大多数の見えない犠牲者たちへ――幻想の「ふつう」に、わたしたちは今日も擦り減っている
「ふつうにしていれば、大丈夫」
「ちゃんとしていれば、きっと報われる」
そんな言葉に支えられてきたはずなのに、
いつの間にか、自分だけが擦り減っていた──。
これは、名前のないまま静かに消えていく人たちへの、小さな祈りです。
もし、あなたが今その途中にいるなら、どうか受け取ってください。
⸻
「ふつうにしていれば、大丈夫だよ」
「ちゃんとしてさえいれば、きっと報われるから」
「みんなそうしてるんだから」
──そんな言葉を、何度聞いてきただろう。
わたしたちは、
誰かの基準でつくられた“ふつう”に、
黙って従うことで、安心を得ようとしてきた。
本当はもう、とっくに無理をしているのに。
もう、とうに、擦り切れているのに。
⸻
声をあげるほどでもない。
休むほどでもない。
逃げるほどでもない。
だけど、しんどい。
⸻
そういう人たちが、
この社会のあちこちで、
見えないまま崩れていってる。
ちゃんと働いて、ちゃんと親をやって、ちゃんと生きてるように見えて、
誰にも気づかれずに、
静かに「私」が削れていってる。
⸻
わたしは、そんなあなたに向けて書いています。
そして、きっとわたし自身も、
その中の一人だから。
⸻
名前は知らない。
だけど、その人の話を聞いたとき、
わたしは少し泣きそうになった。
彼女は、いつも定時に出勤し、遅刻も欠勤もせず、
職場の空気を読み、無駄口はたたかず、責任を持って仕事をこなしていた。
文句も言わず、誰かに迷惑をかけないように、
自分の都合や不調を「後回し」にしてきた人だった。
⸻
ある日、突然彼女は辞めた。
「自分がいない方が、きっとみんなうまく回ると思ったんです。」
それを聞いた上司は驚いた。
「そんなふうに思っていたなんて知らなかった」と。
同僚は口をそろえて
「頼りにしていたのに」、
「いてくれて助かっていたのに」
と言った。
でも、誰ひとりとして、
“そう伝えていた”人はいなかった。
⸻
“誰か”がいなくなってはじめて、
“その人がいたこと”に気がつく。
わたしたちは、
そんなふうに人を失ってからじゃないと、
「ありがとう」も、「助かった」も、
言えないままでいることが多すぎる。
⸻
彼女は、静かに消えていった。
怒鳴りもせず、告発もせず、
ただ「いなくなった」。
それが、この社会で生きてきた人の、
**「もっとも声にならなかった声」**だったと思う。
⸻
わたしは、そんな
“やさしさをもった人たち”に、
言葉を届けたい。
あなたが沈黙したことを、
わたしは責めない。
でも、
あなたが沈黙のままいなくなったら、
わたしは悲しい。
⸻
わたしも、少しだけわかる気がする。
「助けて」
と言わなかったあの人の気持ちが。
「頑張ってるね。」
なんて言われたくなかった、
あの時のわたしのことを。
だって、
「もう、いいよ。それ以上やらなくていい」
って誰かに言ってほしかっただけだから。
⸻
“ふつうに生きる”って、
それだけで立派なことだよ。
毎日を静かに積み重ねること、
怒らず、逃げず、声を荒げずに、
自分の役割を果たすこと。
そんなふうにして生きているあなたを、
わたしは誇りに思う。
⸻
もし、あなたが今も「ふつう」の中で、
名前もないまま、
誰にも気づかれずに擦り減っているなら、
どうか、これだけは伝えさせてほしい。
⸻
あなたのような人がいたから、
この世界は静かにまわっている。
名前がなくても、
言葉がなくても、
わたしは、あなたを知っているよ。
****
読んでくれて、ありがとう。
あなたが、ここにいてくれてよかった。
よければ、ひとことだけでも、残していってね。
still.
**
気に入った方はこちらも
▶︎「大切な人」との「特別な瞬間」にだけそこにある、“沈黙”という優しさ。
▶︎プロフィールはこちらから。
▶︎おすすめ記事はこちらから。
**
《Xとstand FMも覗いてみてね》
▶︎Xはこちら
▶︎standFMはこちら
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ、応援お願いします!いただいたチップは活動費として大切に使わせていただきます!