続・尾小屋鉄道廃線攻略作戦
本稿は「尾小屋鉄道廃線攻略作戦」の続編である。前回の最後「倉谷口トンネルというものがあるらしい」と書いたが、いまだ見ぬトンネルのことを考え出すと夜しか眠れなくなったので、あまり間を置かずに尾小屋鉄道廃線跡を訪れることにした。今回のターゲットはあくまで倉谷口トンネルと倉谷口〜長原間の廃線跡である。倉谷口駅跡までは自家用車で、そこからは徒歩で廃線区間に挑む。
2026年8月1日(土)
今日から八月である。ワークマンで買った冷感長袖Tシャツにワークマンで買った焚き火用のポンチョ、ワークマンで買った作業ズボンにワークマンで買った長靴(フェストブーツ)、ワークマンで買った黒いキャップを被りワークマンで買った軍手をはめて歩き出した。無論暑いが、かなりの藪が予想されるのであって肌は露出したくない。手元にあるものをかき集めたらこうなった。そしてリュックには熊鈴。
出発地点が先述したとおり倉谷口駅跡である。倉谷口駅から小松方面は前回踏破している。今回は反対側、尾小屋方面である。

ええ。道なんてないですよ



倉谷口駅跡から、藪を漕ぎ、蜘蛛の巣を払い細い枝や蔓草を踏みつけつつ進むこと三十分ほど。それは姿を現した。
ちなみに、あとから分かったことだが、前回の観音下トンネルもこの倉谷口トンネルもあくまで通称であって、正式名称ではないらしい(場合によっては尾小屋に近い方のこのトンネルを第一トンネル、通称観音下トンネルを第二トンネルと呼称することもあったようだ)が、本稿ではさしあたりこのトンネルを倉谷口トンネルと呼ぶこととする。

小躍りして進むと、顔に大きな蜘蛛の巣が引っかかった。クソッ






トンネル内部に進入。それまでの暑さが嘘のようにひんやり涼しい。そしてトンネル内部になんと枕木が残されている。観音下トンネルには枕木は残っていなかったので、これは嬉しい(観音下トンネルの枕木がなぜないのかは不明。撤去された可能性も考えられる)。

トンネルの中はひんやりと涼しい

これは観音下トンネルにはなかったものだ


素掘りの部分の面積が小さくなっている。右上に碍子が見える

よくもまぁ、こんなところから来たものだ



地面は、観音下トンネルよりしっかりしている






また来るよ(もう来ない)

トンネルを出ると藪また藪の中。藪漕ぎ再開である。藪の中すぎてまったく気づかなかったのだが、左右にいきなり視界が開け、そこが暗渠の上であることを知った。



暗渠本体は、コンクリートもしくは石積み
暗渠の様子を確認するために沢に下りると、川の擁壁にカラミ(銅を精錬する際の分離物を利用した煉瓦。前の前の投稿を参照されたい)が用いられていた。
鉄道を通すための暗渠本体はコンクリートもしくは石積みであるため、川の擁壁としては尾小屋鉄道開通以前からある可能性が大きい。しかしながら、このように廃線巡りをしていてカラミと遭遇するとときめいてしまう。



暗渠を越えた先は、なんらかの手が入っているのか、いきなり歩きやすくなっている。森林の廃線の路盤らしき風景が続く。この歩きやすさは、この記事の最後まで続く(よかった)。

ここからは比較的歩きやすくなっている

倒木などものの数ではない

誰か(たぶん石川県)が手入れしていることが予想される



誰かが草刈りをしてくれているおかげだろう(合掌)


気持ちよく路盤を進む。路盤の右側に木箱がたくさん並んでおり、そこが養蜂場であることを示している。さらにその先、国道416号に接続するエスケープルートがあった。おそらく、養蜂場の人が普段利用しているのだろう。帰るために藪漕ぎをしなくていいことが確定した瞬間である(逆に言えば、この養蜂場の道を使えば、そんなに苦労せずに倉谷口トンネルに辿り着けたという残酷な事実を突きつけられた瞬間でもある)。
路盤はまだ続いている。国道に復帰するのは後回しにして、先を進もう。










この川を越えれば長原駅跡だが、長原駅に関しては前回の探索で民家の敷地内にありかつ草茫々であったので、ここまでで探索を終了し、引き上げることとした。大満足の収穫である。




国道416号に戻ってからは、自分の車を置いたところまで、歩いていても大して面白くもない国道を歩いて戻った。とはいえ、あの道をもう一度藪漕ぎすることに比べればかなりマシだ。進行方向右側に、郷谷川を挟んで廃線の路盤があるはずなのだが、木々に阻まれてまったく見えない(逆に路盤を歩いていたときは、国道が割とはっきり見えていたのだが)。

先述したとおり、肌を露出しない完全装備で臨んだためかなり暑かったはずなのだが、廃線探索はそれなりに集中力を要するため、探索中は意外と暑さを感じなかった(下界に比べれば尾小屋が比較的冷涼というのもあるが)。しかしながら汗を掻いていないということでは決してなく、むしろ気がつけば中の長袖Tシャツもポンチョも作業ズボンもパンツも帽子も汗でびしょ濡れであり、付けていた軍手までびしょ濡れであった。こんなに汗を掻いたことがないというくらいのびしょ濡れっぷりであり、びしょ濡れ自体は別によいのだが、それだけ身体から水分が失われているということである。こまめに水分を補給するよう心がけてはいるが、暑さを感じないということは水分補給にも考えが及ばないということにもなりうる。今後注意すべきところだ。
しかし、これだけ暑ければ、熊や鹿や猪などの野生動物も熱中症になってもおかしくなさそうだが、そういう話は寡聞にして聞いたことがない。そんな間抜けな野生動物はいないのか、もしくは熱中症になった野生動物はひっそりジ・エンドなのかもしれない。
車に戻って、どうせ周囲に誰もいない(本当にいない)ため、汗だくの衣類を全部脱ぎパンイチになって手ぬぐいで身体を拭い、あらかじめ車に積んであった半袖Tシャツ短パンに着替え、サンダルに履き替えた。
