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スピッツ歌詞考察(第113回)野生のポルカ


【基本情報】

野生のポルカ
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
3分34秒

<リリース日>
2013年9月11日(14thオリジナルアルバム「小さな生き物」)

<収録アルバム>
小さな生き物(2013年9月11日リリース 14thオリジナルアルバム)

<備考>
フラワーカンパニーズと亀田誠治がコーラスで参加している。
ライブでは「武蔵野の空を」の部分が会場によって変わることがある。
(例)
 横浜→「横浜の空を」
 東北地方→「みちのくの空を」
 大阪→「なみはやの空を」
 千葉→「九十九里の空を」
 長野→「安曇野の空を」
 愛媛→「瀬戸内の空を」など

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

エサに耐えられずに 逃げ出してきたので
滅びた説濃厚の 美しい野生種に
戻る がんばる こんなもんじゃないよな
生まれ変わる前の ステージで

現状の生活に耐えられずに逃げ出してきたので、絶滅危惧種と言われている美しい野生の生き物に戻ってやる!
とにかくがんばる!
“僕”はこんなもんじゃない!
生まれ変わる直前のステージにいる!

駆けめぐりたい くねった細道を
さよなら僕の 着ぐるみ達よ

先の見えない人生を自由に駆けめぐりたい!
今までの“僕”にさよなら!
着ぐるみを脱ぐように生まれ変わってやる!

純粋そうなそぶりで 生きのびてきたから
裏切られた分だけ 土をはね上げて
叫ぶ 笑う マネだっていいのさ
傷の記憶は 「まあいっか」じゃ済まんけど

純粋そうに見せかけて今までなんとか生きのびてきたから、裏切られた分だけ反骨心を奮い立たせてやる!
叫んだり、笑ったり、人のマネしたっていい!
心に負った傷は「まあ仕方ないか」で済ませない!

飛びまわりたい 武蔵野の空を
さよなら僕の 抜け殻達よ

この武蔵野の空を自由に飛びまわりたい!
今までの“僕”にさよなら!
脱皮して生まれ変わってやる!

長かった夜が 間もなく明けるよ
生まれ変わる前の ステージで

長かった夜の時代が間もなく明けるぞ!
生まれ変わる直前のステージにいる!

駆けめぐりたい くねった細道を
さよなら僕の 着ぐるみ達よ
飛びまわりたい 武蔵野の空を
さよなら僕の 抜け殻達よ

先の見えない人生を自由に駆けめぐりたい!
今の“僕”にさよなら!
着ぐるみを脱ぐように生まれ変わってやる!
この武蔵野の空を自由に飛びまわりたい!
今までの“僕”にさよなら!
脱皮して生まれ変わってやる!

細道駆ける最高の野生種に 細道駆ける最高の野生種に
細道駆ける最高の野生種に 細道駆ける最高の野生種に
細道駆ける最高の野生種に 細道駆ける最高の野生種に

先の見えない人生を思いっきり駆けていく、美しい野生の生き物になってやる!

「ポルカ」とは、速いテンポ、弾んだステップ、短短長のリズムが特徴的なチェコの民俗舞曲です。
1830年頃に誕生し、19世紀前半には舞踏会で使用されました。
この「野生のポルカ」は、タイトルどおりヨーロッパの民族舞踊を彷彿とさせる、速いテンポで躍動感のある曲となっています。

さて、この曲の歌詞を考察する上で重要なキーワードとなるのが「武蔵野」です。
一般的に「武蔵野」とは、埼玉県川越以南、東京都府中までの間に広がる地域とされていますが、実は草野氏と深い関わりがある地名なのです。

1986年3月に福岡県立城南高等学校を卒業後、草野氏は東京都八王子市にある東京造形大学(造形学部美術学科絵画専攻)に進学します。
しかし1年生のときに仮面浪人をして、別の大学に合格したことを機に東京造形大学を中退します。
「エサに耐えられずに 逃げ出してきたので」は、この出来事を表しているのではないでしょうか。

そして1987年4月に入学した大学こそが「武蔵野美術大学」で、7月に田村明浩氏、三輪テツヤ氏、﨑山龍男氏とスピッツを結成します。

「飛びまわりたい 武蔵野の空を」は、スピッツを結成したことで「やりたかったことをやってやるぞ!」という、当時の心境を表しているのではないでしょうか。

ほかにも、草野氏の当時の心境(あくまで推測)と重ねて、以下のように解釈できます。

「滅びた説濃厚の 美しい野生種に」
⇒今となっては誰もやっていないようなことでも、自分の心に従って動く。
そういった美学を持った生き物になりたい。

「戻る がんばる こんなもんじゃないよな」
⇒世間に迎合しようかとも考えたけど、初心に戻って自分たちのやりたいことを貫く。
そのために頑張る。
もっとやれるはず。

「生まれ変わる前の ステージで」
⇒何者でもなかった大学生が、バンド「スピッツ」として生まれ変わる直前。

「長かった夜が 間もなく明けるよ」
⇒長年の夢がもうすぐで叶う。

「叫ぶ 笑う マネだっていいのさ」
心のままに叫んだり、笑ったり、他のバンドのマネ事だとしても、なんだっていい。

「駆けめぐりたい くねった細道を」
⇒先が見えない世界で、売れるのは難しいとわかっているけど、それでもバンドを続けたい。

「さよなら僕の 着ぐるみ達よ」
「さよなら僕の 抜け殻達よ」
「進化」「成長」「脱皮」「卒業」「生まれ変わる」の意味。
つまり、「昨日までの“僕”を超えてみせる」ということ。

さて、ここまではスピッツ結成当初の青春時代といったイメージですが、あの事件に関する歌詞ではないなと思える箇所があります。

「純粋そうなそぶりで 生きのびてきたから 裏切られた分だけ 土をはね上げて」
⇒人の意見をおとなしく受け入れながら今までやってきたから、裏切られた時には思いっきり反発する。

この「裏切られた」こそが、1999年に解散騒動にまで発展したあの出来事を連想させます。
(詳しくは「スピッツ歌詞考察(第8823回)8823」をご参照ください)

スピッツは結成当初~デビュー~ブレイクを経て現在に至るまで、芯となる部分は何も変わっていないような気がします。
なのでこの曲の歌詞も、デビュー当時の心境に限らず、あの事件が起きた頃、結成30年を迎えた時、そして今現在でも同じことのように思えます。
それはきっと、醒めたがらない草野氏の妄想が尽きるまで、ロック大陸の物語が今も続いてるからなのでしょう。

「トンガリ'95」が1995年、「8823」が2000年、「醒めない」が2016年、「1987→」が2017年、「見っけ」が2019年、「オバケのロックバンド」と「めぐりめぐって」が2023年のスピッツのテーマソングだとするならば、この曲も2013年のスピッツのテーマソングと言えるのではないでしょうか。

というわけで、「生」がテーマの曲でした。

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