松本暮らし~春(⑩地元の集まりに参加~温泉銭湯の常連)
本連載は、通過する旅に物足りなさを感じ、“滞在する旅” を試した私の体験談と、その結論としての “2年間限定移住のすすめ” です。
信州ファンや滞在型の旅が好きな方の参考になれば、さいわいです。
私のライフワーク「昔の人びとの楽しみ方」の名残りも探っています。
1.地元の集まりは、いい!
”滞在する旅” の魅力は、地元の集まり(サークル)に参加できること。
一泊、二泊の旅では、イベントに参加できても、サークルへの参加は困難。
私が滞在する旅を好きになったのは、シンガポールでの2年間の駐在経験からです。知人ができ、滞在地での時間が格段に楽しくなります。
2.松本でサークルに参加
引っ越し(4月末)前にチェックしたのは、歴史サークル(松本まるごと博物館友の会)と太極拳サークル。6月までに入会しました。
松本に住んでから知ったのは、公民館主催の週一ウォーク(現在は実施されていません)。
いずれも、楽しい集まりですが、関係が濃かったのは、毎日通う温泉銭湯の常連さんたちでした。
3.温泉銭湯の常連に加わる
地元の人たちが、石鹸やシャンプーを持って通うのが温泉銭湯。
私が通った美ヶ原温泉・白糸の湯(ヘッダーの写真)は、回数券が23枚綴で8,000円@2026年(約350円/回、長野県の公衆浴場料金500円/回よりも安い)。暮らし始めた2023年は約240円/回でした。プロパンガスのアパートの風呂よりも安かったのです。温泉は、アパートから徒歩5分足らず。
毎日温泉なんて、それだけで幸せ。700回ぐらい行きました。
8畳ほどの岩風呂(露天)で、ほぼ毎日、顔を合わせていると、一週間もしないうちに常連さんの会話に仲間入りできます(寡黙な方も心配ご無用。話し好きがいるので、質問されれば答えるだけでOK)。
新しい土地に滞在する孤独感が低減されます。
温泉での話題(野菜栽培)
雑談の話題はさまざまですが、多かったのが野菜栽培。
私の全く知らない世界ですが、植え付け時期、手入れの内容など興味深い情報交換をしていました。散歩の時に畑を見るのが楽しくなります。
農業をしていると、天候に合わせて作業を考えるのでボケないそうです。
雑談①:タマネギ
葉が伸びて、本体が地表に顔を出し、葉が倒れたら収穫どき。
5月末、勤め人のMさんは、「雨が降りそうなので日曜に刈り取って、親戚に配った」と話していました(私もおすそ分けをいただきました)。
本来は、刈り入れて吊るし、2日ほど干して、水分が無くなってから葉を切り落してネットに入れるそうです。この作業でタマネギは長持ちするとのこと。
農家は軒下で干せますが、最近の家は軒下が無いので、ベランダに干しているとのこと。確かに、6月になるとベランダやガレージでタマネギを干しているのを見かけます。
軒は日差しを遮り、風雨から外壁を守るだけでなく、乾燥スペースでもあったのですね。何気ない雑談ですが、昔からの知恵に気づくことが多々ありました。
温泉では、たまに、「食べきれないから」とおっしゃっる方から、野菜をいただくことがあります。
頂きもの:春菊
10月に、Mさんが春菊を分けてくださいました。春菊は、次々と葉がでてくるので、摘んで温泉銭湯へ持参し、おすそ分けしているそうです。
私は料理ができないので渋っていたら、他の方から「ラップ巻いて、数十秒レンチンして、鰹節とゴマかけて、ポン酢たらすといいつまみになるよ」と教えてもらいました。その通りでした。
少しだけ分けていただくと、受付の方に「そんなじゃ味噌汁の具にもならないよ」と言われ、半把持って帰りました。
話の流れで、煮干しをトマトジュースに一晩浸すと良いつまみになるとも。常備している野菜ジュースでやってみたら、煮干しが柔らかくなり、酸味がついて、これまた美味。とにかく、いろいろと教えていただきました。

栽培の話題で印象的だったのは、近所に迷惑をかけないようにしていること。
雑談②:東京在住者の家庭菜園
「東京から土日月で松本に来て、無農薬で栽培している人がいるが、農業をしらない。ニンジンの種を作る部位を刈り取らないので、種が飛んできて他人の農地やあぜ道に細長く野生化したニンジンが生えてくる!」
いけないですねえ。野菜のできもイマイチとのこと。
温泉での話題さまざま
好きな食べ物なども教えていただきました。
雑談③:水蕎麦
つゆではなく、蕎麦猪口に入れた水につけて食べる水蕎麦は、味がわかり美味。常連のみなさんは、自分で蕎麦を打つので違いがよく分かるのです。
信州では、蕎麦粉が直売所やスーパーで売られています。「蕎麦を食べに行くだけじゃなくて、自分で打ってみな。1セット余っているから、あげるよ」と言われました。
いや~、食べると打つは、レベルが違いすぎて・・・。
おすすめのお店、松本の祭りの見どころ、昔の様子など、露天風呂で本当にいろいろと教えていただきました。もちろん、大谷選手の活躍など一般的な話題もありましたよ。
常連さん
早い時間の男風呂だけに、私の知人は高齢の男性。ほぼ全員、農業(家庭菜園も含めて)をしていて、かつ、元会社員。
常連さんたちの農業
農業従事者が高齢化しているといわれますが、常連さんは、親が農作業をできなくなると、退職して就農しています。つまり、農業従事者が高齢化しているのではなく、自分も高齢になったので会社員をやめ、実家の農業を継いでいるのです。
長野県では50~60%が、売り上げが50万円未満の自給的農家です。作っているのは自家と子供家族など親戚用の農作物。親戚間で農作物を交換するので、米と野菜は買ったことがないという人も多いです。栽培して親戚に食べてもらうことが、みなさんの生きがいになっています。
常連さんで日を決めて、飲みに行くことがたまにありました。
ユニークなのが、連絡方法。LINEのグループなどではなく、風呂場で連絡と出欠確認。アナログですが、十分機能していました。
また、「〇〇さん、最近、来ないね」、「家へ見に行ってくるよ(電話じゃなくて)」という会話も。対面がいいですね。

4.好みの温泉
同じ温泉に毎日入っていると、泉質の基準が確立し、好みもはっきりしてきます(日帰りなどで他の温泉に行くと、泉質を比べてしまいます)。
私が重要視しているのは、温度、におい、肌触り(ぬるぬるなのか、さらさらなのか)。濁りや景色も大切ですけどね。
みなさん、毎日入っている温泉が好みになるようです(私はぬるくて、においが少なく、透明な温泉が好みになりました)。
野沢温泉の大湯で、地元の方が45℃を超える「あつ湯」にじっと浸かっていました。動くと熱いのです。ちなみに、私は「ぬる湯」(40~45℃)でも熱かった。
その方は、私には熱すぎる下諏訪温泉・児湯でも、「ぬるくて入った気がしない」とおっしゃっていました。
私が通った白糸の湯は、40℃(泉温は42℃)ぐらいでぬるいです。「冬は寒くてダメだな」と思いましたが、それは、素人の浅はかさ。
ぬるい湯は、長時間浸かれるので体の芯まで温まるのです。
私は20分ほど、長い人は半身浴も含めて30分以上入っています。冬でも、アパートに戻ってからも体がぽかぽかでした。
白糸の湯は、無色透明、微かに硫黄臭の弱アルカリ性単純泉。草津や有馬のような「効く」感や強い硫黄臭もありません。
しかし、毎日入るには、ちょうどいい優しいお湯です。

信州の温泉地数は北海道に次いで2位。どこにでも温泉はありますが、出先では入浴せず、戻ってきてから温泉、アパートに帰って夕食&お酒がパターンになりました。

5.おわりに
私のおすすめ “滞在する旅” の拠点は、温泉地が絶対おすすめ。一日の最後に温泉&毎日温泉は、自宅ではできない経験です。
常連さんとの会話も貴重。今、半年ぶりに松本にいますが(ウイークリーマンションに滞在中)、常連さんとは同じように話がはずみ、第二の故郷のようです。
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■私の書籍 2025年出版。江戸・明治時代の村人たちの楽しみ方と現代生活への応用について書いています。

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