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楽器用携帯アンプ作ってみました。Part3

Part3の経緯

前回と前々回の「楽器用携帯アンプ作ってみました。」に続き第3回です。楽器用携帯アンプ製作記事は今回で最終回とします。



今回はPart2で余ったYAMAHAギターアンプの電子回路部分を少し改造して、もっと軽量コンパクトなものを作ってみました。

GA15AIIの分解



YAMAHAギターアンプGA15IIの電子回路


電子回路はアルミではなく軟鋼のケースに取り付けられています。写真左上がパワーアンプ用出力トランジスタ(プッシュプル回路でAB級?)です。右上が電源トランスで小型ですが重いです。無負荷時は2次側が中間タップ付きで18V-0V-18Vでした。

GA15IIの電子回路


PC板からダイレクトにスピーカケーブルが出ています。(白がGND)重たいのでトランスとスピーカは外します。電源は外部+12V1.5AACアダプターでデジタルパワーアンプをドライブし、DCDC変換器で+12Vからプリアンプ用±15V電源を発生します。

改造前電子回路


テスターでダイオードブリッジや電解コンデンサ周りの回路パターンを調べました。R41,R42は±18V電源をプリアンプ用に電圧低下させる320Ω2Wの抵抗です。そのほかヘッドホン用アンプはパワーアンプ出力に抵抗を付けて出力しただけのものでアンプのコストを抑える工夫がされています。

改造後電子回路

トランスを外し、パワーアンプ回路を切り離すためR41,R42を取り外しプリアンプ用電源を電線で引き出しDCDCから供給するようにします。
(注意)電源ランプ用電源は+18V側なので、5kΩ抵抗をLEDにつけて+12Vで点灯します。



GA15IIのプリアンプ部分の流用


PC板を取り外すのは面倒だったので、コストを抑える片面1層パターンということもあり、オシロスコープでプリアンプ出力(アナログ波形)を探します。

GA15IIプリアンプの電子回路の調査


プリアンプ部のボリュームやトーンやオーバドライブ機能をそのまま使えるようにしたいので、このギターアンプの性能調査を兼ねてシンセサイザーとオシロスコープで波形や周波数特性を調べました。

プリアンプのオーバードライブ切り替えと波形

オーバードライブとスルーの切り替えボタンがあり、PC板の白のワニ口クリップが切り替え出力に相当します。単純増幅後ダイオードの非線形領域を使って波形クリップする単純な動作です。音色が変わることが予想できます。左下波形がスルーで右下波形がオーバードライブです。

黄色が切り替え出力波形,マゼンタ色がトーンコントロール出力波形(Bass,Middle,Treble全てセンター)です。トーンコントロール出力は写真の黄色ロジアナ用クリップの波形です。実際にはここからプリアンプ出力を取り出します。



下図は切り替え出力スルーとした時のトーンコントロールの周波数特性の調査結果です。0.1Hz~20kHzを1秒でリニア掃引しているのでオシロ時間軸1目盛が2kHzに相当します。

GA15IIのトーンコントロール特性

回路中オペアンプが3個使われていますが、前段増幅回路やディストーションに使っているので、トーンコントロールは単純な回路になることが予想できます。

 左上は、Bass最大その他最小時の周波数特性で1kHz帯域での積分回路?

 右上は、Middle最大その他最小時の周波数特性で簡単なHPFのみで
     フルフラット?

 左下は、Treble最大その他最小では音が出なくなるためMiddleセンター
     Treble最大時の周波数特性です。

Middleよりも高いカットオフのHPFが入っているようですが、グラフィックイコライザーのような加算でなくMiddle直列で加工するギターアンプ独特の特性のようです。(独特のコスト設計?)



アンプボックスの加工


トランスとパワートランジスタを取り外してACアダプターを接着剤で取り付けます。次にボックス背面に外部入力(3.5φのモノラル入力ジャックとステレオジャック)とボリュームを取り付けるため、穴を空けます。ドリル加工粉がPC板に入らないようにしっかり養生します。

アンプボックス(軟鋼)の加工

加工中に気が付いたことですが、アルミと異なり鉄なのでドリル加工温度がキュリー点に到達し冷却する際に地磁気により磁性を持ちドリル刃に切削粉が付着します。おもしろい現象です。



デジタルパワーアンプとDCDC変換ボード


Amazonで中国製デジタルアンプ2個とDCDC変換ボードを手配しました。両方合わせて2千円以下です。

DCDC変換ボードDD1718PA Amazonで購入
デジタルパワーアンプ Amazonで購入

モノラルデジタルパワーアンプ(TDA8932BTチップ搭載)2個セットを購入しましたが、片方が不良品(電源投入後保護回路の誤動作?)でした。中国製品はコスパが良いのですが品質管理がいまいちです。過去の経験から1割くらいの確率で「バチもの」に当たる覚悟で購入することをお勧めします。四方ないので別のモノラルデジタルアンプ(TPA3118チップ搭載)を購入し入れ替えました。TPA3118チップのボードはS/Nが若干悪くクロックノイズが大きいです。ゲイン配分も異なるので半固定VRで調整が必要になりました。



回路図


YAMAHAギターアンプGA15IIの推定回路図(わかる範囲で)とその改造を回路図にまとめました。

楽器用携帯アンプPart3の回路図(改造図)

DCDCの±15V電源を利用してミキサーアンプを作ることを考えましたが、実装スペースがないことと、ギターアンプのプリアンプを流用しているので信号電圧がそもそも高いことから、単純なRCミキサー回路を作成しました。
外部入力は、キーボードなどφ3.5ジャック2個(ステレオ1個+モノラル1個)としました。またデジタルアンプの機種が異なりゲイン補正が必要なので半固定VRをパワーアンプ入力段に配置しています。



筐体とスピーカの組立


スピーカは物置にあった廃棄寸前のサラウンドスピーカー(DTM用?)を利用しました。ギターアンプなので80Hz程度~20kHzの帯域で充分と考えています。スピーカーはYAMAHAのNS-U50を2本です。なんと偶然にアンプボックスの幅とスピーカボックスの高さが一致していました。(YAMAHA同士で相性が良いのでしょうか?)

筐体(GA15IIとNS-U50)


前々回と同様の接着剤による底板と天板の接着剤によるサンドイッチ工法で組立てました。防振ゴムテープをアンプボックスの縁に貼り付けます。DCDCボード,パワーアンプ,ミキサー回路ボードなどは背面の絶縁に注意して(木材を挟むなどして)接着剤で固定します。今回は天板にAmazonで購入した手提げバンドを取り付けました。底板にゲタ(機械的アイソレータ)を履かせると良いかも知れません。

アンプボックスの組立
筐体の組立



動作確認と性能評価


φ6.5モノラル,φ3.4モノラル,φ3.5ステレオジャックからMP3プレイヤーとキーボードの音源を入力して機能確認しました。問題なく動作しています。
筆者のエレキギターを繋ぐことも考えましたが、へたくそなので別の人の評価を予定しています。音質は10W+10Wのラジカセなみです。低音が出ませんが中低域から広域までフラットな周波数特性です。

前回Part2と今回Part3のサイズ比較

前回Part2のアンプよりの半分の重さで、サイズは0.5まわり(若干)小さくなっています。もともとのGA15IIよりもコンパクトでステレオでパワーもありますが、ギターアンプとして適しているかは不明です。SDGsに少し貢献したようにも思います。パパ友ママ友に使ってもらう予定です。

後日、老人施設昭和歌謡演奏会で実際の楽器演奏評価・感想を報告する予定です。楽器用携帯アンプの製作記事はここで終了します。長い間お付き合いありがとうございました。

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