銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 │ (87)第75話「雷動」
OVA「銀河英雄伝説」で使われているクラシック曲をGoogleスプレッドシートにリスト化し、Webサイトで公開しています。
🔗 銀河英雄伝説クラシック音楽一覧 Musik und Szenen – ein Strauß gelber Rosen
このnoteではBGMを軸に、曲のことや物語のこと、ミッターマイヤーのこと、そのほか銀英伝に関するいろいろを書いていきたいと思います。
⚠️ネタバレを含みます。
今回は第075話「雷動」です。
出ずっぱりだったショスタコがちょっとおとなしくなり、ブラームスが柱になっています。
ブラームスはロイエンタールのテーマなのです(銀河英雄伝説 第2期サントラ音楽集より)。まさに今回はロイエンタールのターン。
でも、彼はブラームスって柄ではない、むしろショスタコでしょうという意見を聞いたことがあります。
ブラームスは、重く、暗く、緊張をはらみ激しさを内に抱えながら、それを崩壊することなく構築として保ち続けるような気品があると思うのです。
一方でショスタコーヴィチは、均衡が崩れたり歪んだりし、感情が露わになることじたいが、音楽の一部になっているのではないでしょうか。
そしてロイエンタールといえば、内面に複雑なものを抱えながら、それを露呈させることなく、強いプライドと貴族的な振る舞いによって、かろうじて均衡を保っている。どこか危うさを含みながら、それでも崩れないという人ではないかしら?
ショスタコの「体制への従属の裏に皮肉や悲しみを秘めた作曲家像」から考えると、ショスタコだというのもうなずけますが…
でもブラームスはドイツ人でロマン派ですから。うん、結局、これかも。
ということで、私はブラームスかなと思っています。
家のとなりの高校の吹奏楽部が練習していた&講師時代に子ども向けのピアノ曲を教えた、ということでしかショスタコと関わってこなかった私ですが、近現代の前衛的な面だけでなく、けっこうメロい曲もあることを知ったり、楽しませてもらいました。これからもまだ出てきますし、もっと聴いてみたいです。
そしてやっぱりブラームスは素敵だなあ。よいなあ…いいんだよなあ…
あらすじ
ロイエンタール不穏の報告書には公明正大な司法尚書ブルックドルフの署名があったため、ロイエンタールへの疑惑は深まる。旧門閥リヒテンラーデ侯爵一族の女性を匿い、懐妊の事実も浮上するが、本人は懐妊は知らなかったと話す。ラインハルトは、5年前の初対面を回想する問いを投げかける。
曲について
⬜オープニング「Sea of the Stars」
歌・作詞 LISA / 作曲 川辺真 / 編曲 風戸慎介
02:45 ブラームス《交響曲第3番 第4楽章》
――ロイエンタールに出頭命令
J. Brahms – Sinfonie Nr. 3 F-Dur, op. 90: IV. Allegro – Un poco sostenuto
ミュラーがロイエンタールの宿舎を訪問し、皇帝からの出頭命令を伝えます。
4楽章の頭のほう、リハーサル記号Aの6小節目から。静かにうごめくような音楽から、リハーサル記号Bでティンパニが鳴り突然劇的な展開に。かっこいいです。
🎧曲を聴く 28:00
3番は、前回の 第074話「前途遼遠」3:30ヒルダの意見 で2楽章が使われたのが初出でした。
たぶん3楽章がとてもとてもとても有名です。その話は次回に。
作中では今回の4楽章がもっとも使われる回数が多く、その中でも今回のように頭の方、もしくは頭から流れるのはこちらです。
▻第082話「魔術師、還らず」9:50🐺オーベルシュタインの提案
▻第083話「祭の後」4:30シェーンコップと合流
▻第083話「祭の後」17:38フレデリカが代表を承諾する
▻第091話「発芽」10:36ラング、オーベルシュタインの動きについて報告を受けるロイエンタール
▻「白銀の谷」Kap.Ⅰ13:47キルヒアイスが女性を助ける
▻「朝の夢、夜の歌」Kap.Ⅳ 4:46調べ物
05:22 ショスタコーヴィチ《交響曲第6番 第1楽章》
――事情聴取を受けるエルフリーデ
Д. Д. Шостакович – Симфония №6, ор. 54: I. Largo
1楽章頭から。低めの弦のユニゾンで始まります。暗いですね…
🎧曲を聴く 00:56
6番は初出です。全3楽章。
2楽章、3楽章も使われますが、今回と同じく1楽章頭から流れるのはこちら。
▻第080話「回廊の戦い(中編)–万華鏡–」1:30ビッテンフェルト、ファーレンハイトが戦闘中と報告
プラウダ批判後の名誉回復を意識して書かれた第5番に続き、第6番もまた体制への配慮と内面の表現という二重性を感じさせる作品といわれています。
バーンスタインはこの曲について、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」との類似性を指摘しています。両者がともにロ短調であること、また、チャイコは緩徐楽章で終わる音楽史上初の交響曲、ショスタコーヴィチは緩徐楽章で始まる音楽史上初の交響曲であり、これは偶然ではないと述べています。
チャイコ6番の4楽章、私が印象に残っているのは
▻第045話「寒波到る」21:14ビュコックたちがハイネセンを出発
▻第072話 マル・アデッタ星域の会戦(後編)21:55🐺キルヒアイスが生きていたらと話す双璧
などです。
チャイコ6番→ショスタコ6番で連続して流したら、つながっているように聞こえるでしょうか…?
物語としては、オーベルシュタインがラングに「失望させるな」と言うのはここです。
07:25 (曲なし)
――🐺出勤したミッターマイヤー
ミッターマイヤーが9時に宇宙艦隊司令部に出勤してすぐ、ロイエンタール拘禁の報を受け、そのままロイエンタールに会いに行こうとしたところを、青二才君に止められるシーン。
悲痛な叫び、ため息……かわいそうすぎる。
12:06 (曲なし)
――🐺国立美術館での審問
ロイエンタールが出頭し、皇帝からの審問を受けるのですが、幹部メンバーも同席しています。
ロイエンタールが答えるよりも早く、ミッターマイヤーが立ち上がって発言します。そして、アイゼナッハが袖をひっぱってたしなめます。もちろん無言で。
13:01 ドヴォルザーク《交響曲第4番 第2楽章》
――ロイエンタールの弁明
A. Dvořák – Symfonie č. 4 d moll, op. 13, B. 41: II. Andante sostenuto e molto cantabile
初4番。優しく静かな、切ない緩徐楽章。ワーグナーの「タンホイザー」っぽい金管楽器からはじまります。
その後、リハーサル番号Aで弦楽器がメロディーを奏ではじめるのですが、その箇所からここでは使われています。そこは「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」に似ているような。
🎧曲を聴く 14:14
4番は他の交響曲に比べるとマイナーなほうのようで、いつもよhr交響楽団の動画になく、他も演奏動画があまりありませんでした。でも、さすがメロディーメーカードヴォルザーク、やっぱりいいですねえ。
2楽章は、後ろの方が
▻「螺旋迷宮」第3話「英雄たちの横顔」22:59ローザス訪問を決める
で使われます。
次は、第105話「混迷の惑星」で4楽章が2回出てきます。
15:25 ブラームス《交響曲第3番 第2楽章》
――ラインハルトとロイエンタールの出会い
J. Brahms – Sinfonie Nr. 3 F-Dur, op. 90: II. Andante
回想シーン。収監されたミッターマイヤーを救うベく、ラインハルトとキルヒアイスの自宅を訪れた日のこと。5月2日なんですよねえ…。5月2日はフェリックスの誕生日ですよ。
出頭命令で4楽章が使われましたが、今回は前回 第074話「前途遼遠」3:30ヒルダの意見 のシーンと同じ、2楽章頭から。まっかだな、の曲。頭から流れるのはこの2シーンのみです。
2楽章は終わりのほうが、こちらで流れます。
▻第082話「魔術師、還らず」12:40フレデリカに別れを告げるヤン
▻第084話「失意の凱旋」11:48🐺双璧の最後の握手
あわわわわわわわわわ! 両方とも最後だ…別れだ…
18:20 (曲なし)
――🐺ほっとするミッターマイヤー
19:35 メンデルスゾーン《「真夏の夜の夢」 第5番 間奏曲》
――ベルゲングリューンとビューロー
F. Mendelssohn Bartholdy – Ein Sommernachtstraum, Op. 61: Nr. 5. Zwischenspiel
ビューローに、おれの人生は悲惨で滑稽きわまると吐露するベルゲングリューン。
前にも書いたかもしれませんが、私の銀英伝熱が再発したとき、とにかく「ミッターマイヤーがかっこいい」という記憶だけだった中、アニメを見進めるつどこんなできごともあったかと感銘を受けたものです。そのうちいちばん衝撃的だったのがベルゲングリューンでした。
この二人の配属先が逆だったら……ベルゲングリューン→ミッターマイヤー、ビューロー→ロイエンタールだったら……どうなっただろうと考えずにはいられません。
曲は初メンデルスゾーンです。こちらは「真夏の夜の夢」第2幕と第3幕の間の間奏曲とのこと。動きのあるメロディーに、メランコリックな感じもあって素敵ですね。
🎧曲を聴く 30:00
メンデルスゾーンもよいですねえ。全然詳しくないのですが、私は無言歌集が好きです。それと中学生の頃、部活で「歌の翼に」に出会ったときに、なんていい曲なんだろうと思った記憶があります。
ですが、メンデルスゾーンは今回とこちら
▻第076話「祭の前」1:30メックリンガー邸で、ケスラー、ワーレンメンデルスゾーン
同じ「真夏の夜の夢」の7曲目「夜想曲」のみです。
「真夏の夜の夢」は、言わずと知れたシェイクピアの戯曲です(私はお芝居をイエローヘルメッツで観ました)。
メンデルスゾーンの劇付随音楽では、ぱぱぱぱーんの結婚行進曲が有名です。しかし恥ずかしながら、他の曲はほぼ知らず…こんな構成のようです。
序曲 Op.21←17歳のときに作った曲
1.スケルツォ
2.情景(メロドラマ)と妖精の行進
3.歌と合唱「舌先裂けたまだら蛇」
4.情景(メロドラマ)
5.間奏曲 ←今回
6.情景(メロドラマ)
7.夜想曲 ←次回第76話
8.情景(メロドラマ)
9.結婚行進曲
10.情景(メロドラマ)と葬送行進曲
11.道化者たちの踊り(ベルガマスク舞曲)
フィナーレ
ちなみに最近は「真夏」といわないのでしょう? 原題「A Midsummer Night's Dream」のmidsummer は「夏至」、夏至は真夏ではないですよね。それで最近は「夏の夜の夢」になってますね。
でも実はお話は五月祭の前夜、4月30日なので、 midsummer とすることじたいがおかしいみたい?です。
23:10 ブラームス《交響曲第2番 第2楽章》
――エンディングナレーション
J. Brahms – Sinfonie Nr. 2 D-Dur, op. 73: II. Adagio non troppo
静かで穏やかな2楽章。低い弦楽器から始まって13小節目、ヴァイオリンや木管楽器がメロディーを奏でるところから流れます。
🎧曲を聴く 20:27
2番は実は初登場です。次で4楽章の終わりの方が流れます。
▻第076話「祭の前」14:28ヤン打倒を宣言するラインハルト
また、2楽章の頭から流れるのがこちら
▻第082話「魔術師、還らず」2:05キルヒアイスが諫めにきたのだ
▻第084話「失意の凱旋」19:55シュタインメッツについて報告するシュトライト
▻「螺旋迷宮」第7話「喪服と軍服の間」10:30 葬儀
2番は以上。
いよいよ帝国が攻勢に出るわけですが、ラインハルトは感情任せに動いているようでちゃんと宇宙全体を見すえている…が、ヤンはそれもお見通しというようなナレーションで終わるのでした。原作は7巻9章Ⅲの終わりです。
⬜エンディング「歓送の歌」
歌・作詞 小椋佳 / 作曲・編曲 星勝
BGMリストについて
BGM全曲をスプレッドシートでリスト化し、該当曲がアニメで流れる箇所からYouTubeで聴けるようにリンクを張っています。
今回ご紹介した第075話「雷動」のリストが見られるのは こちらです。
このnoteをお読みになって曲に興味を持たれた方や、アニメを見て「聞き覚えはあるけれど曲名が思い出せない」「この曲をフルで聴いてみたい」と思ったとき、ぜひご活用ください。

