続けるか変えるかの分かれ道で、大切にすること
検証から学んだら、次は「このまま続けるか、方向を変えるか」を決める場面が来ます。
ここで多くの方が、感情や勢いで判断してしまいます。けれど、この分かれ道で大切にしたいのは、判断の軸を持つことです。
大切なのは、判断の軸を持つこと
重要なのは、その場の気分ではなく、あらかじめ決めた軸で判断することです。判断の軸とは、「何が確かめられたら続ける」「何が見えたら変える」という、事前の基準のことです。私はこの軸を、検証を始める前に紙に書き出しておくようにしています。
たとえば、ある商品の売れ行きを確かめる場面を思い浮かべてください。「一週間で十人が申し込んだら続ける」と先に決めておけば、五人でも十五人でも、迷わず判断できます。基準がその場にあるかどうかで、結論の重さが変わってくるのです。
軸がないと、うまくいった日は続けたくなり、うまくいかない日はやめたくなります。朝に良い反応があれば強気になり、夕方に断られれば弱気になる。判断が、その日その日の気分に流されてしまうのです。
私自身、軸を決めずに動いた時期は、会議のたびに結論がひっくり返りました。前の週の意気込みが、翌週には見る影もない。そういう揺れは、進めている人も、周りで見ている人も、少しずつ疲れさせます。軸を先に持っておくことで、結果に一喜一憂せず、落ち着いて決められるようになります。
撤退も、前進のひとつ
方向を変えることや、いったんやめることを、後ろ向きに捉える必要はありません。撤退もまた、前進のひとつです。合わない道を歩き続けるより、早く見切って別の道を探すほうが、目的には近づきます。
道に迷ったとき、来た道を戻るのは負けではありません。正しい入り口を探し直すための、必要な一歩です。事業でも同じで、いったん引くことで初めて見えてくる景色があります。
私が伴走した現場でも、当初の案を手放した瞬間に、本当に必要とされていたものが見えてきた例が何度もありました。手を止めたからこそ、お客さまの声が届いた。続けることだけが前進ではないのだと、そのたびに教わります。
大切なのは、「やめる=失敗」と考えないことです。学んだうえで方向を変えるのは、賢い選択です。むしろ、確かめたことをもとに次を選ぶのですから、以前より一歩進んでいます。撤退を前向きな一手として持っておけると、判断が軽くなり、決めることそのものが怖くなくなります。
執着が、判断を鈍らせる
判断を鈍らせるいちばんの原因は、これまでかけた時間や労力への執着です。「ここまでやったのだから」という気持ちが、冷静な判断を曇らせます。
深夜まで資料を作り、休日をつぶして準備を重ねた。その記憶があるほど、手放すのが惜しくなります。私にも覚えがありますし、その苦しさは痛いほど分かります。
けれど、そこで一度立ち止まって考えたいのです。過去にかけたものは、これから先の成果を、一円も保証してはくれません。過去の労力と、未来の価値は、切り離して見る必要があります。判断すべきは、これから先、続ける価値があるかどうかだけです。
「もったいない」という声が聞こえたら、それは執着が判断に混じり始めた合図だと私は考えています。その声に気づき、いったん脇に置ける人が、正しい分かれ道を選べます。手放すのは惜しいけれど、選ぶ先はいつも未来の側にあります。
次回は、続ける・変える・やめるを決めるための、具体的な問いをお伝えします。
なお、その前段にあたる「学びを得る」については、過去に『検証の後で、大切にしたい学び方』でも書いています。よろしければ、あわせてご覧ください。
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さいごに
「ここまでやったのだから」という気持ちは、私にもよく分かります。かけた時間ほど、手放すのが惜しくなります。それでも、過去は取り戻せません。大切なのは、これから先どうしたいか。そう考え直すと、少しだけ身軽に、次の一歩を選べるようになります。
