「ほとんど試合に出られなかった息子が、ソフトボールのエースになるまで」
「打てない・取れない・走れない」三拍子そろって補欠だった息子に、ある日「ピッチャーをやってみない?」と声をかけました。そこから始まった親子の練習、背番号1の獲得、そして大会MVP。今でも忘れられない、息子の成長記録です。
息子は5年生まで、ほとんど試合に出られませんでした。
打てない。
取れない。
走れない。
本当に、
「打てない・取れない・走れない」の三拍子がそろっていました。
父親としても、
「どうしたものかな……」
と悩む日々でした。
でも、そんな息子にも、
一つだけ得意なことがありました。
それが、
投げること。
そこで私は、ある日息子に聞きました。
「ピッチャーをやってみない?」
すると息子は、
「やってみたい」
と答えました。
これが、息子のソフトボール人生を大きく変えることになりました。
私も、ピッチャー未経験でした
私は小学校、中学校、高校と硬式野球をしていました。
小学校ではレフト。
中学校ではセンターとショート。
高校ではショート。
でも、
ピッチャーはやったことがありません。
ましてや、ソフトボール特有の
ウインドミル投法
なんて、まったくの未経験です。
息子に「ピッチャーをやってみない?」と言ったものの、
教える側の私にも知識がありません。
そこで、
私も一緒に勉強することにしました。
5年生の冬、親子のピッチング練習が始まった
実際の練習方法を知りたくて、YouTubeでいろいろ調べました。
その中でも参考になったのが、
「ツヅキン」さんのチャンネルに出てくる、
「今(コン)さん」
のピッチング練習動画でした。
そこで紹介されていた練習を、私たちも取り入れてみました。
まずやったのが、
「壁ぐるぐる」
です。
壁のすぐそばに立って、
投げる方の手を壁沿いにぐるぐる回します。
壁との距離は、
手が通るくらい。
それを、
1日100回以上。
毎日続けました。
雨の日も、できることを探した
雨の日はグラウンドで練習できません。
そこで、
自分のグローブに腕を回して、
ボールをズバンと入れる練習
もしました。
フォームを身につけるための練習です。
もちろん、その間にも実際の投球練習をしました。
でも最初は、
どこに飛んでいくか分かりません。
私も一緒にやってみました。
そして、
「これ、めちゃくちゃ難しいな……」
と痛感しました。
ピッチャー経験のない私でも難しい。
当然、息子も簡単にはできません。
それでも、
毎日少しずつ練習しました。
「3月までに間に合うのか?」
練習を始めたのは11月。
6年生の最後の大会は2月。
その後、6年生が卒団して、
新チームになるのが3月です。
つまり、
ピッチャーになるための時間は、それほど多くありませんでした。
私は、
「本当に3月までに間に合うのか?」
と焦っていました。
ところが息子は、
私が言った練習を黙々と続けました。
毎日、
壁に向かって腕をぐるぐる回す。
雨の日もできる練習をする。
投球練習をする。
それを繰り返しました。
1か月後、初めて「変化」を感じた
練習を始めて、
1か月くらい経った頃でした。
私は、
「あれ?」
と思いました。
それまでバラバラだったボールの軌道が、
少しずつ安定してきたのです。
「壁ぐるぐるの成果かな?」
もちろん、
それだけが理由なのかは分かりません。
でも、
毎日続けていた練習の成果が、
少しずつ見えてきました。
息子も、
私も、
「何か変わってきたな」
と感じるようになりました。
スリングショットから、ウインドミルへ
ピッチング練習では、
まず、
スリングショット
を練習しました。
腕を頭の上に上げて、
そこから投げる投法です。
そして1月からは、
本格的なウインドミル投法
を練習するようになりました。
とはいえ、
最初からうまくいくわけではありません。
コントロールは、まだまだ。
そこで、
投げる動作を一段階ずつ止めながら、
フォームを確認しました。
ここがおかしい。
ここを修正しよう。
もう一度投げる。
そしてまた確認する。
そんな地道な作業を繰り返しました。
私は「キャッチャー」に専念することにした
ウインドミル投法は、
前にジャンプして投げる動きがあります。
私は腰に不安があったので、
これは無理でした。
「腰の悪いおっさんには厳しいな……」
そう思い、
私は潔くピッチャーを諦め、
キャッチャーに専念することにしました。
ボールを受ける。
フォームを見る。
一緒に考える。
練習相手になる。
それが、
私の役割になりました。
ピッチャーをやったことのない私にできることを、
できる範囲でやる。
そんな親子の練習が続きました。
運命の「ピッチャー選考会」
そして、
6年生が卒団。
新チームが始まります。
ついに、
ピッチャー選考会の日が来ました。
ピッチャーになりたい子は、
思っていた以上にたくさんいました。
「やばい。
みんなこっそり練習してたのか!?」
正直、そう思いました。
でも、
いよいよ息子の番です。
フォームはできている。
コントロールも、
以前よりかなり安定している。
そして、
結果を待ちました。
背番号1。
エースナンバーを獲得しました。
5年生まで、
ほとんど試合に出られなかった息子。
そんな息子が、
自分から「やってみたい」と言い、
毎日練習して、
ついに背番号1を勝ち取りました。
息子は、
本当に嬉しそうでした。
もちろん、
私も嬉しかったです。
あのときの、
息子の誇らしげな顔は、今でも忘れません。
でも、エースになっただけでは勝てなかった
背番号1をもらった。
それは嬉しいことです。
でも、
エースになれば、
すぐに勝てるわけではありません。
配球。
コントロール。
守備。
打撃。
チーム全体の力。
課題は、まだまだありました。
試合をしても、
なかなか勝てない。
そんな時期が続きました。
「覚醒したんじゃない?」
そして、
8月のある大会。
その日、
息子のピッチングが、
今までとは明らかに違いました。
周りから、
「覚醒したんじゃない?」
と言われるほどでした。
私自身も、
「今日は違うな」
と感じました。
そこから、
試合でも少しずつ勝てるようになりました。
これまでなかなか勝てなかったチームが、
少しずつ、
「勝てるチーム」
になっていったのです。
最高の相棒がいた
そんな息子を支えてくれたのが、
キャッチャーの子でした。
その子は5年生からレギュラーで、
とても上手な選手でした。
ピッチャーを支えるキャッチング。
状況を見た判断。
そして、
クイック投法ができるようになったことで、
盗塁を阻止する場面も増えました。
私はピッチャー経験がありません。
でも、
一緒に見ていて思いました。
キャッチャーが上手いと、ピッチャーも一緒に上手くなることがあるんじゃないか。
少なくとも、
息子の場合は、
このキャッチャーの存在がとても大きかったと思います。
小さな大会で優勝。そして大会MVP
そんな日々を過ごしているうちに、
ある小さな大会で、
チームが優勝しました。
そして、
息子が大会MVPを獲得しました。
5年生まで、
ほとんど試合に出られなかった息子。
それが、
今はチームのエースとしてマウンドに立っている。
そして、
MVPの楯を受け取っている。
その姿を見た瞬間、
不覚にも涙がこぼれ落ちました。
「こんなに成長したんだな」
と思いました。

最後の大会は、一回戦敗退
もちろん、
最後まで順調だったわけではありません。
最後の大会では、
くじ運も悪く、
一回戦で敗退。
悔しい終わり方になりました。
でも、
私は十分でした。
息子は、
挑戦した。
練習した。
失敗した。
それでも続けた。
そして、
背番号1を取り、
大会MVPまで取った。
その経験は、
きっとこれから先も、
息子の中に残っていくと思います。
スポーツで一番大事なのは、レギュラーになることだけじゃない
私は、小学校から高校まで野球をしてきました。
そして、
6年生のときには、
チームの会長も務めました。
そのとき、
子どもたちにいつも伝えていたことがあります。
それは、
「一番大事なのは、レギュラーになることだけじゃない。まずは挨拶をしよう」
ということです。
もちろん、
レギュラーになりたい。
試合に出たい。
エースになりたい。
そう思うのは当然です。
でも、
スポーツを辞めたあとにも残るものがあります。
それが、
挨拶や感謝する気持ち
だと思っています。
実際、
当時教えていた子どもたちは、
大人になった今でも、
私に会うと元気に挨拶してくれます。
それを見ると、
「ああ、覚えていてくれたんだな」
と嬉しくなります。
息子が教えてくれたこと
今回のことを振り返って、
私が一番嬉しいのは、
息子がエースになったことだけではありません。
「できない」で終わらせなかったこと
です。
最初は、
打てない。
取れない。
走れない。
ほとんど試合に出られない。
そんな状態でした。
でも、
「ピッチャーをやってみたい」
と言った。
そこから、
毎日練習した。
親子で試行錯誤した。
そして、
背番号1を取った。
大会MVPも取った。
もちろん、
努力すれば必ず結果が出るわけではありません。
でも、
やってみなければ、何も始まらない。
私は息子から、
そんなことを教えてもらった気がします。
最後に
あのとき、
息子に、
「ピッチャーをやってみない?」
と声をかけて、
本当に良かったと思っています。
もし、あの一言がなかったら、
息子がピッチャーになることも、
背番号1をつけることも、
大会MVPを取ることも、
なかったかもしれません。
人生には、
ちょっとしたきっかけで、
大きく変わることがあります。
子どもも同じなのかもしれません。
最初から何でもできる子ばかりではありません。
苦手なことがあっても、
「やってみたい」
と思えるものに出会えれば、
そこから変わることがあります。
そして、
そのときに周りの大人が、
ほんの少し背中を押してあげる。
それだけでも、
大きな一歩になるのかもしれません。
私はこれからも、
息子が何かに挑戦するときには、
できる範囲で応援していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
(サムネの画像は息子の写真を使用しています)まあ、自慢(親バカ)です。
この記事を読んで、「この父親の他の話も気になる」と思っていただけたら、こちらもどうぞ。
私自身の子ども時代は、もっと「いみしか」(腕白)でした。
息子のエピソードで思い出した、私自身の初恋の話はこちらです。
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