浮世絵で旅する|江戸の名物【西瓜】江戸っ子はどう食べた?
今年も猛暑です。
私はこの夏、水分補給にスイカのルイボスティーを飲んでいます。ふわっと広がる香りに、少しだけ涼をもらいながら。
江戸の人たちも、夏には西瓜を楽しんでいたようです。
浮世絵の中に残された、江戸の西瓜を覗いてみましょうか?
美人の隣には、大きな西瓜

大英博物館蔵
出典:Wikimedia Commons
© The Trustees of the British Museum
CC BY-NC-SA 4.0
国芳の美人画をよく見ると、左側に大きな西瓜が!
丸ごとの西瓜だけでなく、真っ赤な果肉が見えるよう切った西瓜も並んでいます。
現代の西瓜といえば、緑の皮に黒い縞模様がおなじみですが、江戸時代には黒皮の在来種が広く栽培されていました。
当時の浮世絵を見てみると、黒っぽいものや縞の見えるものなど、現在とは少し違った西瓜の姿に出会えます。
角切り西瓜を、涼しげに

三枚続の一部
出典:国立国会図書館デジタルコレクション
こちらは、豊国の三枚続のうちの一枚です。
女性のそばに置かれたお皿を見てみると、小さな角切りにされた西瓜が盛られています。しかも、食べやすいように楊枝まで刺してあります。
背景の撫子の鉢植え、女性の着物、西瓜を盛った皿にも藍。赤い西瓜が映えて、目からも涼を感じられる一枚です。
川開きにも、西瓜を発見!

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
今度は、夏の川辺へ。
泳ぐ人、舟に乗る人、橋の上から川を眺める人。川開きを楽しむ人々で賑わっています。
さて、この中にも西瓜が。どこにあるでしょう?

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
正解は、川を行く「うろうろ舟」の西瓜売り。
そして橋の上には、西瓜にかぶりつく少年も!
船遊びをする人々の間を漕ぎ回り、飲食物を売った小舟は「うろうろ舟」と呼ばれました。滑稽本『浮世風呂』にも、西瓜などを売るうろうろ舟が登場します。
川の上でも西瓜を味わえる。
夏の隅田川は、まるで水上の町のようです。
🍉うろうろ舟のお話は、こちらにも!
虹の下に残された、西瓜の皮

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
さて、最後は広重です。
大きな大八車の向こうには江戸湾。そして空には、雨上がりでしょうか、大きな虹がかかっています。
でも、今回注目したいのは虹ではありません。
画面の手前をよく見てみると、
食べ終えた西瓜の皮が落ちています!
こんなところにまで、西瓜。
そして眺めているうちに、私はもうひとつ気になってきました。
空にかかる、大きな虹のアーチ。
その下に転がる、西瓜の皮の小さなアーチ。
もしかして広重さん、形を響き合わせている?
もちろん、これは私の想像にすぎません。
でも浮世絵は、こんな小さなものを見つけたところから、絵の中の物語をあれこれ想像できるのも楽しいところです。
江戸の夏にも、西瓜あり
美人のそばにも、川開きにも、そして道端に残された皮にまで。
浮世絵を覗いてみると、西瓜が江戸の夏のあちこちに入り込んでいます。
冷たい西瓜をひと口食べながら、江戸の人たちも楽しんだ夏の味に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
おまけ|江戸の西瓜売りを立体で
浮世絵の中で見つけた西瓜売り。
江戸東京博物館の常設展示では、こんなジオラマでも出会えました。
まずは、路地の西瓜売り。

そしてこちらは、
うろうろ舟の西瓜売り!

浮世絵の中に描かれていた江戸の夏が、
ぐっと立体的に見えてきますね。
トップ画像
歌川国芳《當盛江戸鹿子》(部分)
大英博物館蔵
出典:Wikimedia Commons
© The Trustees of the British Museum
CC BY-NC-SA 4.0
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