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FIREの目標額を、あえて追わずに会社を辞めた

退職を決意する数年前、スプレッドシートで資産の目標額を計算したことがある。
45歳まで働けば十分届く数字だったが、それを追うのをやめて、10年早く会社を辞めた。

お金があまりかからない性分

私は節約家という程ではないですが、あまりお金がかからないタイプの人間です。

ブランド品にも高級車にも新築マイホームにも、あまり興味がありません。
服も、気に入ったデザインで寒さをしのげるものが何着かあれば、それを大切に着ます。
旅行もその土地でしか味わえない食べ物にはお金を使い、寝るだけの宿泊費は抑える、そんな性格。

ボーナスが入っても、必要なものは揃っているので、ほとんど投資信託の購入に充てていました。

そういう体質になったのは、20代の後半からでした。

過去の記事でも書いた、モノを減らすことや、お金との向き合い方を考えた時に、毎月いくらかを積み立てる習慣がつきました。
派手に増やそうとしたわけではなく、手元の余剰な現金を投資に回す、地味なやり方です。
それでも何年も続けていると、気づけばまとまった額になっていました。

数字が、呪いに見えてきた

あるとき、計算してみたことがあります。
今のペースで積み立て続けたら、何歳で、もう働かなくてもいいと言える額、FIREに届くのか。

電卓を叩くと、45歳という答えが出てきました。
かなり厳し目に設定した数字なので、そのまま働き続ければ、ほぼほぼ手が届く数字ではありました。

でも、その答えを眺めているうちに、だんだん気持ちが重くなってきました。

45歳まで働き続ける10年という年月は、口で言うほど軽くありません。

その間に体を壊すかもしれないし、今やりたいと思っていることへの熱が、すっかり冷めてしまう可能性だってあります。

私には九州へ移り住みたい、口にするものを自分でまかなえるようになりたい、働く場所や時間を自分で選べる暮らしがしたいという気持ちがありましたが、その熱量が、目標に届く頃まで同じ温度で残っているとは限りません。

10年、20年、30年というスパンは長期投資という名の下に、よく耳にする年月です。

目標金額という数字の達成と、幾ばくかの安心の確保のために、人生の10年をかけることはできないと思いました。

それほどに人生は長くない、そして意思が強い人間ではないことを知っていたからです。

金額を目標に据えると、今度はその数字に自分が縛られていく呪いのような感覚を持ってからは、もうその数字を追いかける気にはなれず、あえて手放しました。
そうして私は、当初の予定より、ずいぶん早く会社を辞めました。

生活費を何年分まかなえるか

具体的な金額で意識するより、今の総資産で、生活費を何年分まかなうことができるのかで考えました。

例えば、
1年分の基礎生活費がまかなえるのであれば、何かしらの仕事にはありつけるだろう。
5年分だったら、しばらくはのんびりしてから、身の振り方を考えよう。
10年分だったら、さすがに何かしらの生業を確立しているだろう。

これのいいところは、たくさん稼ぐ、投資額を増やすというアグレッシブな方法だけでなく、生活費を抑えることでも難易度を下げられるので、ミニマリスト(見習い)の私と相性が良い考え方でした。

何にお金を使えば嬉しくて、何には使わなくても平気なのか。
その線引きが見えていると、必要な金額も、自然と小さくなっていきます。
それを早めに気づけたのは幸運でした。

ついつい数字で考えると、グラフが右肩上がりになっていることが良い、と考えがちです。
会社の業績も、年収も、資産も、そうなっている方が気持ちがいいし、安心する。

でも、横ばいで全然OK。
最悪、0にならなければいい。

そう思えたら、何となく思考も身軽になったようで、決断ができました。


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