“レア脚質”は走れる条件が狭い。好走レンジを馬券に活かそう!
皆様、こんにちは。まぐです。
ここまで「レアな脚質」として、スローペース向きの差し馬、ハイペース型の逃げ・先行馬、そしてマクりについて書いてきました。
前回までのコラムで伝えたかったのは、「ハイペースなら差し有利、スローペースなら先行有利」という単純な見方だけでは拾えない馬がいる、ということです。
ただ、これらの脚質は一見バラバラに見えて、実は共通点があります。
それは、走れる条件が狭いことです。
今回はこの「好走レンジの狭さ」をテーマに、前回までに名前を出した馬たちのその後を振り返りながら、実戦でどう馬券に活かすかを考えていきます。
扱いが難しい分、買い時を見抜けた時の爽快感は半端ありません。
ハイペース型の逃げ・先行馬は「残せる条件」を見極める
まずはハイペース型の逃げ・先行馬について振り返ります。
このタイプは、速い流れで後続の末脚を削り、自身はバテずに粘り込むことを武器にします。
その代表例として取り上げたケイアイセナは、今年のダービー卿CTに出走しました。
結果は10着。10番枠を引き、内枠勢が主張していったことで逃げることができず、外を回され、脚をなし崩し的に使わされる形で終戦しました。
では、どういう条件なら持ち味を出せたのでしょうか。
まず、ケイアイセナは初速が速い馬ではなく、二の脚を利かせてハナを奪うタイプです。そのため、最初のコーナーまでの距離が長めのコースや、初速の速さを求められにくい中距離の方が合うと思われます。
ダービー卿CTは中山芝1600m。スタートしてすぐにコーナーへ差し掛かるため、内枠からの方が位置を取りやすいコースです。より内枠ならもう少し持ち味を生かせたかもしれません。
また、ケイアイセナの戦績を眺めると「平坦コース向き」という特徴も見えてきます。
急坂コースで馬券に絡んだのは、下級条件での2回だけ。
5勝中4勝は、新潟、京都、函館と平坦コースで挙げたものになります。クラスが上がるほど最後の踏ん張りに平坦コースの助けが欲しいタイプだと言えます。
さらに、ハイペースに強いといっても限度はあります。
3勝クラスの元町ステークスでは、戦前から逃げ・先行馬が非常に多く、ハイペースが予想できました。ケイアイセナは1番人気に推されましたが、1000m通過57.1秒の超ハイペースになり、逃げ・先行馬が壊滅。
これは「ハイペース型だから速ければ速いほど良い」というわけではない、分かりやすい例です。
つまりケイアイセナは、単に「ハイペースに強い逃げ・先行馬」と見るだけでは足りません。
ハナを取りやすい枠・コース形態、最後に踏ん張りやすい平坦コース、そして自分の許容範囲を超えないペース。このあたりが揃った時にこそ、持ち味を最大限に発揮できるタイプです。
逆に、急坂コース、外枠、同型多数という条件が重なると、強みよりも脆さが表面化しやすくなります。
ここまで整理したことで、ケイアイセナの買い時も明確になったと言えるでしょう。
レア脚質の馬を見る時は、その強みが成立する条件までセットで考える必要があるのです。
スローペース向きの差し馬は「末脚を使える環境」が重要
続いては、スローペース向きの差し馬について。
このタイプは追走力に課題がある一方、脚が溜まれば平均的な差し馬よりも一段速い上がりを使えるのが特徴です。
その代表例として取り上げたウイントワイライトは、5月2日の京王杯SCに出走しました。
この馬は出遅れて最後方からのレースになり、3F通過も34.1秒。東京芝1400mとしては流れた部類で、離れた最後方から上がり最速32.1秒を使ったものの、16着に終わりました。
上がり32.1秒という数字だけを見れば、能力は示しています。
しかし、競馬は上がりの速さを競う競技ではありません。
今回は出遅れで位置取りが悪くなり、そこに流れの速さも重なりました。どれだけ速い上がりを使えても勝負圏から遠すぎては届きません。スローペース向きの差し馬の難しさが出た一戦だったと言えるでしょう。
このタイプでさらに気を付けたいのは、馬場状態とコース形態です。
ウイントワイライトのように他馬よりも速い上がりを使える馬は、切れ味こそが最大の武器です。裏を返せば、上がりの掛かる馬場になると、その武器が封じられやすくなります。
また、長い直線の方が、速い上がりを使いやすいと言えます。東京や外回りのコースなど直線の長い舞台はこのタイプに向きやすい条件だと言えるでしょう。
実際、ウイントワイライトは重馬場・阪神内回りの六甲アイランドステークスで、上がりがメンバー2位の33.9秒に留まり、12着に大敗しました。
3F通過は35.5秒のスローペースで、馬群も凝縮。直線で前が壁になったことも敗因でしょうが、そもそも上位に来るだけの切れ味も発揮できなかったように映りました。
このタイプの評価で大事なのは、「速い上がりを使えるか」ではなく「速い上がりを勝負圏内で使えるか」です。
追走で脚を削られる流れ、短い直線、上がりの掛かる馬場、馬群で進路を失う形になると、武器である末脚を十分に発揮できません。
一方で、スローペース、良馬場、長い直線、スムーズな進路の確保が整えば、人気以上に強烈な脚を使ってくる可能性があります。
前が大きくバテる展開なら浮上の余地はあるでしょうが、本命にするなら、末脚を最大限に使える環境が整っているかを確認したいタイプです。
マクり馬は「動けるタイミング」を見極める
最後に、マクり馬について振り返ります。
前回のマクりのコラムでは、マクりは全体の0.8%しか発生しないレアな脚質であり、成績は優秀でも、簡単に決まる戦術ではないと書きました。
マクりは、馬の持続力、ラップ、馬場、位置取り、騎手の判断が噛み合って初めて成立する戦術です。
コラム掲載中、まさにそのマクりを読んで嬉しい的中がありました。
4月19日の4歳以上2勝クラスで、ウィンターダフネという馬のマクりを見抜き、単勝・馬連を取ることができたのです。
このウィンターダフネに注目したきっかけは、2024年5月18日の2勝クラスでした。
ハイペースで先行馬総崩れのレースのなか、2番手から0.3秒差の4着。時計も優秀で、能力があることは明らかでしたが、その後は先行できない競馬が続き、好走レンジが相当に狭い馬だというイメージを抱いていました。
陣営も先行策を半ば諦めたようで、前崩れやマクりに活路を求めていたように思います。
的中できた2勝クラスの見解では「10頭立ての少頭数なので、序盤は速くなりそうもありませんが、警戒すべきはウィンターダフネやフクキタテーラーのマクり」と書きました。
実際、レースは3-5F目が13.0-12.8-13.0と緩みました。その緩んだ区間でウィンターダフネがマクって先頭に立ち、9馬身差の圧勝。まさに、マクるタイミングを見極められたレースだったのです。
高配当ではありませんでしたが、予想の醍醐味を強く感じた一戦です。配当以上に、「この馬が勝つタイミングを見極められた!」という嬉しさを感じました。何しろ、2年近くも注目していた馬なのですから!
このレースで重要だったのは、ウィンターダフネの強さだけではなく、少頭数でペースが緩み、道中でマクるためのタイミングが生まれたことです。
マクりは無理のない速度で動けるか、外を回すロスが致命傷にならないかが重要だと前回の原稿に書きました。
その点で「少頭数」はスローペースを誘発しやすく、外を回すリスクも減るため、マクりを考える上で覚えておきたいファクターです。
「マクれる馬なのか」と「今回はマクりやすいレースなのか」は別問題。
ここを分けて考えられるようになると、マクり馬の扱いはかなり楽になるでしょう。
レア脚質は「ムラ馬」ではなく「条件依存型」として見る
ここまで3タイプのレア脚質を振り返ってきました。
ハイペース型の逃げ・先行馬、スローペース向きの差し馬、マクり馬。脚質は違っても、共通しているのは「条件が噛み合った時に強く、ズレた時に脆い」という点です。
このタイプは成績だけを見るとムラ馬に見えることがありますが、そうではありません。
走れる条件が狭いからこそ、条件が揃った時だけ大きなパフォーマンスを発揮し、少しズレるとあっさり凡走するのです。
だからこそ、前走の着順だけで評価してはいけません。
前走は能力を出せる条件だったのか。今回はその条件に近づくのか。それとも、さらに遠ざかるのか。
この視点を持つだけで、危険な人気馬を疑うこともできますし、凡走からの巻き返しを狙うこともできます。
レア脚質の馬は好走のタイミングを読むのが難しいタイプですが、その難しさこそが予想の醍醐味でもあります。走れる条件を整理していけば、単なるムラ馬ではなく、「狙うべきタイミングのある馬」として見えてくるでしょう。
まぐ
期待値馬券が全盛だからこそ、数字の裏付けがある「強い馬」を狙うべきという信念のもと予想理論『余力ラップ』を開発。立川優馬氏のオンラインサロンで行われた予想コンペティションで最優秀賞を受賞し、2023年10月より『ウマい馬券』に参画。2024年はプラス回収を達成し、トップ予想家としての地位を確かなものにした。
競馬予想の基礎を全7章にわたってまとめた電子書籍はこちら。
X(ツイッター) @33magu
