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エンドロールに現れる謎組織「製作委員会」 日本のサブカルが辿った悲劇から生まれた、現代アニメの生存戦略

こちらの記事にゆたぽんさんから「(人格権って)ドラマ化やアニメかで原作者と揉めるやつですか?」というご質問がありました。
ドラマやアニメでもめやすいのは実は映像の著作がちょっと特殊な扱いを受けてるからなんですよね。
その件についてお話ししましょう。

1人でできない創作物

著作権は「作った人」に基本帰属します。
では「みんなで作ってるもの」はどうなるのでしょうか。

よくあるのは大きな壁にみんなで一斉に絵を描くとか、立体造形を組み合わせて作品にするとかでしょうか。あとはCL〇MPさんの漫画とか、あ〇りちゃんとか?

この場合は創作に携わった全員が「共同著作者」となります。

それをどうにかしましょうという話になったら、企画主催者は関係者全員に著作権の話をして回らないといけません。

ではゲームとかアニメのコミカライズとかノベライズとかだったら?
そもそも原著作(ゲームとかアニメ、映画等)のコンテンツの著作権者は誰や?

という話になりませんか?
とにかく関わる人が多いのが映像系コンテンツ。それを原著作にする場合、誰に話を通せばいいのか。
映像系はそこが他の著作権とちょっと違う。
そのあたりを見てみましょう。

「映画製作者」って、誰のこと?

まず映画。これの権利取り扱いが映像系コンテンツ著作の基準になります。
映画の著作権のルールは、マンガや音楽とはちょっと違います。
マンガなら「描いた人」、音楽なら「作った人」に権利が生まれるのが基本です。
ところが映画は、監督、脚本家、撮影監督など、たくさんの人が関わる「巨大プロジェクト」なので、全員がバラバラに権利を主張してしまうと困ったことになります。

たとえば、カメラマンが「やっぱり自分のシーンは使わせない!」と言い出したら、完成した映画が上映できなくなってしまいます。
数十億円をかけて作った映画が、一人のゴタゴタで消えてしまう。
これはさすがにマズい。

そこで著作権法では基本、「制作、監督、演出、撮影、美術等創造的役割を管理した者(監督とか。インディーズや自主映画規模なら)」を著作権者とします。
ここポイントなのが映像コンテンツの「原作」著作者は「映像の著作物」の著作権者には基本ならないということです。
あくまでも「原作著作の著作権者」であって、出来上がった作品の著作権者ではない。
「原作著作は原作著作」「映像作品は映像作品」という切り分けで著作権は管理されます。
それがどういう法的契約でなされているのか、どういう風に揉めるのかについてはまた別の記事で。

このようにインディーズや自主映画では監督=映像著作の著作権者にはなります。
しかし多くの映画って出資規模が複数社に跨るような巨大プロジェクトになったりしますよね。
そういう場合は「権利は、お金を出してリスクを全部背負った会社にまとめよう」と決めています。
その時の監督はあくまで「作った人」として名前が載りますが、映画を売ったり上映したりする権利は最初から会社のものになります。
法人が著作権者になるのですな。
ちなみにここでいう「映画製作者」とは、配給会社(映画を映画館に届ける会社)ではなく、「自分のお金と責任で映画を完成させる会社」のことです。
〇宝や〇映のような製作会社が典型的な例ですね。
スポンサー(CM会社)とも違います。

アニメの「製作委員会」は、なぜ生まれたの?

ではアニメ。映画で定めた内容の応用になります。
特徴的なのが「©︎〇〇製作委員会」。
アニメを見ているとよく目にします。あれが法律上のアニメ「映画製作者」の正体です。

なぜ一つの会社ではなく、委員会形式になったのか。
その答えは、アニメ業界の「痛い歴史」にあるそうです。
手○治虫さんが設立した虫プロダクションは、日本初の30分テレビアニメ『鉄腕アトム』を生み出した伝説的な会社ですが、1973年に倒産しています。テレビ局からもらえる制作費が安すぎて、作れば作るほど赤字になる構造だったのです。タツ〇コプロも大ヒット作を連発しながら、経営危機に陥りました。

「1社だけでリスクを背負うのは、あまりにも危険すぎる」という教訓から生まれたのが、現在の製作委員会方式だそうです。
テレビ局、出版社、グッズ会社、音楽会社など、得意分野の違う複数の会社が少しずつお金を出し合い、それぞれのノウハウを生かしながらプロモーションして、一方でリスクを分散させます。
そしてヒットしたら、出資した割合に応じて利益を分け合うわけです。

この委員会全体が「映画製作者」として著作権を持つので、テレビ放送、グッズ展開、配信、映画化など、あらゆる窓口がまとまって管理できるわけです。
……その結果、小さなアニメ会社が乱立して、現在のアニメ会社はますます経営が苦しいそうですが。そもそも大きな会社であった時に、ちゃんと経営組織としての基盤を作らず、足元をみた放送会社が安く買い叩いたのが諸悪の根源では? とも思いますけど、個人的には。

あと売り上げを管理する人(経理)な。

ゲームはどう扱われるの?

ではゲームはどうでしょう。
ゲームは法律上、「映画の著作物」の一種として扱われることが多いです。「動く絵があって音が鳴るもの」という点で映画と同じように保護されるべきだという考え方が、過去の裁判を経て定着してきました。

ただし、ゲームには「プレイヤーが操作して結果が変わる」という映画にはない特徴があります。そのためゲームは、映像・音楽・プログラム・シナリオといった複数の著作物の「盛り合わせ」として保護されています。
それでも権利の窓口は、基本的にゲーム会社が一本化して握っています。
任〇堂やカ〇コンのような大手が「1社製作」を続けられるのは、ゲームがヒットした際の利益規模がアニメや映画より桁違いに大きいからです。(その分、工程管理も無茶無茶大変ですが)
1タイトルで数千万本売れることもある世界なので、リスクを1社で背負っても、ビジネスとして十分に成立するのです。

ちなみに「ゲーム実況」が許可されているのは、ゲーム会社がガイドラインで「個人配信はOKですよ」と著作財産権の一部を開放しているからです。
あれは会社の「厚意」であって、法律上の権利ではないので、その点は覚えておくといいかもしれません。

このように、映画・アニメ・ゲームに共通しているのは、「リスク(責任)を負っている人(会社)に権利をまとめる」という考え方です。
著作権法は「誰が素晴らしいものを作ったか」だけでなく、「誰がリスクと責任を背負っているか」を重視しているんですね。責任を負う人が権利を負うのです。
たまにインディーズとかで「アイデアだけ出して、あとは一切ノータッチなのに、原作者を気取る人」とかいますね。安全圏から悦に入ってドヤってる系の人。金銭的リスクを背負ってないなら奴は権利者ではないということになります。
そして映像系では原作者もお金を出す人ではないので、原作の使用許諾をだしたあとは割と映像著作に関する権利的にはノータッチになります。行使できる権利としては原作使用権の引き上げ=プロジェクトの中止くらいでしょうか。これだって簡単じゃないです。
映像関係の著作ではプロダクトの最終取りまとめ(編集とか監督)した人が著作権者になります。

権利の仕組みを知ると、アニメのエンドロールや映画の冒頭に流れる会社名が、少し違った目で見えてくるかもしれません。

※本記事は知的財産検定3級の学習記録をもとに、著作権法の条文と各社の調査報告書を参照してまとめたものです。
法的な判断・アドバイスを提供するものではありません。

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