アラフィフの再婚は婚活アプリで叶う?親友の結婚と勇者の記念日。攻略日記Vol.84
友人が婚活アプリで知り合った年上男性と再婚した。
「もう、結婚はしないと思う。」
そう言っていたのは6年前だ。
勇者(私)には幼いころからキャラの濃い5人の友人がいる。
今回結婚した友人は、この中の友人ではない。
大学に入って仲良くなった友人Fちゃんだ。
Fちゃんと知り合ったのは入学してすぐのオリエンテーションだった。
「よかったー。オリエンテーリングに間に合ったわ。」
と、息をはぁはぁしながら講義室の椅子に座った若かりしころの勇者(私)
となりに座っていたFちゃんが笑って声をかけてきた。
「オリエンテーリングって、今からフィールドワークでもするん?」
とにかく昔から言い間違いや覚え間違いが多い勇者だった。
昔からやっぱりカタカナは苦手だった。
4年間の大学生活で、いつもとなりにいたのはFちゃんだった。
独り暮らしの私の部屋で、
鍋パーティーやたこ焼きパーティーを楽しんだのも
ついこの間のように思い出せる。
大学1年生から付き合っていた遠距離恋愛の彼の話を、
Fちゃんは、時には喜び、時には私の代わりに怒ってくれた。
Fちゃん自身はバイト先の先輩にずっと片想いをしてた。
4年間実らなかったが、その先輩の授かり婚(当時はデキ婚とか言ったな)
で、あっけなく片想いは幕を下ろした。
Fちゃんは、一途な性格だ。
そんなFちゃんが結婚したのは、私が不妊治療をしている頃だった。
結婚前に紹介されて、3人で食事をした。
彼が偉そうにFちゃんに話すのが嫌だった。
今思えば「モラハラ」の典型だった。
Fちゃんはそんな彼を愛おしそうに見ていたし、
私も彼のことを好きにならないといけないような気がしていた。
二人はすぐに子どもを授かった。
Fちゃんの妊娠中に彼の不倫が発覚。
出産後、二人は離婚した。
小さい子を抱え、Fちゃんは悔しそうに言った。
「もう、絶対に結婚なんかしない。」
私は不妊治療の真っ最中で、複雑な気持ちだった。
赤ちゃんを愛おしそうに抱くFちゃんを羨ましいような、
不倫発覚の全貌を怒りの形相で話すFちゃんに同情するような、
複雑な気持ちでパスタランチを食べたのを鮮明に思い出すことができる。
そんなFちゃんから連絡が来たのは、
勇者(私)と吟遊詩人(夫)の結婚記念日だった。
吟遊詩人も外に出ることが増え、5年ぶりの記念日ランチだった。
「また、あとでかけなおすわ。」
Fちゃんはすぐに話を聞いてほしそうだったが、
記念日ランチを優先し、電話を切った。
帰宅してから、長電話になるだろうと思い、家族パーティーに
「ママは今から長電話するから。」
と声高々に宣言し、スマホと充電器を持って、寝室にこもった。
「さっきは、ごめんな。今日は結婚記念日やってん。」
私はそう言って、ベッドに倒れ込みながらスマホを耳に当てた。
Fちゃんの弾んだ声。
「実はな、結婚することになってん。婚活アプリで知り合った人。」
ちょっと待って。
婚活アプリ!?
あの「もう絶対に結婚なんかしない」と悔し涙を流していたFちゃんが、
マッチングアプリという名の現代のスペシャルダンジョンに飛び込み、
自分で新しいパートナーを見つけるクエストに挑んでいたなんて。
話を聞くと、
お相手は年上の落ち着いた男性。
かつての元夫のような威圧感や不誠実さは一切なく、
Fちゃんと連れ子であるお子さんのことを
何より大切にしてくれる人らしい。
「アプリなんて最初は半信半疑やったけどな、
ちゃんと探せばおるんやな。
穏やかで、大切にしてくれる人。」
受話器の向こうで柔らかく笑うFちゃんの声を聞いていたら、
胸の奥がじーんと熱くなった。
その男性も再婚らしく子どももいたが、
奥さんとは死別で子どもも成人してるということだった。
不妊治療に焦っていたあの頃の私。
小さな赤ちゃんを抱えて怒りと悔しさで震えていたあの頃のFちゃん。
パスタランチの味と、お互いが抱えていた暗闇が
嘘みたいに明るく感じた。
「ほんまに、おめでとう。良かったやん。」
「ありがとう。
マーキーのとこ結婚記念日やったんやな。
こんな日にごめん。」
そう。
よりによって、私が「鬱の吟遊詩人」と
5年ぶりの記念日ランチを楽しんだまさにその日に、
Fちゃんは新しい人生の扉を開けた。
年齢を言い訳にせず、自分の足で歩き、
自分の意思で幸せを掴み取ったFちゃん。
次の人生では、絶対婚活アプリに登録してみたい♡
Fちゃんが、我が家の近況も聞いてくれた。
「うちは相変わらず、
吟遊詩人が不協和音奏でながらゆっくりリハビリ中やで。」
Fちゃんは笑っていた。
「ふふ、でも今日ふたりでランチ行けたんやろ? 良かったやん。」
電話を切ったあと、寝室の天井を見上げながら深く息を吐いた。
「もう二度としない」と言っていた結婚。
5年前は二人でランチに行くことすら叶わなかったわが家。
人生というRPGは、
本当にどこでどうひっくり返るか分からない。
傷を負っても、遠回りしても、人はちゃんと自分なりの
「前」を向いて進んでいける。
やっぱり、自分自身が選んだ道を正解にしていくんやな。
Fちゃんの新しい旅立ちに拍手を送りつつ、
私も自分の冒険をマイペースに攻略していこうと誓った
結婚記念日の夜だった。
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