広告経済の前 #6: 集合知とRSSリーダー
このシリーズでは、「現代のデジタル環境 (スマホ・SNS) の問題意識を共有するためには、それ以前の時代の経験についても共有が必要かも」の仮説に基づいて、昔を振り返っています。
前回、2000年前後に出てきたサービスで「集合知」と関係しそうなものを色々挙げましたが、大事なものを忘れていました。RSSリーダーです。
RSSリーダーとは、「お気に入りのブログやニュースサイトを登録しておくと、更新情報だけを自動で集めて一覧表示してくれる」ツールです。
1999年に登場し、そのあとの2000年代のブログブームと共に一気に普及しました。
RSSリーダーの前はどうだったかというと・・・
まず、ブログの世界では、今のSNSと異なり、書き手毎にプラットフォームも異なるし、読み手は一般にはプラットフォームにはアカウントは持っていないのが普通です。
したがって、書き手は読み手に連絡する手段はなく、読み手側が、お気に入りのブログを自分で巡回して、更新情報をチェックしていたのです。
それでは大変なので、各ブログサイトが更新情報の掲載のフォーマットを標準化しました。それが RSS です。
そして、それを自動で巡回するツールが RSS リーダー、というわけです。
RSSリーダーを使えば、お気に入りを登録するだけでなく、カテゴリに分類したり、巡回する頻度もカスタマイズできます。
未読・既読管理もできるし、「後で読む」などのマークもつけられます。
書き手の多様性は保ったまま、読み手はお気に入り全体を自分視点で一元管理できる。
うまく自由と秩序が実現されていく感覚がありました。
しかし、RSSリーダーは次第に使われなくなります。 決定打は、2013年の「Googleリーダー」のサービス終了だったと思います。当時、多くの人が、情報収集の場をTwitterやFacebookなどのSNSに移し始めていました。
ここからは私の感想ですが、このRSSリーダーの衰退は、大きな転換点だったように感じています。
それは、情報の流れが「自分で情報源を選ぶ(プル型)」から「アルゴリズムが推薦する情報を受け取る(プッシュ型)」へ移行する、象徴的な出来事だったのではないか、と。
ユーザーが欲しい情報をプラットフォーム横断で能動的に「取りに行く」時代から、プラットフォームが最適化した情報をユーザーが受動的に「見せられる」時代へ。
この流れこそが「広告経済」や「アテンション・エコノミー」の始まりを意味していたのかもしれません。
そして、これは同時に「集合知」の終焉も意味していたように感じています。
集合知が機能するには以下のプロセスが必要です。
みんながバラバラに
自分の頭で「いい」「面白い」「読む価値がある」と思うものを
自分のペースで見つけて、選んで、蓄積する
RSSリーダーの時代はそれができていた。
ところが、SNSによるアルゴリズム・フィードは
統計的に「エンゲージメントが高くなると見込まれるもの」を
アルゴリズムで判定して
プッシュしてくる
つまり、アルゴリズム以上の発見はないわけです。
実は、RSSリーダーは「集合知」の醸成に不可欠なインフラだったのではないかと、今あらためて思ったのでした。
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