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「チープカシオ W-221H-1AJF ——峠の夜に連れて行った話」

峠の頂に車を停めた。

エンジンを切ると、
世界はしんと静まり返った。


 彼女が助手席のドアを開けて、
先に外へ出た。

風が彼女の髪をさらりと流した。
黒髪が夜空に溶けていくようで、
僕はしばらくその輪郭を目で追っていた。


 「星が多い夜ね」と彼女は言った。

それだけだった。

でもその言葉には、
必要なすべてが含まれていた。


僕の左腕には、
W-221H-1AJFをつけていた。

チープカシオの、実直な一本だ。

 文字盤は大きく、
白い数字がくっきりと浮かぶ。

視力の問題じゃない。

暗闇の中でも、
ちらりと手首を返しただけで時刻が読める——それは意外に重要なことだ。

天体観測というのは、
時間との対話でもある。
何時に何座が南中するか。
何時に空が白みはじめるか。

 23時になった。

時報が鳴った。

 小さな電子音が、
静寂の中にひとつ落ちた。

彼女が振り返った。

 「時計、鳴ったね」
 「時報だよ」と僕は言った。

「一時間ごとに教えてくれる」

彼女はそれを聞いて、
少し笑った。

暗がりの中でも、
その笑いはわかった。


アラームは複数設定できる。

 僕は三つセットしていた。

木星が東の稜線から顔を出す時刻。
流星群のピークに合わせた時刻。

そして、
帰り道の体力を残しておくための撤収時刻。

星を見るということは、
計画と諦めと、
その繰り返しだ。


 深夜1時すぎ、
設定したアラームが鳴った——と同時に、
LEDが点滅した。

 青白い光が、
手首の上で静かに瞬いた。

 彼女が気づいた。

「光ってる」

 「夜でも確認できるように」

 彼女はしばらくその点滅を眺めていた。
まるで地上の星のように、
それはゆっくりと明滅していた。

 W-221H-1AJFは、
派手さとは無縁だ。

でも必要なものを、
必要なだけ持っている。

 大きく読みやすい文字盤。
複数のアラーム。
正時を知らせる時報。

そして、暗闇でも光るLED。


 峠の夜には、
それで十分だった。

むしろ、それがいい。



👍👍アラームと連動する
    「フラッシュライト」。
 (この時計のみ。)
👍シンプル機能。
👍防水。
👍軽い。

(👎)
マイナス点、みつからない。
強いて言えば、
柔らか過ぎて切れそうなベルト。
プラの文字表示板。


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