治らない理由は、触れていない場所にあるかもしれない
治療を繰り返しても、なかなか改善しない。
そういう身体に、施術の現場でときどき出会う。
手技として、方法論は何も間違っていない。
局所の状態も、特に悪化しているわけではない。
なのに、変化が定着しにくい。
長くこの仕事をしていると、
そういうケースでは、
局所の外にも目を向ける必要があると感じる。
想定していない場所だからこそ、
気づきにくい。
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東北大学の研究で、
そのことを考えさせられる興味深い報告があった。
腸炎を起こしたマウスでは、
歯の根の炎症に伴う顎の骨の破壊が、
腸炎のないマウスより大きくなった。
研究では、
腸の炎症によって変化した免疫反応が、
離れた場所にある顎の骨の炎症にも影響する可能性が示されている。
つまり、
問題が起きている場所だけを見ていては、
説明できないことが身体にはある。
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これは、
僕が臨床で身体を見るときにも、
とても重要な視点だと思っている。
身体では、
離れた場所で起きていることが、
別の場所の状態に影響することがある。
この研究では、
その一つとして好中球の働きが注目されていた。
好中球は、
身体を守る免疫細胞の一つだ。
しかし炎症が過剰になれば、
その反応が周囲の組織にも影響を及ぼすことがある。
身体を守るための仕組みも、
状況によっては、
組織の損傷に関わることがあるわけだ。
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ここからは、
僕自身の臨床的な見方になる。
この構造を見ていると、
身体の「過緊張」と少し似ていると感じる。
慢性的にストレスにさらされた身体は、
必要なときに緩みにくくなることがある。
緊張と弛緩の切り替えが小さくなり、
いつもどこかに力が残っている。
本来、
身体を守るために必要な緊張も、
必要以上に続けば、
今度は身体の負担になる。
免疫反応と筋肉の緊張は、
もちろん同じ仕組みではない。
でも、
「身体を守るための反応も、
過剰になれば負担になり得る」
という点では、
どこか似た構造があるように思う。
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だから、
施術で変化が定着しないとき、
僕はその人の「全体」に目を向ける。
睡眠。
食事。
日々の活動。
呼吸。
そして、
緊張と回復のリズム。
局所だけでは見えなかったものが、
少し視野を広げることで見えてくることがある。
それは遠回りではない。
むしろ、
同じ場所だけを見続けることが、
遠回りになることもある。
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身体に起きていることの理由は、
必ずしも、
症状が現れている場所だけにあるとは限らない。
だからこそ、
触れている場所だけではなく、
まだ見ていない場所にも目を向ける。
長く身体を見てきて、
その視点はますます大切になっている。
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