【道草喰う道】マーラータン/渋谷星星倶楽部
スタッフをしてくれている tacowasa 氏に教えてもらった。
「渋谷に行くなら絶対行った方がいい店がある」
そう言われた瞬間、私はもう行く気でいた。
そこは麻辣湯のお店。
「まるさんは、頓珍漢なもの頼みそうだからメモって」と言われ、素直にメモを取る。
──そもそも麻辣湯ってなんだ?
するり
渋谷の雑踏を、川魚のようにすり抜ける。
アジアでいちばん有名な交差点を、私は足早に横切った。
観光客も上京組も、スマホを片手に撮影している。
たぶん私も、いくつかのレンズに捉えられて、
知らぬ誰かの Instagram や TikTok に登場しているに違いない。
tacowasaメモの全貌
お手頃セット
ピリ辛
白キクラゲ
板状の春雨にすることを忘れるな
それが、tacowasa からの指令書だ。
麻辣湯はラーメンではなく、春雨の料理らしい。
「とうもろこし麺とかあるけど、そうじゃなく春雨にして」
珍しいものをつい頼んでしまう私の習性は、すでに見透かされているようだ。
電脳チャイナ飲食店
店に着いた。
赤い提灯と漢字のコンビは、伝統を受け持ち、煌めくネオンはサイバーパンクを思わせる。

中は若い人たちでほとんど満席。
壁にはタイルが貼られ、椅子も装飾も、いかにも中華。

席に着くと、QRコード。
スマホで注文して、そのまま電子マネーで決済。
つまり、「食べたらそのまま帰る」スタイル。
電脳だ。

目移りする。
それに味が想像出来ないので、決め手が無い。アドバイスをもらってきて良かったと思う。
よくよく見ると、「お手頃セット」の上位互換みたいな「人気セット」がある。
これだなあ…。
tacowasa の言いつけを守るつもりが、早速、忠告を破る。
なぜなら、人気セットの方が具材が多かったのだ。
あとは言いつけ通りに、セットを組み立てていく。

それにしてもこの店、カスタマイズの自由度がやたら高い。
肉、野菜、キノコ、練り物、海鮮──60種以上もあるらしい。
私は「板春雨」を選び、「ピリ辛」スープにして、
ちゃんと「白キクラゲ」もトッピングした。

1490円とはなかなか強気の値段設定だ。
クレジットカードで決済すると、あとは待つだけ。
麻

程なくしてそして、麻辣湯は到着した。
見た目は、何の変哲もない麺。
春雨ってことは、熊本で食べた太平燕みたいな感じかな?でもあれはもっと豚骨とか白っぽい感じだったぁ。
そんな事をごちゃごちゃ考えがながら、
レンゲでスープをすくい、ひとくち。
……うまあああああ。
これ、何?
「麻辣」の麻(痺れ)がしっかりあるのに、全然“辛くない”。
花椒のいい香りと旨みだけを引き出して、辛さはどこかに置いてきたような。

それにしても、書いてて気付いたが、私はマーが大好きらしい。
噛
麺は透き通る太い春雨。
するるるっと入って、ぷるんと跳ねる。
もちもちではなく、ぐにっでもなく、
“つるん”とした食感。
まるで山奥に分け入り、岩からツツーーっと流れ落ちる清流を、そのまま口に注ぎ込んでいるようだ。清流を、たぐって食べているような錯覚になる。
具材にも注目してみよう。

餃子🥟が入っている。
これが案外スープに合うのだ。
さらに、

この良くわからない練り物っぽいの。さっきの案内を解読するとこれは魚卵団子なるものか?

中は卵黄?なのか、かじると中から溢れ出しスープに溶けてマイルドになる。卵黄が入ったかまぼこを想像して貰えば遠く無い。
プリンっとして、これまたうまい。
ほうれん草、キクラゲ、エリンギ──どれも抜群に合う。
そして、問題の白キクラゲ。
見た目は海岸に打ち上げられた海藻みたい。
半透明で、ふにゃふにゃしていて、ちょっと不思議。

ぱくり。
ううわあああ。
──優勝。
この歯ごたえ、唯一無二。
普通のキクラゲが「コリコリ」なら、
白キクラゲは「コココココココココ」だ。
ミクロな歯ごたえの連打。歯が喜んでいる。
私は無我夢中で食べ進め、
最後は白米を頼んで、スープに豪快に投入。
締めの雑炊スタイルで、最後の一滴まで味わい尽くした。
お見通し
「すごい。すごいうまい」
そう報告すると、tacowasa は即答した。
「もう行ったの?今日?」
「うむ、美味」
「白米追加したでしょ、きっと(笑)」
「バレたか」
──見破られていた。
そんなこんなで、私は今日も道草喰う道を楽しんでいる。
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記事:まるのすけ
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