「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」を観たかめちゃん 〜社会に風穴を開けたのは誰か? 青島と室井が選んだ正攻法の正義〜 【感想】
どうも、かめちゃんと申します🐢
「踊る」シリーズの視聴も佳境を迎えていきます。
本編映画としては現状最後の作品まで辿り着きました。
「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」
今回はこちらの映画の感想を書いていきます。
ネタバレを含みますのでご注意ください🚨
それでは、よろしくお願いします🙇
▼過去の感想noteはこちら▼
概要
誘拐事件の被害者が遺体で発見され、凶器は警察が以前押収した拳銃だったことが発覚。警察官の関与が疑われるなか、湾岸署の捜査員たちは事件の真実を追いかける。
2012年公開。
「踊る大捜査線」シリーズの映画で、最終作として制作された作品です。
キャッチコピーは 「さらば、青島。」
時系列としては、「THE LAST TV」の約1ヶ月後が舞台となっているようです。
【こんな人にオススメ!!】
・青島と室井の集大成を見届けたい人
・「正義とは何か」「司法や警察組織の限界」という重厚なテーマが好きな人
・シリーズの歴史やキャラクターの積み重ねを愛せる人
【こんな人は向かないかも...】
・派手な大事件のサスペンスや、スカッとする完全決着を期待している人
・ツッコミどころのない緻密なミステリー・動機付けを求める人
・過去シリーズの文脈を知らず、単体映画として楽しみたい人
感想
社会に風穴を開ける
前日譚にあたる「THE LAST TV」が湾岸署、とりわけ強行犯係としての物語であったのに対して、本作は青島と室井の物語としての集大成。
時系列的にも2人の競演は久しぶりという感じで、「THE MOVIE 3」よりも濃厚な掛け合いを楽しむことができたように思えます。
2人が再びタッグを組むことになるまでの過程はなし崩し的な要素も大きいですが、彼らがこれまで戦ってきた上層部の判断が逆に彼らを引き合わせてしまったというのがなんとも皮肉。
上が現場を支え、下が現場で正義を貫くという2人の理想を実現した物語でした。
そして、本作で扱う事件もこれまで2人が戦ってきた警察上層部の闇がこれでもかと詰め込まれたようなものとなっています。
本作の犯人は鳥飼、小池という過去作を彩って来た関係者たちに加えて、香取慎吾氏が演じる久瀬。
彼らも腐敗した上層部への嫌悪という点では青島らと近い感情を持っています。彼らも本来なら、青島たちになれたはずの人物。
しかし、彼らは青島らと道を分け、事件を起こしました。青島らが信念を持ちながら正攻法で警察内部から革命を起こそうとしているのに対して、鳥飼らは事件を起こすというある意味では外側からテロを起こすことで警察上層部を揺さぶりました。
結果論として、事件は上層部を退陣に追い込むなど、社会的にインパクトを残しながら風穴を開けることに成功しています。
青島や室井は懲戒免職などのピンチこそ脱しましたが、上層部にはまだ大きなインパクトを残せていないことを考えると、短期的には鳥飼らの行動の方が構造改革には繋がったのかもしれません。
地道な努力よりも私刑の方が社会実装に繋がってしまうというのはなんとも皮肉です。
僕も仕事をしていて理不尽な組織の壁にぶつかった時に安易な裏道や諦めに逃げず、愚直に正攻法で泥臭く成果を示すことの難しさを感じます。
これが今のところの現実で、社会なんですよね。
青島と室井の正義
鳥飼らは犯罪者は抹殺すべきだという、正義中毒とでもいえるような思考で事件を起こしました。
しかし、青島は「THE MOVIE 3」でも示したように、あくまで自分の仕事は逮捕までであり、裁くことは司法に委ねるというのがスタンスです。
この違いにつながっているのは、一つは明確な喪失体験の有無かもしれません。
刑事ドラマって刑事が被害に遭うのも珍しくないですが、湾岸署の面々は刺されたり撃たれたりしても殺されてはいない。
一方で鳥飼は姪を殺され、小池と久瀬は捜査の中でその無念を味わっています。挙句、司法が犯人を裁けないという悲劇。彼らには警察や司法裁判を信頼するに足るものがなかった。
本作の鳥飼らの犯行は決して容認できるものではありません。特に真下の息子を誘拐して殺害しようとしていたあたりは、逆恨みもいいところで、警察内部にいれば彼よりも上の立場からの指示であったことはわかるはずです。情状酌量の余地はありません。
ただ、もしかしたら誰しもが彼らのような悲劇を抱える可能性があるのも事実です。
僕にもそうした経験はないけれど、同じような立場になれば憎悪の感情は絶対に湧く。それを理性で抑えるとは思うけれど、タガが外れないという自信はありません。
青島たちだって全くないとは言い切れない。
それでも、彼らを信じられるのは、2人の中にある正義が徹底して「市民のための警察」であるということ、そして「犠牲を出さないこと」にあるからだと思います。
これまでその姿を不器用なりにも見せてくれた2人だからこそ、どんな状況に置かれても信頼したくなるのだと思います。
それは視聴者だけでなく、湾岸署の面々や彼らに関わる警察たちにも共通しているはず。
そう思うと、自分もすっかり作中世界の住人のような気分になれます。長いシリーズだからこそ、こうやって価値観を作品と共に構築していくのが楽しいのですよね。
総じて、派手な演出よりも、これまで向き合って来た2人の姿を改めて対となる存在と共に描くことで、「踊る大捜査線」はこういう作品だ!ということを示したかった作品なのかなと思いました。
さいごに
作品的には青島と恩田の物語としては決着がつききっていないという感じもあるのですが、なんだか彼らの物語としては単純な恋愛ドラマを描かなかったのは個人的に好きなポイントです。
ネットで調べる限り、作品評価はあまり高くない模様。すっきりしないところがあるからこそ、「踊る」の映画としては...という感じがありそうなのもわからんでもないです。
この後の映画があることを知っている時期に観るのと、当時最終作として観るのとでは印象はだいぶ違うのではないかなと思います。
いよいよ映画は室井の2部作へと続きます。
作品世界を堪能しながら、最新作へ繋がるバトンを見届けたいと思います。
今回はこの辺で。それでは!
