介護施設のサイト制作、発注前に確認したい5つの視点|「思っていたのと違う」を防ぐために
「制作会社に頼んだのに、思っていたサイトと違う」
サイト制作やリニューアルでは、こうしたすれ違いが少なくありません。
ただ、その原因は制作会社の技術力だけにあるとは限りません。
発注する施設側と制作会社の間で、サイトを作る目的や、公開後の運用方法が共有されないまま制作が始まっていることも、大きな原因の一つです。
今回は、介護施設がサイト制作を依頼する前に整理しておきたい、5つの視点を紹介します。
制作の「ズレ」は、契約前から始まっている
私自身、介護事業者の立場から、制作会社へWebサイトの制作や改修を依頼する側を経験してきました。
その中で感じたのは、完成後に見つかる問題の多くが、実は制作中ではなく、発注前から始まっているということです。
たとえば、制作会社へ次のように伝えたとします。
見やすいサイトにしたい
施設の魅力を伝えたい
入居者募集にも採用にも使いたい
更新しやすいサイトにしたい
どれも間違った要望ではありません。
しかし、「誰にとって見やすくするのか」「どの魅力を優先するのか」「入居と採用のどちらを重視するのか」まで決まっていなければ、制作会社も判断できません。
その結果、デザインとしてはきれいでも、施設側が期待していた成果にはつながらないサイトが完成してしまいます。
サイト制作は、制作会社にすべてを任せれば完成するものではありません。
発注する側にも、制作前に整理しておくべきことがあります。
発注前に確認したい5つの視点
①目的:誰に、何を伝えるサイトなのか
最初に決めたいのは、サイト制作の目的です。
介護施設のサイトには、さまざまな役割があります。
入居を検討する家族からの問い合わせを増やす
見学予約につなげる
求職者からの応募を増やす
地域や紹介元からの信頼を高める
施設の日常を継続的に発信する
もちろん、複数の目的を持たせることはできます。
ただし、すべてを同じ優先順位にすると、誰に何を伝えたいサイトなのかが曖昧になります。
発注前には、少なくとも次の質問に答えられるようにしておきたいところです。
「最も重要な相手は誰で、その人にどのような行動をしてほしいのか」
この部分は、以前の記事で書いた「選ばれる理由」と「選べる理由」の違いにもつながります。
②更新体制:公開後、誰がサイトを動かすのか
サイトは、公開したら終わりではありません。
お知らせやブログ、空室状況、採用情報、施設行事などを更新して、初めて施設の「今」が伝わります。
発注前に確認しておきたいのは、次のような点です。
誰が更新を担当するのか
どのくらいの頻度で更新するのか
写真や原稿は誰が準備するのか
掲載前の確認は誰が行うのか
担当者が異動・退職した場合、誰が引き継ぐのか
「誰でも簡単に更新できます」と説明されても、実際に更新する時間や担当者が決まっていなければ、運用は止まります。
機能だけでなく、施設内で更新を続けられる体制まで考えておくことが重要です。
③制作会社:実績だけでなく、進め方を確認する
制作会社を選ぶ際、介護施設の制作実績があるかどうかは大切な判断材料です。
ただし、確認したいのは制作実績の件数だけではありません。
介護施設の人員体制を理解しているか
家族が施設を検討する流れを理解しているか
専門用語を使わず説明してくれるか
施設側の考えを整理しながら提案してくれるか
公開後の更新や改善まで相談できるか
サイト制作に詳しい人が施設内にいるケースは、決して多くありません。
だからこそ、完成したデザインだけでなく、制作途中の説明や意思決定を支援してくれる会社かどうかも確認したいポイントです。
実績を見るときは、掲載されているサイトの見た目だけでなく、「どのような課題に対して、どのような提案をしたのか」まで聞いてみると、その会社の考え方が見えてきます。
④費用:見積金額に何が含まれているのか
サイト制作では、最初に提示された制作費だけで判断しないことも重要です。
見積もりを比較する際は、次の費用が含まれているかを確認します。
原稿の作成・編集
写真撮影
イラストや画像素材
スマートフォンへの対応
更新システムの導入
サーバー・ドメインの管理
公開後の保守
操作方法の説明
修正や更新を依頼した場合の費用
既存サイトからのデータ移行
同じ「サイト制作一式」でも、含まれる作業範囲は制作会社によって異なります。
初期費用が安く見えても、公開後の修正や更新のたびに追加費用が発生する場合もあります。
金額だけを比較するのではなく、どこまでを制作会社が担当し、どこからを施設側が担当するのかを確認しておくことが必要です。
⑤ゴール:公開後、何をもって成功とするのか
サイトの完成や公開は、ゴールではありません。
公開後にどのような変化を目指すのかまで、制作会社と共有しておきます。
たとえば、次のような指標があります。
問い合わせ数
見学予約数
採用応募数
求人ページの閲覧数
お知らせやブログの更新回数
サイトを訪れた人が問い合わせに進んだ割合
大切なのは、最初から完璧な数値目標を立てることではありません。
「公開後にどの数字を確認するのか」「いつ振り返るのか」を決めておくだけでも、サイトを改善しやすくなります。
公開から3か月後や6か月後に一度振り返り、必要に応じて情報や導線を修正するところまで、制作計画に入れておきたいところです。
相見積もりの前に「発注前1枚メモ」を作る
この5つの視点は、難しい企画書にまとめる必要はありません。
制作会社へ問い合わせる前に、次の内容をA4用紙1枚程度に整理してみてください。
あわせて制作会社には、介護施設の制作経験だけでなく、制作の進め方や公開後の支援範囲も確認しておきます。
誰に
最もサイトを見てほしい相手
目的
その相手に、どのような行動をしてほしいか
更新体制
公開後、誰が何を更新するのか
依頼範囲
原稿、撮影、更新、保守をどこまで依頼するのか
成功の基準
公開後、どの数字や変化を確認するのか
このメモがあれば、制作会社から受ける提案の違いも比較しやすくなります。
反対に、目的や依頼範囲が曖昧なまま複数社から見積もりを取っても、各社の条件が揃わず、金額だけでは正しく比較できません。
制作会社を探す前に、まず施設内の考えを整理する。
この順番が、発注後の「思っていたのと違う」を減らします。
制作会社選びの前に、施設側の準備を整える
FOURKNOTとして大切にしたいのは、単に制作会社を選ぶお手伝いをすることではありません。
何のためにサイトを作るのか。
誰に何を伝えるのか。
公開後、誰がどのように運用するのか。
こうした発注前の整理から、一緒に考えられる存在でありたいと思っています。
以前の記事では、選ばれる施設サイトづくりの土台となる7項目について紹介しました。
今回の発注前整理は、その7項目を検討する、さらに一歩手前の工程です。
目的が曖昧なまま制作を始めてしまうと、どれだけ見た目が整ったサイトでも、施設が抱える課題の解決にはつながりにくくなります。
発注は、サイト制作のゴールではなくスタートです。
まずは5つの中で、現在最も曖昧になっている項目を一つ確認するところから始めてみてください。
介護施設のWeb改善や情報発信について、現場で実践できる形に整理して発信しています。続きも読みたいと思っていただけたら、フォローしていただけるとうれしいです。
あなたの施設では、5つのうち、どの項目から整理する必要がありそうですか?
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