点字note #3│『強がり』─ 行あけの*の有無には意味がある……よね?
原本記事
点訳後記
まったく、恥ずかしげもなく……
とは思うのですが、恥ずかしいからこそ、さっさと点訳しちゃいます。
点訳中ずっと「周囲からの田中ちゃんの見え方は誇張しすぎたか?」などとダメ出しをし続けていました。
ある程度限界が近づくまで、周囲からは心配すらされない状況って、きっとよくあることなんです。
けど、私は古場くん・佐々木課長視点に立ったことがない。現実的な見え方が分からない分、話を分かりやすくするために敢えて「有能に見えてる方向」へ寄せた自覚はあります。けど、やりすぎてない?と、その匙加減が気になって仕方ありません。
初めて公開した自作小説だから思い入れが深いというのは否定しようのない事実。
つい読み返しては、もう少し練り直してみようかな……なんてことを考えてしまいます。
いい加減、現代物への浮気は一区切りつけて、本命の時代物に集中しなければ。
あ、まだあとがきが残ってるか……
点訳者のつぶやき
この短編小説『強がり』の点訳を機に、ひとつの問題提起をしたいと思います。
それは、原本では「*」を記載した場面転換の表現についてです。
「*」は本来電話のプッシュボタンや情報処理記号としてのみ用いられるもので、区切りの視覚効果として用いられているものはそのまま点字に置き換えてはいけません。
私は『強がり』の点訳に際し、「*」の代わりに4マス分の長さの棒線「────」を置きました。
もしかしたらこれは、点訳ルールに反しているかもしれません。
少なくとも推奨されている形式ではありません。
『点訳のてびき』には、行あけに関する処理としてこのような記載があります。
原文の行と行の空白に書かれた「※」や「◇」などは点訳しないで、原則として1行あけに代える。
そうは言っても、小説などの作品において「※」や「◇」などの記号が置かれた区切りは、単なる行あけとは異なる役割を担っていることが多いものです。
それは『強がり』における「*」も同じこと。
1行あけの場面転換とは明らかに異なる、視点人物の転換を担っているのが「*」。
点訳をしていて、私と同じもどかしさを感じてこられた方もきっといらっしゃることだろうと想像しています。
点訳フォーラムのQ&Aでも取り上げられているくらいですから。
【Q】
原本に、1行あけの箇所と、米印(※)3個付いた行あけがある場合、どのように処理したら良いでしょうか。因みに※印行あけの後の文は、場面が変わっていますが両方とも一行あけでよろしいでしょうか?
【A】
1行あけの所も、※が3個付いた行あけも、点訳ではともに1行あけで構いません。
1行あくことによって、読み手が場面転換や、時間の流れなど、判断できますので、※が付いているかどうかによって特に区別する必要はありません。(後略)
そ……そんな……
そりゃあ、読み進めれば判断は付くかもしれないけれど……
「ここがターニングポイントですよ」と伝えたいという著者側の気持ちは汲んで頂けないんでしょうか……
自分が書いたものだからこそ余計に、この「転換の意味の違い」が切り捨てられてしまうことが悲しい……
だから「*」の代わりに長めの棒線「────」を使う……というのは、点字で本を読まれている方に違和感を生じさせてしまうものでしょうか?
点訳書凡例で断りを入れれば、こうした表現も受け入れて頂けるのでしょうか?
面ではなく点で情報を読み取っていく点字において、図表などの表現方法が限定されることは致し方ない部分もあると思います。
けれど、文章の区切りの質にバリエーションを持たせることくらいなら、適切な記号を定義しさえすれば点字でも実現は可能なはず。
それだけで、点訳による情報の欠落を多少なりとも減らすことができる。
少なくとも著者側の視点では、読者に届く手前で「*」のような意味ある区切り記号を消されてしまうのは本意ではありません。
1行あけより大きくて、でも章を分けるほどではない文章の境界線……うまく点字で表現できる方法が定められればいいなと思います。
……なーんて、いかにもな論を並べてみたけれど。
実のところ私は、自分が執筆を続けていく上で、この1行あけ以上、章区切り未満の境界表示に頼りたいだけなんです。
どうも私は、物語の最初から最後まで視点人物を固定させて書き切るのに向いていないようで……
複数人物からの視点を織り交ぜた群像劇を書きたくなってしまうんです。
だから、「*」みたいな転換記号を使いたい!
点字版でも、その転換点を明示したい!
これからきっと、ずっとお世話になるだろう境界表示だからこそ、「────」みたいな表現方法も議論の対象になったら嬉しいなと思います。
● 点字note 一式 ●
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