お腹の中は、にぎやかなほうがうまくいきます
こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。
「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。
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「毎朝、ヨーグルトを食べています」
「納豆も、ほとんど毎日です」
お話を聞かせていただくと、みなさん本当にきちんと続けていらっしゃいます。忙しい朝に、それを毎日というのは、それだけでもうすごいことです。
ただ、そのあとに、こう続くことがあります。
「……でも、お腹の調子は、正直あまり変わらないんです」
がんばっているのに手ごたえがないと、だんだん「わたしには効かないのかも」と思えてきますよね。そして、ヨーグルトを変えてみたり、新しい乳酸菌の飲みものを試してみたり。それでもピンとこないまま、なんとなく続けている。
この気持ち、すごくよく分かります。
じつはここには、続きの話があります。お腹の調子を左右しているのは、「何を毎日続けているか」よりも、「どれだけいろんな種類が入っているか」のほうだと言われているんです。
今日はその「種類」の話を、できるだけやさしくさせてください。
続かないのでも、足りないのでもありませんでした
前に、夏のあいだ、お腹はずっとがんばっていましたという記事で、お腹には「菌そのもの」と「菌のごはん」の2つが要る、というお話をしました。
菌そのもの — 納豆、ヨーグルト、味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品
菌のごはん — 野菜、海藻、きのこ、豆、いも、果物などの食物繊維
ヨーグルトだけを食べていても変わりにくいのは、菌は来たけれど、その子たちの食べるものがないからでした。
そして今日の話は、その2つを、もうちゃんと入れている方に向けたものです。
毎朝ヨーグルト、毎日納豆、お味噌汁にわかめ。ここまでできているのに変わらないとしたら、足りないのは量ではありません。入っているものが、いつも同じ、というだけのことが多いんです。
お腹の中に、「これが正解」という並びはありません

まず、少し驚く数字から。
わたしたちのお腹の中には、およそ3万種類、100兆から1000兆個の菌がすんでいると言われています。全部合わせると1.5〜2kgくらい。ちょっとした荷物と同じ重さのものを、みんな体の中に持って歩いているんですね。
ここで大事なことがひとつあります。
「この菌がこれくらい」という、理想の並びは決まっていません。
わたしが読んでいる資料にも、はっきりこう書かれていました。腸内細菌のバランスは一人ひとりで大きく違っていて、食事や暮らし方、年齢によっても変わる。だから、理想的なバランスというものは一概には言えない、と。
つまり、あなたのお腹と、わたしのお腹と、ご家族のお腹は、それぞれ中身が違います。だから「これさえ食べれば全員が整う」という食べものも、じつは存在しません。
そしてもうひとつ。
善玉菌が多ければいい、という話でもないそうです。
特定の菌だけがどんどん増えると、その分だけ、ほかの菌の割合は減ります。にぎやかだった場所に、声の大きい人がひとりだけ残るようなイメージでしょうか。数は増えても、種類は減っている。
そこで目安になるのが、「いろんな種類が、ほどよく混ざっていること」です。むずかしい言葉では多様性と言いますが、この記事では「にぎやかさ」と呼ばせてください。そのほうが、たぶん近い感じがします。
にぎやかさが減ると、静かに困ることが増えます
腸の中の菌たちは、ただ住んでいるだけではありません。分かっているだけでも、こんな仕事をしてくれています。
免疫のバランスを整える — 体を守るしくみに、日々合図を出しています
体に必要なものをつくる — ビタミンの一部や、体内で使われる材料をつくります
よそから来たものが住みつきにくくする — 場所も食べものも先に埋まっているので、割り込みにくくなります
脳とやりとりする — 腸と脳は神経やホルモンでつながっていて、おたがいに影響し合っています
この4つとも、種類がそろっているほど成り立ちやすい仕事です。とくに3つめは、席がうまっているからこそ、という話ですよね。
種類が減った状態は、いろいろな不調と関係していると報告されています。ただ、ここは「だから病気になります」と脅かす話ではありません。「にぎやかさが減ると、体がふんばりにくくなる」くらいに受け取っていただけたらと思います。
菌のごはんが届くと、お腹の中で短い脂肪酸がつくられます

もう少しだけ、中で起きていることをお話しさせてください。ここが分かると、「なぜ種類なのか」がすっと入ります。
野菜や海藻、きのこ、豆、いもに入っている食物繊維や、玉ねぎやバナナに入っているオリゴ糖は、胃や小腸では消化されません。 栄養として吸収されないまま、大腸まで届きます。
そこで待っているのが、菌たちです。
菌はそれを食べて(発酵させて)、短鎖脂肪酸というものをつくります。名前はむずかしいのですが、はたらきはとても身近です。
大腸そのもののエネルギー源になります — 腸は、菌がつくったもので動いています
お通じの調子に関わります — 便秘にも、ゆるいお腹にも関係すると言われています
食欲が落ち着きやすくなります — 食後に出るホルモンを通して、満足感にも関わります
つまり、菌のごはんを食べているのは菌ですが、その見返りを受け取っているのは、わたしたちのほうなんですね。
ここで種類の話に戻ります。菌にも好みがあって、食べるものが菌ごとに違います。 海藻が好きな菌、豆が好きな菌、いもが好きな菌。だから食卓にいつも同じものしか出てこないと、そこにいる菌ばかりが元気になって、ほかの菌はおとなしくなってしまいます。
「いろんな種類を」というのは、そういうことです。
この夏、にぎやかさはどうしても減りやすかったです
責める話ではないので、安心して読んでくださいね。
暑い日が続くと、食卓はどうしても似てきます。そうめん、冷やし中華、パンとアイスコーヒー、コンビニのおにぎり。食欲がない日に、これで済ませられるのは、むしろ生活の知恵だと思います。
ただ、こういう日が続くと、植物性の食べものの"種類"が、静かに減っていきます。
資料には、こんな報告が並んでいました。
脂肪の多い食事と、食物繊維の少ない食事は、腸内細菌の種類を減らす方向に働く
植物性の食べものをよく食べている人ほど、種類が多い。反対に、動物性に寄ると減りやすい
夏のあいだ、野菜・海藻・きのこ・豆・いも。このあたりが食卓から抜けていた方は、きっと多いはずです。わたし自身も、7月の後半はそうめんばかりの週がありました。
繊維そのものが足りているかどうかは、野菜は食べているのに、食物繊維が足りない理由のほうに書きました。今日はその先の、同じ繊維でも、いろんな種類を回すという話です。
これは意志の弱さではなく、暑さの中でなんとか毎日を回した結果です。だからこそ、涼しくなってくるこれからが、いちばん戻しやすい時期でもあります。
増やすのではなく、「日替わり」にするだけです

ここからが今日の本題です。
にぎやかさを取り戻すのに、品数を増やす必要はありません。いつもの1品を、別のものに変えるだけで十分です。
1. 発酵食品を、日替わりにする
毎朝ヨーグルトを食べている方は、そのうち2日を、納豆やお味噌汁、ぬか漬け、キムチに変えてみてください。全部そろえなくていいですし、買い足さなくても、冷蔵庫にあるもので回せます。
「ヨーグルトをやめる」ではありません。同じ枠の中で、順番に回すだけです。
2. 菌のごはんも、日替わりにする
お味噌汁の具を、わかめ→きのこ→大根→さつまいも、と週の中で変える。納豆に乗せるものを、ねぎ→オクラ→めかぶ、と変える。これだけで、届く食べものの種類はぐっと増えます。
3. 買いものかごの中の色を、1色だけ増やす
数えるのは大変なので、いちばん簡単な目安を。かごの中を見て、足りない色をひとつだけ足してみてください。 緑ばかりならオレンジ(にんじん・かぼちゃ)、白ばかりなら茶色(きのこ・海藻)。
色が違うということは、たいてい中身も違います。むずかしい栄養の名前を覚えなくても、色でだいたい足りるんです。
歩くことも、にぎやかさを増やしてくれます
これはトレーナーとして、少しうれしかった話です。
体を動かしている人は、腸内細菌の種類が多いという報告があります。運動の習慣がある方と、座っている時間が長い方を比べた研究がいくつもあって、しかも体重に関係なく、そういう傾向が見られたそうです。
とはいえ、走ってくださいという話ではありません。夕方に15分歩く、エレベーターをやめてみる、その程度で大丈夫です。
食べものだけでなく、体を動かすこともお腹の中に届いている。そう思うと、散歩がちょっと楽しくなりませんか。
今日からできる、小さな一歩

ぜんぶやらなくて大丈夫です。できそうなものを、ひとつだけ選んでみてくださいね。
1. 今週は、発酵食品を「2種類」にする
毎日ヨーグルトなら、そのうち2日だけ納豆やお味噌汁に。3種類でも4種類でもなく、まず2種類から。
2. お味噌汁の具を、先週と変える
いちばん手間がかからない場所です。わかめの週の次は、きのこの週。それだけで、届くものが変わります。
3. 夕方に、15分だけ歩く
涼しくなってきた時間に、少しだけ。お腹の中の話でもあり、気持ちの切り替えにもなります。
お腹が張ったら、少しペースを落としてください
ひとつだけ、気をつけていただきたいことがあります。
菌のごはん(食物繊維やオリゴ糖)を急にたくさん増やすと、お腹が張ったり、ガスが増えたりすることがあります。 これは資料にもはっきり書かれていて、量が多いときや、初めて食べるものだったときに起きやすいそうです。
体に合っていないのではなく、発酵が急に進んだサインであることが多いです。ですから、そういうときは量を半分に戻して、しばらく様子を見てください。ゆっくり増やせば、落ち着いてくることがほとんどです。
「良さそうだから一気に」は、お腹にかぎってはうまくいきません。少しずつ、種類だけ広げる。 これがいちばん失敗しにくいやり方です。
こういうときは、がまんせずに相談を
お腹の不調の多くは、この時期の食べ方と生活で説明がつきます。ただ、そうでないこともあります。
便に血が混じる、黒っぽい便が続く
急に体重が減ってきた
強い痛みがある、熱をともなう
夜、痛みで目が覚める
便の形や回数が、ここ数週間はっきり変わったまま戻らない
こういうときは、体のほうから何かサインが出ていることがあります。ひとりで判断せず、内科や消化器内科で一度みてもらってくださいね。ここは、遠慮しなくていいところです。
さいごに
毎朝のヨーグルトも、毎日の納豆も、まちがっていません。それは、ちゃんと積み上がっています。
ただ、お腹の中は「同じものをどれだけ長く続けたか」より、「どれだけいろんなものが通ったか」を覚えている場所なのだと思います。
だから今日おすすめしたいのは、増やすことでも、やめることでもありません。いつもの1品を、別のものに変えてみる。 明日の朝は納豆にする。今晩のお味噌汁は、わかめじゃなくてきのこにする。それくらいの、小さな入れ替えです。
ひとつのものを完璧に続けるより、いろんなものが少しずつ通っていくほうが、お腹はきっと機嫌がいいです。にぎやかな食卓が、そのままにぎやかなお腹になります。
夏のあいだ静かになっていた分は、これから少しずつ戻していけば大丈夫です。自分のペースで、一緒に整えていきましょうね🙂
今日お話しした「お腹の中のにぎやかさ」も、じつは人によって出方がちがいます。
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