私はiDeCoの掛金を、最低額に下げます
公務員のiDeCoについて、制度の話と出口の話を書きました。
ここからは、自分がどうしているかを書きます。制度としてどうか、ではなく、自分の場合はどうかという話です。
私がiDeCoを始めた理由
私はiDeCoをやっています。現在は上限の月2万円を拠出しています。
ただ、正直に書くと、深く考えて始めたわけではありませんでした。
始めた当時、非課税で運用できる枠がほとんどなかったのです。
つみたてNISA 年40万円
iDeCo 月1万2千円(年14万4千円)つみたてNISAの枠は年40万円しかありませんでした。まだ家を建てる前で、住宅ローン控除もありません。所得控除の余地がある一方、非課税で運用できる場所が足りない。
その受け皿として、iDeCoを選びました。 当時の上限は月1万2千円。金額的にも、迷う理由がありませんでした。
前提は、変わりました
いまは事情が違います。
NISA 年360万円/生涯1,800万円 【現行】
住宅ローン控除 あり 【現行】
こどもNISA 年60万円/600万円 【2027年1月開始予定】NISAの枠が、ケタ違いに広がりました。年360万円、生涯1,800万円。
さらに家を建てたので、住宅ローン控除があります。
ここは、仕組みが違います。
iDeCo 所得を減らす → その結果、税額が減る
住宅ローン控除 税額を直接減らす住宅ローン控除で所得税額が先に小さくなっていると、iDeCoで減らせる税額も、その分だけ少なくなります。所得控除の効きが弱まる、ということです。
そして2027年1月から、こどもNISAが始まる予定です。0〜17歳を対象に、年60万円・生涯600万円。子ども2人なら1,200万円の枠になります。
こちらは令和8年度税制改正大綱で決まった内容で、まだ始まっていません。詳細は今後の法令で確定します。
いまの状況で新しく始めるなら、私はiDeCoを選ばないと思います。
非課税で運用できる場所が足りないという、始めた当時の前提が消えているからです。
それでも続けているのは、降りられないからです
では、やめるのか。
やめられません。 iDeCoは原則60歳まで引き出せず、途中解約もほぼできません。
ここが、この記事でもう一つ書いておきたいところです。
「出口が難しい」には、二つの意味があります。
一つは、ここまで書いてきた税金の話です。退職所得控除の枠を取り合う、という出口課税の話。
もう一つは、そもそも出口が老後の1箇所しかないという話です。始めた時点の前提が変わっても、途中の非常口はありません。
私の場合、変わったのは制度のほうでした。NISAが拡充され、住宅ローン控除が加わり、こどもNISAの開始が決まった。当時の自分の判断が間違っていたわけではなく、環境が動いたのです。
それでも、資金は60歳まで動かせません。
これからどうするか
いま考えているのは、掛金を最低額まで下げることです。
iDeCoの掛金は、月5,000円から設定できます。金額の変更は年1回可能です。
いま 月20,000円
検討中 月 5,000円こどもNISAが予定どおり始まったら、そちらを優先しようと思っています。同じ金額を置くなら、より手前で引き出せるほうがいいという判断です。
こどもNISAにも払出し制限はありますが、中学入学年以降は教育費や生活費のために引き出せます。子どもの教育費が最も重くなる時期に使えるかどうか。私にとっては、ここが違います。
なお、拠出そのものを止めることもできます。ただしその場合も、資金が動くわけではありません。60歳まで引き出せないのは同じです。
しかも所得控除がなくなり、口座の手数料だけが残ります。それなら、最低額で続けたほうがいい。
月5,000円でも、年6万円の所得控除です。掛金は年1回変更できるので、状況が変わればまた戻せばいいと考えています。
iDeCoの使いどころ
そのうえで、iDeCoが効く場面はあると思っています。
定年退職間際です。
子どもが自立 → 扶養控除が消える
住宅ローン控除終了 → 税額控除が消える
給与は最も高い時期この3つが重なると、控除の余地が少なくなり、所得税率は高いままという状態になります。
そこにiDeCoの所得控除を当てれば、効果を最大化できます。しかも2026年12月からは月5万4千円まで拠出でき、70歳未満まで加入できます。
資金拘束の期間が短ければ、出口の問題も小さくなります。 積み上がる額が限られるので、退職所得控除の残り枠に収まる可能性も高まる。
つまり私は、iDeCoを「長く積むもの」ではなく「効く時期に使うもの」として、捉え直しています。
これが正解だと言うつもりはありません。所得の状況も、家族の構成も、人によってまったく違います。
ただ、制度の変化に合わせて、自分の使い方も変えていいと思っています。
受け取り方は、「一時金」で考えています
掛金の話は、ここまでです。
では、受け取るときはどうするか。いまのところ、一時金で受け取る線で考えています。
理由は二つあります。
理由① 早期に辞めれば、20年空けられます
出口の記事に書いたとおり、iDeCoを先に受け取る場合、10年空けないと控除枠が重複扱いになります。2026年1月からのルールです。
ただ、順番が逆なら19年内が対象です。退職手当を先に受け取り、iDeCoを後にする場合は、20年空ける必要があります。
普通に定年まで勤めると、これは使えません。
65歳で退職手当 → 20年後は85歳
iDeCoの受給期限は75歳間に合いません。
ところが、早期に辞めると話が変わります。
49歳で退職手当 → 20年後は69歳
70歳で受け取れば、19年内に該当しない控除枠が、もう一度使えます。
2026年12月からはiDeCoに70歳未満まで加入でき、受給は75歳まで可能です。遅くとも50代前半で辞められれば、この設計が成り立ちます。
早期退職は、控除枠そのものは小さくします。勤続20年を超えた部分の優遇区間が短くなるからです。
ただ、iDeCoとの間隔を空けられるという点では有利に働く。 同じ判断が、両側に効きます。
もっとも、これは辞める時期次第です。50代後半で辞めれば20年は空きません。
理由② 年金にすると、社会保険料が増えます
もう一つ、税金だけを見ていると見落とす点があります。
社会保険料です。
国民健康保険料や介護保険料は、「総所得金額等」をもとに計算されます。ここに何が入るかで、負担が変わります。
一時金で受け取る → 退職所得(分離課税)→ 総所得金額等に含まれない
年金で受け取る → 雑所得 → 総所得金額等に含まれる年金で受け取ると、保険料の算定基礎が増えます。
退職後は国民健康保険に移り、75歳からは後期高齢者医療制度に移ります。どちらも所得に応じて保険料が決まります。介護保険料も同じです。
税額だけを比べて「年金のほうが有利」と判断すると、この分が抜け落ちます。
しかも、公的年金や前の記事で書いた年金払い退職給付とも合算されます。考える要素が一つ増えるということです。
私はそこまで管理したくないので、一時金に寄せるという判断をしています。
ただし、20年先のことは分かりません
以上が、いま考えていることです。
ただ、これが唯一の正解だとは思っていません。
税制は変わります。実際、iDeCoを先に受け取る場合の期間は、今年から5年が10年になりました。20年先のルールを前提に固めても、そのとおりになる保証はありません。
だから決めているのは、方向だけです。
一つは、退職手当やiDeCoの受取額を先に試算しておくこと。 例規や運用シミュレーターから出せるので、控除枠がどのくらい残るか、超過するかもある程度分かります。
もう一つは、掛金を状況に合わせて動かすこと。 上限まで出す時期もあれば、最低額まで落とす時期もある。それでいいと考えています。
制度が変わり続けるなら、こちらも変え続ければいい。 そう思っています。
こちべえ
【出典】
・保険料の決め方(大阪市/国民健康保険)
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000624098.html
・2027年1月開始「こどもNISA」の概要(大和総研)
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20260526_025774.html
・iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイント(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/article/202412/entry-6825.html
・【2026年12月制度改正】iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額が引き上げ(楽天証券)
https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/revised/202505/
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