生に絡む(あるいは潜む)無常感, 寂寥感が静かに伝わってくる名曲なんだけど(メロディの源はアイルランドの古いバラッド, 歌詞は全く異なる), Rhiannon Giddens は, 常吉のその「思ひで」という曲を, 彼女の歌唱力で, 独特の力を込めて歌い上げて(ついでに!言うと歌詞は日本語の歌詞そのままで), 常吉とは全然アプローチが違う歌い方をしている。
あの歌にそれをやったら普通は失敗すると思うのだが, 豈図らんや, これが見事なまでに成功していて, 常吉の「思ひで」にある無常感や寂寥・孤独の情感を, 力強く, しかし静かに, ある意味「昇華」させ, 何というか, 無常の世界から救われるような感覚が得られる, そんな素晴らしいカヴァー, レンディションになってると思う。
Omoide 思ひで ("Memories") by Tsunekichi Suzuki(鈴木常吉)〜 Covered by Rhiannon Giddens (vocals), Shawn Conley (bass), Maeve Gilchrist (harp) LIVE at A.R.T.'s Loeb Center in Cambridge, MA. November 2021
付録
鈴木常吉「思ひで」, Sandy Denny「時の流れを誰が知る」
TVドラマ「深夜食堂」のオープニング曲, 鈴木常吉(1954年11月24日 - 2020年7月6日)が歌う「思ひで」を聴き, 聴き終えると同時, 要するに間髪を入れず(読み方に注意しましょう)Sandy Denny (January 6, 1947 – April 21, 1978) が歌う「時の流れを誰が知る」(原題 "Who Knows Where the Time Goes?")をかける, 再生する, 再び生かす。とにかく, 沁みる。
以下, 「時の流れを誰が知る」に関しては, 第1章のその 1 は Sandy Denny がリード・ヴォーカルの Fairport Convention のヴァージョン(1969年), その 2 は Sandy Denny のソロで 1968年の録音, その 3 は同じく Sandy Denny のソロながら 1967年の録音。第2章では, 「思ひで」(鈴木常吉)も「時の流れを誰が知る」(原題 "Who Knows Where the Time Goes?", Sandy Denny)も, 共にライヴ・ヴァージョン。
「思ひで」(鈴木常吉, 2006年10月29日リリース「ぜいご」に収録, その後, TVドラマ「深夜食堂」オープニング曲)の後, 間髪を入れず, 「時の流れを誰が知る」("Who Knows Where the Time Goes?", Sandy Denny) を聴く。
Who Knows Where the Time Goes? from Fairport Convention's third studio album Unhalfbricking, released in July 1969 🎶
英語原詞
https://www.sandydenny.co.uk/lyrics/whoknows.htm
夕暮れの空を横切って, (*1)
鳥たちが皆 飛び去っていく,
だけど なぜ彼らは分かるんだろう,
彼らに去るべき時が来たってことが
冬の暖炉の前で (*2)
私はまだ夢を見ているはず
時間のことなんて何も考えてない
だって 誰が分かるの
時間がどこへ行ってしまうのかなんてこと
誰に分かるの?
時間はどこへ行くのかってこと
悲しげな, 人けのない岸辺,
気まぐれな友たちは去っていく,
ああ, だけどそれで分かるよね,
彼らに去る時が来たんだって
でも私はまだここにいるつもり,
去ることなど考えてもいない,
私は 時間をカウントしたりしない
だって 誰が分かるの
時間がどこへ行ってしまうのかなんてこと
誰に分かるの?
時間はどこへ行くのかってこと
それに私は一人じゃない,
愛する人がそばにいるのなら,
ずっとそうなんだって分かってる,
いつか去る時が来るまでは,
だから 冬の嵐が来ても,
それから春の鳥たちが戻ってきて,
私は 時の流れを恐れたりしない
だって 誰が分かるの
私の愛がどう育つのかなんて (*3)
誰に分かるの
時間はどこへ行くのかなんて
♫ … ♫ … ♫ …
訳注 は 下掲 note の中で。
歌, 歌詞和訳は, これの最終章にも収録。
ではでは。
「思ひで」のメロディの源流, アイルランドのバラッド Cailin Deas Crúite na mBó
詳しくは(多少とも「詳しくは), 以下の
第3章(「思ひで」のメロディの源流, アイルランドのバラッド Cailin Deas Crúite na mBó)に。
鈴木常吉の「思ひで」とは タイトルも歌詞の中身も違うが, 何処か哀愁を帯びている点は共通している。これが, やはり, いい。
直ぐ上は, 福原 希己江 によるカヴァー。
今日はこの辺で!
