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「なんか違う」を、デザインの感想で終わらせない

デザイナーではない人のための、デザインを見る目の磨き方

デザインを見て、「なんか違う」と思ったことはありませんか。
あなたが感じたその違和感は、たぶん間違っていません。
今回は、その「なんか違う」をどう整理し、デザイナーとの対話につなげるかを考えてみます。

仕事をしていると、制作会社から上がってきたデザインを前に、

「なんとなくイメージと違うんです」
「でも、どこを直してもらえばいいのか分からなくて……」

と相談を受けることが何度もありました。

話を聞いていくと、不思議なことに、みんな「違和感」にはちゃんと気づいているんです。

この写真が少し強すぎる気がする。
なんとなく情報が頭に入ってこない。
思っていたより固い印象に見える。

でも、その理由を説明できない。

そんなとき僕はいつも、

「そこまで気づけているなら、その感覚をもう少し信じていいのにな」

と思っていました。

デザインを見る目というと、特別なセンスが必要そうに聞こえます。

でも、実務ではもう少し身近なものなのかもしれません。


1.「好きなデザイン」と「良いデザイン」は少し違う

デザインを見ると、

「こっちのほうが好き」
「これはおしゃれ」
「なんとなく古く見える」

と、つい自分の好みで判断したくなります。

もちろん、好き嫌いもひとつの感覚です。

ただ、仕事としてデザインを見るなら、その前に確認したいことがあります。

誰に、何を伝え、どう感じてもらい、最終的に何をしてほしいのか。

たとえば、とても洗練された高級感のあるWebサイトがあったとしても、それがすべてのサービスにとって良いデザインとは限りません。

親しみやすさを伝えたいのか。
信頼感を出したいのか。
まず商品を知ってほしいのか。
問い合わせにつなげたいのか。

目的が変われば、良いデザインも変わります。

だから僕は、デザインを見るとき、

「自分が好きか」よりも、「目的に合っているか」

から考えるようにしています。

デザインに限らず、仕事では「何を良しとするか」を先に決めておくと、判断しやすくなります。
資料づくりについても、同じように「判断」から考えた記事を書いています。

関連記事:「資料は、“判断”からつくる」



2.「なんか違う」を、4つに分けてみる

とはいえ、完成したデザイン全体を見て、

「目的に合っているか判断してください」

と言われても、なかなか難しいですよね。

そんなときは、「なんか違う」を4つに分けてみます。

① 情報|何が伝わっているか

最初に目に入ってほしい情報は、ちゃんと見えているか。
一番伝えたいことより、別の要素が目立っていないか。
情報量が多すぎて、読む順番が分からなくなっていないか。

デザインを見るというと、色や写真から見たくなりますが、その前に「何が伝わっているか」を確認します。

② 強弱|どこに目がいくか

タイトルも写真もボタンも説明文も、全部が同じくらい目立っている。

そんなデザインは、意外と見づらいものです。

何を大きくするか。
何を小さくするか。
どこに余白をつくるか。

全部を目立たせると、結果として何も目立たなくなる。

情報の強弱を見るだけでも、「なんか違う」の理由は見つけやすくなります。

③ 印象|どう感じるか

安心感を伝えたいのに、少しシャープすぎないか。
高級感を出したいのに、情報が詰まりすぎていないか。
親しみを出したいのに、固く見えていないか。

ここでは、色・写真・文字・余白などが、狙った印象につながっているかを見ます。

④ 行動|次に何をすればいいか

Webデザインなら、「次にどう動けばいいか」も大事です。

どこを読めばいいのか。
どこを押せばいいのか。
問い合わせはどこからするのか。

デザインは、ただきれいに見せるだけではなく、見る人の判断を助けるものでもあります。


3.普段からできる、デザインを見る目のトレーニング

では、デザインを見る目はどうすれば磨けるのか。

「良いサイトをたくさん見ましょう」

と言われることがあります。

もちろん、いろいろなデザインを見ることは大切です。

でも、

「これ、おしゃれだな」
「こういうサイト好きだな」

だけで終わってしまうと、仕事ではなかなか応用できません。

普段Webサイトや広告を見たときに、ひとつだけ問いを足してみます。

「なぜ、そう感じたんだろう?」

たとえば、

「このサイトは高級感がある」

と思ったら、その理由をひとつだけ探してみる。

余白が広いからかもしれない。
写真が大きく使われているからかもしれない。
色数が少ないからかもしれない。
文字の強弱が抑えられているからかもしれない。

毎回、細かく分析する必要はありません。

「好き」で終わらず、ひとつだけ理由を考えてみる。

それだけでも、少しずつ「感覚」と「理由」がつながっていきます。

デザインを見る目は、良いものをたくさん知っていることだけではなく、

なぜ良く見えるのかを、自分なりに考えること

でも育っていくのだと思います。


4.違和感を、そのまま「戻し」にしない

デザインの確認で難しいのが、制作会社やデザイナーへのフィードバックです。

たとえば、

「もっと高級感を出してください」
「もう少しインパクトがほしいです」
「もっと今っぽくしてください」

こうした言葉を使いたくなることがあります。

もちろん、間違いではありません。

ただ、受け取る側からすると、「高級感」「インパクト」「今っぽさ」の解釈はいくつもあります。

なので、できればもう一歩だけ具体的にします。

たとえば、

「今は情報量が多く、少し賑やかな印象に見えています。今回は落ち着いた印象にしたいので、情報の強弱や余白を調整できないでしょうか」

という具合です。

大事なのは、

「どこが気になるか」

「本当はどう見せたいか」

を伝えること。

修正方法そのものまで考えなくても、ここまで共有できれば、デザイナーも考えやすくなります。


5.答えが分からなければ、デザイナーに聞けばいい

そして、もうひとつ大事だと思っていることがあります。

自分で答えまで出そうとしなくていい。

Web担当者やマーケターがデザインを確認していると、

「修正案まで言わないといけない」

と思ってしまうことがあります。

でも、たとえば、

「このあたりが少し固い印象に見えています。ただ、色なのか文字なのか、自分では原因まで整理できていません。もう少し柔らかく見せるなら、どんな方法がありますか?」

と聞いてもいい。

僕自身、相談を受けたときも、最初から答えを全部出すというより、

「どこに違和感があるんだろう」
「本当はどう見せたいんだろう」

と、一緒に整理していくことが多かったように思います。

話しているうちに、

「そう、それです。それが気になっていたんです」

と、本人の中でも違和感の正体が見えてくる。

それだけで、次にデザイナーへ伝える言葉はかなり変わります。

「どう見えているか」と「どう見せたいか」を伝える。

そして、

「どう形にするか」は、デザインのプロと一緒に考える。

僕は、それも十分に良いディレクションだと思っています。

むしろ、分からないのに解決策まで指定するより、

「ここに違和感がある。でも原因はまだ分からない」

と伝えたほうが、良い答えにたどり着けることもあります。

デザイン確認は、デザイナーへの「ダメ出し」ではなく、より良いものをつくるための「相談」でいいんです。


「なんか違う」は、見る目の入り口かもしれない

デザインを見る目というと、

良いデザインを一瞬で見抜き、的確な修正案を出せることのように思えるかもしれません。

でも、最初からそこまでできる必要はありません。

「なんか違う」

まず、その感覚に気づく。

そして、

何が気になるのか。
どう見えているのか。
本当はどう見せたいのか。

を、一つずつ考えてみる。

それでも分からなければ、デザイナーに聞いてみる。

その繰り返しで、「なんか違う」は少しずつ言葉になっていきます。

だから、次にデザインを見て違和感を覚えたら、その感覚をすぐに打ち消さなくてもいいと思います。

あなたの「なんか違う」は、デザインを見る目が育ち始めているサインなのかもしれません。

今回は「デザインを見る目」について考えましたが、
「伝える」という仕事では、言葉を考える前にも同じような視点が必要だと思っています。

相手にどう伝わるかを考えることについて、こちらの記事でも書いています。

関連記事:「伝わる人は、『言葉』より先に相手を見ている」


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