見出し画像

「応援席から始まるサッカー人生──子どもの未来を変える親の声かけと関わり方」

はじめに

「今週も応援に来てくれてありがとう。」

そう笑顔で言う子もいれば、

「今日は来ないでほしかった。」

心の中でそう思っている子もいます。

親であれば、できる限り子どもの試合を見に行きたい。

ゴールを決める瞬間を見たい。

必死にボールを追いかける姿を見たい。

仲間と喜び合う姿を見たい。

その気持ちは、ごく自然なものです。

私自身、多くのサッカー少年と、その保護者を見てきました。

毎週欠かさず応援に来る家庭。

仕事でほとんど来られない家庭。

祖父母が代わりに応援している家庭。

ひとり親で仕事を掛け持ちしながら、何とか時間を作ろうとする家庭。

本当にさまざまです。

だからこそ、よく聞かれる質問があります。

「やっぱり、応援に行ったほうが子どもは伸びますか?」

この質問に対する私の答えは、一つです。

「応援に行くかどうかだけでは決まりません。」

もっと大切なものがあります。

それは、試合が終わってからの時間です。

試合後の車の中。

家に帰ってからの夕食。

寝る前のほんの数分。

この時間の関わり方が、子どもの未来を大きく左右します。

実は、毎週欠かさず応援していても、子どもがどんどん自信を失っていく家庭があります。

反対に、仕事でほとんど応援に行けなくても、子どもが自ら努力し、楽しそうにサッカーを続けている家庭もあります。

その違いは、技術指導でもありません。

戦術の知識でもありません。

「親の一言」です。

たった一言で、子どもはまた挑戦しようと思えます。

反対に、たった一言でサッカーが怖くなることもあります。

この記事では、そんな親子の関わり方について、一緒に考えていきたいと思います。

もしかすると、これから紹介する話の中に、あなた自身の姿が重なる場面があるかもしれません。

もしそうだとしたら、今日から少しだけ関わり方を変えてみてください。

その小さな変化が、一年後、三年後、そして子どものサッカー人生を大きく変えていくはずです。

第1章 毎週応援していた父親が気づかなかったこと

日曜日の朝。

まだ眠そうな表情で朝食を食べる小学五年生の翔太。

父親は誰よりもサッカーが好きでした。

仕事が忙しくても、試合の日だけは必ず休みを取り、カメラを持ってグラウンドへ向かいます。

試合中は大きな声で応援します。

「ナイス!」

「切り替えろ!」

「いいぞ!」

周りから見れば、とても熱心なお父さんです。

試合が終わると、撮影した動画を何度も見返します。

帰り道。

車の中で動画を再生しながら話し始めました。

「ほら、この場面。」

「ここで中へ切り込めたよな?」

翔太は静かにうなずきます。

「このパス、もっと早く出せたんじゃない?」

「守備も戻るのが遅かった。」

父親は怒っているわけではありません。

本気で上手くなってほしいだけでした。

でも翔太は、返事をしなくなりました。

「うん。」

「そうだね。」

それだけです。

以前は、

「今日はさ!」

「相手の10番が速くてさ!」

「あと少しで決められたんだ!」

楽しそうに話していた子が、少しずつサッカーの話をしなくなりました。

父親は気付きませんでした。

自分が応援しているつもりでも、

子どもは「評価されている」と感じ始めていたことを。

ある日、母親が翔太に聞きました。

「今日の試合どうだった?」

すると翔太は、小さな声で言いました。

「負けたことより、お父さんに何を言われるかが怖い。」

その言葉を聞いた母親は、父親に伝えました。

父親は言葉を失います。

「そんなつもりじゃなかった。」

本当にそうでした。

責めたかったわけではありません。

でも、子どもに伝わったことがすべてなのです。

その日から父親は決めました。

試合後すぐにはサッカーの話をしない。

まずは、

「お疲れ。」

「暑かったな。」

「お腹空いたろ。」

そんな何気ない会話から始めるようにしました。

すると数週間後。

翔太の方から話し始めたのです。

「今日ね、コーチに褒められた。」

父親は嬉しくなりました。

でも我慢しました。

技術の話ではなく、

「そうか。それは嬉しかったな。」

それだけを返しました。

翔太は止まりません。

「あとね、あのドリブル、本当はもっと仕掛けたかった。」

「次は絶対抜けると思う。」

久しぶりにサッカーの話が止まらなくなったのです。

父親は後になってこう話していました。

「私は応援しているつもりだった。でも、息子は試験を受けている気持ちだったんですね。」

この違いに気付けたことが、その家庭の転機になりました。

応援とは、大きな声を出すことではありません。

子どもが安心して失敗できる場所をつくることなのです。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

ここまでお伝えしてきたのは、**「なぜ親の関わり方が子どもの成長を左右するのか」**という土台の部分です。

しかし、本当に大切なのはここからです。

実は、同じように毎週応援へ行っている親でも、子どもが大きく伸びる家庭と、少しずつ自信を失ってしまう家庭には、決定的な違いがあります。

それは、試合を見に行く回数でも、サッカー経験の有無でもありません。

親が何気なく口にしている「一言」と、試合後の30分の過ごし方です。

ここから先では、

  • 「見に来てほしい」と思っていた子どもが、ある日を境に「来ないでほしい」と感じるようになった理由

  • 仕事で応援に行けなくても、自分から努力する選手へ成長した家庭の関わり方

  • ベンチだった日や試合に負けた日に、親が絶対に避けたい言葉と、子どもの心を前向きにする声かけ

  • レギュラーを勝ち取る選手に共通する「振り返る力」を育てる会話

  • 子どもが大人になっても忘れない、親の応援とは何なのか

について、具体的なエピソードを交えながら詳しくお伝えしていきます。

ほんの少し言葉を変えるだけで、子どもは試合を「評価される時間」ではなく、「また挑戦したくなる時間」と感じられるようになります。

もし、あなたが心から「子どもにサッカーを楽しみながら成長してほしい」と願うのであれば、この先の内容はきっと今後の親子の関わり方を見つめ直すきっかけになるはずです。

それでは、この先から本編をご覧ください。

ここから先は

7,808字

¥ 980

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

応援よろしくお願いします。