見出し画像

3. 初ライブからバンド活動へ、そして現在



初ライブ

最初のライブは、2008年の夏の終わりから秋にかけてだった。
場所は、船橋の街外れにひっそりと佇むブルースバー。

ライブバーに足を踏み入れるのはそれが初めてで、ブルースやロックが持つ“アウトロー”な雰囲気に、少し気後れしていたのを覚えている。だが、勇気を出して扉を開けてみると、店内にはギターのチューニングをしながら笑顔で迎えてくれるホストの方がいた。その姿がとても温かくて、緊張がふっと緩んだ。

ホストやその仲間たちが交わす、音楽業界の専門用語が飛び交う雑談。聞いているだけで、自分が今までとは違う“新しい世界”に足を踏み入れたのだと感じて、胸が高鳴った。

間もなく他の出演者も続々と集まり、いよいよライブイベントがスタート。あっという間に自分の出番がやってきた。

この日演奏したのは、以下の2曲。
<Bell Bottom Blues>

<Ramblin’ On My Mind>

Ramblin On My Mind はオープンDチューニングでスライド奏法で演奏した。
初めて人前でギターを演奏する緊張感は相当なものだったが、自分なりに納得のいくプレイができたと思う。
何よりも、その後の交流が楽しかった。共演者たちと音楽について語り合い、演奏を聴き合いながら酒を酌み交わす時間。かつて路上で弾き語りをしていた人や、会社の同僚とバンドを組んだという人まで、職業も音楽の嗜好も実にさまざま。そんな人たちと過ごす時間がとても刺激的で、心からワクワクした。

ホストたちのセミプロ級の演奏を間近で体感し、知らなかった楽曲やアーティストに出会い、自分の中の音楽の幅が一気に広がったように感じた。
「この世界にもっと浸っていたい」――そんな思いを胸に、初ライブの夜は静かに幕を閉じた。


エレキギターとの出会い


アコースティックギター(Martin)を手に入れてからは、毎日欠かさずギターに“触れる”ことを意識していた。
ただ、仕事からの帰宅が遅くなることも多く、夜間の練習となると音が気になって思うように弾けない。

そこで思いついたのが、“夜でも練習できる”エレキギターの導入だった。
ヘッドホンを使えば音漏れを気にせず弾けるし、そもそも自分の音楽的なルーツもブルースやロックといったバンド音楽にある。
いずれはエレキにも挑戦したいと思っていたこともあり、いいタイミングだと感じた。

「ならば、最初からエレキを選べば良かったのでは?」と思うかもしれない。
でも、エレキギターはバンドの中でこそ本領を発揮する楽器。ひとりで成立させるには、相応の技術や工夫が必要だと思っていた。一方でアコースティックギターは、一本で完結する音楽を奏でることができる。周囲に音楽仲間もいなかった当時の自分にとって、アコースティックの方が継続しやすいと判断していた。

エレキギターを買うと決めてからは、徹底的に情報収集を開始。
モデルは、迷わずFender Stratocasterに決めていた。クラプトン、ジェフ・ベック、ジョン・メイヤー…名だたるギタリストたちが愛用している、まさに“王道”の一本だ。

とはいえ、調べてみるとストラトにも実に多くの種類がある。
国別(日本製、メキシコ製、USA製)はもちろん、1950年代のクラシック仕様から現代のモダン仕様まで、細かな違いが数多く存在する。
雑誌やWeb、楽器店のスタッフからの話を通してじっくり選び抜いた結果、最終的に選んだのがこちらのモデルだった。

Fender Mexico Classic Series 50’s Stratocaster(Black)

Fender Mexico Classic Series 50s Staratocaster(Black)

クラプトンが愛用していた“50年代スタイル”にこだわり、カラーも彼のイメージに近いブラックをチョイス。
本当はShoreline Goldが欲しかったのだが、当時は在庫切れだった。

その後、いくつかギターを購入してきたが、今でもこの黒いストラトがメインの一本である。
夜の練習用に、ギターに直接挿せるポータブルアンプシミュレータ『Amplug』も購入し、夜な夜な練習に没頭した。

最初は“夜間練習のため”に導入したエレキギターだったが、次第にその魅力に惹かれ、「いつかバンドを組みたい!」という想いが芽生えていった。

VOX Amplug3 US Silver(SoundHouse HP)


バンド活動へ


そしていよいよ、2016年にバンド活動をスタート。
ギターを始めてから約8年が経っていた。
本当はもっと早く始めたかったが、結婚、出産、単身赴任などライフイベントが重なり、なかなかバンド仲間に出会えなかった。

メンバー探しには、バンド募集専門のWebサイト「Oursounds」を活用。ここは現在でも最も活発にやり取りがされているサイトだ。「ブルース」などのジャンル検索や「クラプトン」「ジョン・メイヤー」などのキーワードで検索し、趣味や方向性が合いそうな人にメッセージを送り、バンド仲間を探していく。

「ブルースバンド新規結成!」という募集に私が応募したことがきっかけで、
ギター2人、女性ボーカル兼キーボード、ベース、ドラムの5人で初めてのバンドがスタート。
全員30〜40代という年齢もあって、練習後のファミレスでの反省会もいつも盛り上がった。

実際にバンドで演奏してみて、一人で弾くのとは全く別の難しさと面白さがあることに気づいた。
特に、自分のテンポではなくドラムに“合わせる”という感覚が新鮮だった。
自分の演奏に集中しすぎると、いつの間にかリズムがズレてしまう。けれど、全員の音とタイミングがピタリと合った瞬間の心地よさは、何にも代えがたい。

途中で発起人が脱退するという出来事もあったが、私がリーダーを引き継ぎ活動を継続。
ついに2018年の春、初ライブにこぎつけた。

出演したのは、今はもう開催されていない**宮地楽器主催「Walk Out」**という社会人バンド向けイベント。
イーグルス、ノラ・ジョーンズ、ブルースなど、インスト含め計5曲を披露。
バンドとして初のステージだったが、今でも音源を聴き返すほど、良いバランスの演奏ができていたと思う。

次なるライブに向けて動き出した矢先、2019年にスケジュール調整の困難から解散。
仕事や家庭の事情で全員の予定を合わせるのは、30〜40代のバンドにとってなかなかの難題だった。


現在 ―原点回帰へ―


解散直後、再びOursoundsを使って新しいバンド探し。
今度は自分が中心となり、メンバーを集めて新バンドを立ち上げた。

その直後にコロナ禍に突入。思うように活動できない時期もあったが、2023年からは年に1〜2回ペースで対バンイベントに出演している。
他のバンドとの交流もまた刺激的で、会場全体が一体となる瞬間はたまらない高揚感がある。お誘いを受けて出演するイベントも増えてきた。

2025年現在、メンバーの入れ替わりはあるものの、そのたびに新しいジャンルの楽曲にチャレンジしながら、バンド活動は続いている。

最近では、ブルースや古い洋楽ロックに加え、懐かしいJ-Popへの関心も高まり、再びアコースティックギターでの弾き語り練習も始めている。

久しぶりの弾き語りは思いのほか難しく、歌とギターの同時進行に苦戦中。
けれど、それもまた楽しい挑戦。初心に立ち返って、1曲1曲じっくりと身体に馴染ませながら、仕上げていくつもりだ。

(終わり)

いいなと思ったら応援しよう!

516UK 宜しければ応援お願いします