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[第一話③]石動墓石店の宇宙錬金術 〜地球人の悪意、回収します〜【AI創作小説】

石動墓石店の宇宙錬金術 〜地球人の悪意、回収します〜
「じいちゃんの石」

◆前回のあらすじ
学校から帰ろうとする石動蓮(いするぎ れん)。いとこの紅葉(くれは)とともに帰ろうとしたその時、突然、紅葉のスマホが赤く点滅。紅葉はパニックになり、慌てて源造(げんぞう)のもとへ。源造は紅葉に小さな石を手渡し、紅葉はなにやらその石をスマホにはめ込んでいた。
そこへ、学校で蓮に暴言を吐いていた拓海(たくみ)がやってくる。
拓海が蓮に食いかかっている最中、突然、蓮の胸元に入っていた石が
ーーパキンッ。
そして拓海は、いままでの出来事をすっかり忘れ・・・・。




「?俺、何してたんだっけ……」

誰も答えなかった。

拓海はその場から動かないまま、天井、棚の石、蓮、源造――と視線をせわしなく巡らせる。
何も引っかからないのか、眉をひそめて小さく首を振った。

やがて、探すこと自体を諦めたように、視線が宙に漂った。

拓海はふらふらとした足取りで店を出ていった。
振り返ることもなかった。

源造は、割れたポケットの中身には触れず、ただ一言だけ呟いた。

「……そうか」

その表情からは、驚きも、安堵も読み取れなかった。

まるで、そうなることを最初から知っていたかのように。



拓海の足音が完全に遠ざかると、店の中には妙な静けさが戻ってきた。

源造は蓮の制服のポケットに手を伸ばし、割れたマラカイトの欠片をそっと取り出す。

断面が、光の加減でわずかに虹色に光った気がした。

「じいちゃん、あたし新しいの」

紅葉がすかさず手を差し出す。

「あとでな」

源造はそれだけ言うと、欠片を小さな白い布に包んだ。

紅葉は不満げに口を尖らせたが、それ以上は何も言わなかった。

「蓮」

「……なに」

「それ、蔵へ持っていけ」

源造は、包んだ欠片を蓮の手のひらに載せた。

ひんやりとした感触が、さっきよりも重く感じられる。

「蔵?」

蓮はその言葉を、口の中で一度繰り返した。

今まで意識したことすらなかった単語だった。
敷地の奥に古い蔵があることは知っている。
だが、そこに入ったことは一度もない。

源造は答えず、先に立って歩き出す。

紅葉も、いつになく静かについてくる。

蓮は手の中の欠片を握りしめたまま、二人の後を追った。

何かが始まる予感が、胸の奥でざわついていた。



敷地の一番奥に、その蔵はあった。

外から見れば、ただの古い蔵だ。
漆喰の壁はところどころ黒ずみ、屋根瓦も年季が入っている。
祖父母の代からあると聞かされていた記憶が、蓮にはうっすらとあった。

源造が、重そうな扉に手をかける。

ギィ、と低い音を立てて、扉が開いた。

その瞬間、蓮は思わず足を止めた。

外観から想像していたよりも、中はずっと広い。
壁一面に、大小さまざまな石が並んでいる。

棚には規則正しく仕切りが作られ、その一つ一つに石が収められていた。
ただの鉱物コレクションには見えない。

並び方が、あまりにも整いすぎている。

「……何これ」

蓮の声は、思ったより小さくなった。

源造は何も答えず、迷いのない足取りで奥へと進んでいく。
紅葉も無言のまま後に続いた。

蔵の奥には、一段高くなった台座があった。

四方を石に囲まれた、小さな祭壇のような場所。
表面には、細い溝が幾何学模様のように刻まれている。

「置け」

源造が短く言った。

蓮は、手の中の欠片に視線を落とす。

ひんやりとした感触は、さっきよりもわずかに重く感じられた。



蓮は、恐る恐る台座の中央に欠片を置いた。

何も起こらない。

一秒、二秒、三秒――静寂だけが蔵の中に満ちていく。

蓮は源造の方をちらりと見た。
源造は何も言わず、じっと台座を見つめている。

そのときだった。

シュウウウ……

かすかな音とともに、欠片の内側から光が漏れ出した。

虹色にも、金色にも見える、複雑に混ざり合った光。

石の表面から溢れ出したそれは、無数の細かな光の粒となって宙に舞い上がった。

粒たちは一瞬、まるでどこか遠くと交信するかのように、宙でぴたりと静止する。
それから見えない風に撫でられるように、ゆっくりと渦を巻きながら、台座に刻まれた溝を伝って床下へと吸い込まれていった。

蓮は言葉を失って、その光景を見つめていた。

紅葉は台座から少し離れた場所で、いつもより神妙な顔をして立っている。
何度も見た光景なのだろう。
驚いた様子はなかった。

光が完全に消えると、蔵の中には元の静けさが戻った。
台座の上に残された欠片は、もうただの色褪せた石にしか見えない。

「……還流したな」

源造がぽつりと呟いた。

「還流……?」

蓮は思わず聞き返す。

だが、源造はそれ以上何も言わなかった。
台座に手を伸ばし、空になった欠片をそっと取り上げると、懐にしまう。

その背中は、何も語らないと決めているように、蓮には見えた。

「あ、あの……あの石、なんだったの……?」

蓮は、蔵を出る前にもう一度聞いた。
今日一日で溜め込んだ疑問が、その一言に全部詰まっていた。

源造は少し黙った。
石を懐に収めた手を、そのまま止めている。

「……お前が知らなくていいことだ」

「なんだよ、それ」

蓮の声には、不満と、それ以上の戸惑いが混じっていた。

源造はふっと表情を緩め、珍しく小さく笑った。

「そのうち分かる」

それだけ言うと、源造は蔵の出口を顎で示した。

紅葉が蓮の肩を軽く叩き、「まあ、そのうちね」と笑って先に歩き出す。

蓮も釈然としないまま、その後に続いた。
二人とも、それ以上は何も語らなかった。

蓮は蔵を出るとき、一度だけ振り返った。
源造はまだ、台座のある奥をじっと見つめたまま、そこに立っていた。



――蔵の大きな重たい扉の前には、源造だけが残っていた。

薄暗い蔵の中を振り返り、源造は台座をしばらくの間、じっと見つめていた。

床下へと消えていった光の余韻が、まだそこにあるかのように。

「……今日も、よく働いたな」

誰に言うともなく、源造は小さく呟いた。

やがて、蔵の扉がゆっくりと閉まっていく。

外の光が細くなり、やがて完全に断たれた。




――第1話・終。

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<キャラクター紹介>

謎の男性の画像
あれ?誰、この人?

…次回の登場人物です。
※一話に登場した滝沢拓海君ではありません。


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